http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/328.html
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世界経済が順調で日本経済も少々の成長軌道に乗っていたとしても、安倍首相は、基本的に増税嫌いとりわけ消費税の増税が嫌いだから来年4月の消費税税率引き上げは延期していたはずである。
14年4月の8%への増税も、10年に菅元首相が消費税増税の口火を切った当時の経済環境とは異なり円安基調に転換していたため悩みに悩み、おそらく、TPPなどFTP・EPA交渉に絡む関税引き下げ問題を考慮して実施に踏み切ったのだろう。
(これは、安倍首相の“苦悩”というわけではなく、財務省の“苦悩”でもある)
何度も書いてきたが、消費税税率引き上げは、財政健全化や社会保障精度の持続性確保とは無縁の政策である。
消費税増税は、円安に似た輸出企業の国際競争力アップと関税に代わる国内事業者保護強化(消費税税率は実質的に関税:ただしグローバル企業は負担を免れる)として政策化されたものである。
消費税税率が10%になるタイミングで複数税率(俗に言う「軽減税率」)を導入し、軽減税率を適用する商品のなかに宅配新聞を含めたことで、新聞社やテレビ局(ほとんどが新聞社系列)そして創価学会・公明党は、鼻先にぶら下がった人参をできるだけ早く食べたいと思っているので、同じく税的利益が増大することになるグローバル企業(日本経団連加盟社中心)ともども、消費税税率を確実に早期に10%へと引き上げることを願っている。
消費税(付加価値税)は、国内専業事業者が稼いだ(国民から)儲けの一部を税制を通じてグローバル企業に“再分配”するシステムである。複数税率(軽減税率)制度は、そのような政府による詐欺的利益供与を国内特定事業者に拡大するものなのである。
たとえ経済成長が軌道に乗ろうとも、悪性インフレで否応なく増税を必要とするようになろうとも、このような国家詐欺的消費税の増税に委ねようという政策は、日本を衰退に向かわせる最悪の政治的選択である。
※関連参照投稿
「消費税:民進党古川代議士「予定通りに上がるほうがサプライズ」「安倍総理はそもそも消費税を5から8に上げるのもイヤだった」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/588.html
「日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない:それはウソ、社会保障財源を消費税増税の人質にしているだけ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/234.html
「消費税軽減、財務省案に反対 新聞協会声明、新聞に軽減税率を:財政危機を煽る一方、己の消費税特権は要求する恥ずべきメディア」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/178.html
「軽減税率「必要」74% 内閣支持41%、不支持と拮抗:数値の真偽はともかく自分の首を絞める「軽減税率」を支持する愚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/749.html
「軽減税率、攻防再び:公明山口代表 新聞や書籍も対象にすべき:生活の党ならライフライン(水道電気ガス)を優先するはず」
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/150.html
「混迷する「軽減(複数)税率」問題を考えるための基礎的理解」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/707.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その1)」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/757.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その2)5兆円規模の「経済対策」や2兆円規模の「法人減税」の有効性」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/770.html
「消費税増税政策(その3):消費税増税後の日本の姿」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/780.html
「首相、消費税8%方針表明…閣議で正式決定へ:アホな決定がそのままなら日本経済は奈落に向かうことになる」
http://www.asyura2.com/13/senkyo154/msg/455.html
「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/153.html
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アベノミクスの傷隠す
海外要因に転嫁 課題は成長戦略
安倍晋三首相は1日の記者会見で、消費増税を再延期する理由について「世界経済が危機に陥るリスクを回避する」と説明した。だがその裏には、自身の経済政策「アベノミクス」が足踏みしている現状への危機感が透ける。衆参同日選を見送り、増税時期を2018年9月の自民党総裁任期を越えて設定したことにどんな狙いがあるのか。首相の発言から新たな政権戦略を読み取る。
「率直に言ってリーマン・ショック級の事態は発生していない。公約違反との批判も真摯に受け止める」
首相は14年11月の増税延期時に「再び延期することはない」と述べ、「リーマン・ショックのような重大事態でなければ確実に増税する」と繰り返してきた。この過去の発言との整合性をどうとるかが課題だった。
首相が選んだ再延期の理由は、世界経済が危機に陥るリスクへの国際協調だった。5月26〜27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言で「危機へのリスク」「あらゆる政策をとる」ことを確認し、国際的なお墨付きを得た。首相は会見で「これまでの約束とは異なる新しい判断だ」と強調した。
しかし、こうした海外要因には与党内でも「延期理由には弱い」(閣僚経験者)との声が多い。
「内需を腰折れさせかねない」
首相はこうも言及した。増税延期の本音は、政権の求心力の源泉であるアベノミクスが足踏み状態にあることだ。首相は前回の延期時に「3本の矢を前に進め、必ずや(増税の)経済状況をつくりだす」と語った。だが3本目の矢である成長戦略は力不足で、景気の好循環はつくりだせていない。増税をすれば景気が失速し、デフレからの脱却がさらに遠のく可能性がある。
「できるだけ長く延期すべきだと考えた。しかし、20年度の財政健全化目標を堅持するギリギリのタイミングだ」
延期幅が2年半になったのはなぜか。首相周辺は「景気回復に1年では短い。最大限延ばすにはそれしかない」と語る。首相の自民党総裁任期は18年9月。延期幅が1年だと任期切れ直前に消費増税による景気の下振れリスクを抱える。
一方で政権は20年度にプライマリーバランスの黒字化目標もある。目標を堅持するには遅くても19年度中に増税する必要があり、延期幅が3年だと間に合わない。政権内では当初、2年の延期幅が検討されていたが、19年は春に統一地方選、夏に参院選がある。選挙への影響を避け、19年10月への延期が決まった。
「頭の中を解散がよぎったことは否定しない。今の段階では解散の『か』の字もない」
増税を総裁任期後にしたことで党内には「無責任」との声や、「首相が『自分が増税する』と総裁任期を延長する布石では」との指摘がある。
首相は参院選後に内閣改造に踏み切り、9月下旬にも召集する臨時国会で16年度第2次補正予算案を提出して経済成長をめざす。経済の好循環を生み出せれば高水準の内閣支持率を維持して党内の求心力を保てる。さらに衆院解散・総選挙で勝利すれば任期延長の芽も出る――与党内にはそんな見方もある。
秋の臨時国会は、消費増税を再延期する関連法案、第2次補正、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認と、日程は窮屈だ。今秋に解散に踏み切れば「なぜ夏に同日選で増税延期の是非を問わなかったのか」との批判が上がる可能性もある。首相周辺では、1月の通常国会冒頭の解散の可能性も取り沙汰されている。
一方、増税延期という絶好の解散の大義を手放したことで、政府・与党内には「このまま解散できなくなるのでは」との見方もある。「解散カードがない」と見られれば首相は求心力を失いかねない。
「アベノミクスのエンジンを最大限吹かす」
首相は「アベノミクスはまだまだ道半ばだ」と指摘した。今後の政権運営も解散戦略もアベノミクスの成否にかかっている。
[日経新聞6月3日朝刊P.2]
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