http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/234.html
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消費税を増税したからといって税収が増大し財政健全化に向かうわけではないことは、89年の消費税増税以降の財政推移を顧みれば一目瞭然である。
89年に消費税が導入され、不動産バブルやまだ完全には崩壊していなかった株式関連の税収増と相俟って、翌90年には総税収が60兆円に達した。しかし、この60兆円が史上最高額の税収で、その後二度の消費税増税が行われたが、未だその金額を超えた年度はない。
97年に消費税を増税(3%→5%)したが、前年96年の税収は52兆円レベルにまで落ち込んでいた。
97年の消費税増税(所得税も増税)で54兆円近くまで税収が増えたが、この増税により、日本経済はデフレスパイラルに陥り、翌98年からは税収が50兆円を下回る状況が続いた。
安倍政権下で実施された14年4月の消費税増税は、円安によるグローバル企業の増益や銀行やトヨタなど過去の赤字決算で免除されていた法人税が復活したこともあり、昨年度までは総税収でも増加している。
しかし、税収をドルベースで見れば増加しているとは言えず、円高基調に転換すると、総税収が過去の消費税絡みと同じように減少していく可能性が高い。
税収はつまるところGDP(総付加価値)から吸い上げるものだから、経済に打撃を与えないレベルの税率(対GDP税負担率)は一定である。
より高い率で税として吸い上げると経済に打撃を与え、GDPそのものが縮小するため、吸い上げ率を上げても税収額は増えない。
過去28年の貴重な財政データがあるのに、まともな税収論議がなされていないのが日本なのである。
それもひとえに、グローバル企業の国際競争力や経営基盤強化のための手段である消費税(付加価値税)の税率を引き上げるために、“財政危機”や社会保障制度財源を利用したいがためである。
消費税政策が、人々の財政に対する理解をおかしく歪めているのである。
転載する記事の中で、慶應大学ビジネス・スクールの小幡績准教授(財務省出身)も、相変わらずおかしな論理と分析を振り回している。
【引用】
「小幡氏「長期的にはマイナスの影響をもたらすでしょう。日本は短期の景気対策ばかりをしてきたため、長期投資へまわるお金が足りなくなっています。短期の景気対策の結果、1000兆円も借金を抱えているということは、民間の資金を1000兆円も使ってしまっているということです。」」
【コメント】
グローバル企業など優良企業の内部留保は350兆円に達しており、長期投資は、そのためのお金がないから行われないのではなく、国内で設備投資など長期的投資を行う“意欲”が湧かないので行われていない。
金融財政論としても、銀行が預金で購入した国債は猛烈な勢いで日銀が買い上げており、大量の国債が大量の現金(日銀当座預金残高)に変わった銀行は、日銀のマイナス金利ペナルティをどうやって回避するか呻吟するほど保有資金の運用に難儀している。
長期投資へまわるお金が足りないとか、民間の資金を1000兆円も使ってしまっているといった小幡氏の説明は、恥ずかしいくらいデタラメなものである。
【引用】
「小幡氏「私自身は、日本政府の支出の大きな部分を占めている社会保障関連の支出を減らしていくことは必要だと思います。」
【コメント】
日本の供給力や国際決済力が衰え始めたら、社会保障関連の支出も減少させるしかない。
そうしなければ悪性インフレと円安の連鎖が始まり、実質レベルの国民生活はより悪化する。
しかし、現状は、35兆円もの膨大な赤字財政でも日本はデフレ基調を完全には払拭できていないのだから“供給力過剰”状態である。
社会保障関連の支出を減らすと言うことは、家計の可処分所得が減り総需要が減るということである。それは、供給力がより過剰になることを意味する。
社会保障費に限らないが、財政支出を減らせば、それだけ景気は下振れするのである。
日本の近未来的課題は、長寿命化のなかで絶対不可欠の社会保障制度を、悪性インフレに陥らないまま維持することである。
それは、社会保障関連の支出を減らすことで達成できるものではなく、設備投資による生産性の上昇でのみ達成できる。
※参照投稿
「民進 岡田代表 自民参院選公約は財源が不明確:書生レベルの岡田民進党では自民党に立ち向かうのは困難」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/233.html
「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/153.html
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日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年06月03日 21:42(アップデート 2016年06月03日 22:20)
徳山 あすか
3日、自民党は参議院選挙の公約を明らかにした。それによれば「2019年10月に消費税率を10パーセントに引き上げ、その間、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実を行う」としている。赤字国債に頼らず、どのように社会保障政策の財源を捻出するかについては、明記されていない。
消費税の引き上げ延期をめぐって安倍晋三首相は、2014年11月の記者会見で「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」と述べていた。
政府の経済政策が予定通り進んでいるのならば、いったん断言した方針を、参議院選挙直前のタイミングで曲げる必要はないはずである。3日のテレビ番組収録に参加した古賀誠・元自民党幹事長は「これだけ政局が安定し、内閣支持率の高い首相の下で(消費税増税が)できないなら、いつやるんだという心配は正直言ってある」とコメントした。小泉進次郎農林部会長も、「増税は延期するが、社会保障は予定通り充実させるというおいしい話だけでは駄目だ」と釘をさしている。
市民からは、「絶対的に必要でないならそもそも増税すべきではない」「増税を延期した理由は選挙に勝つためではないか」「消費税が上がると思っていた国民が多い中での再延期は、政局を複雑にし混乱させることになるのでは」などといった様々な声が出されている。
慶應大学ビジネス・スクールの小幡績(おばた・せき)准教授は、消費税増税の再延期は「じわじわと日本の活力を阻害するだろう」と見ている。
小幡氏「長期的にはマイナスの影響をもたらすでしょう。日本は短期の景気対策ばかりをしてきたため、長期投資へまわるお金が足りなくなっています。短期の景気対策の結果、1000兆円も借金を抱えているということは、民間の資金を1000兆円も使ってしまっているということです。そのため民間は実物投資や海外への金融投資などの、利益を出す投資ができなくなっています。結果として、日本経済全体の所得がダウンし、潜在成長力が落ちてきています。しかし短期的には、日本の赤字が膨らみすぎて危機に陥るということはないでしょう。増税再延期はもっと長期的にじわじわと、日本の活力を阻害する方向に影響すると思います。」
自民党が行おうとしている社会保障政策の充実とは、誰を対象にしたものなのか。日本の待機児童問題が一向に解消されないのも、ここに一因がある。
小幡氏「私自身は、日本政府の支出の大きな部分を占めている社会保障関連の支出を減らしていくことは必要だと思います。高齢者への年金額を減らす、という策しかないと思われますが、いざ年金が減るとなると有権者の怒りを買いますので、これは政府にはできません。
となると、今のところまだ予算がついていない、これから必要となってくる分野に、お金をつけることができなくなります。託児所や幼児施設への補助、小中学生に対する教育投資といった分野への政府の補助は足りないままです。この分野は非常に民営化・自由化が遅れているということもあり、例えば託児所などの建物等にお金がついたところで、供給は急には増えません。働き手が不足しているという問題は依然として残るためです。ですから政府は、お金を出さずにすませようとしているところもあると思います。」
増税が延期され、目先の家計のことだけを考えると少し安心してしまうが、小幡氏は長期資金の不足は結果的に、誰にとっても良くない結果を生み出してしまうと指摘している。目前に迫った参院選は、有権者がどれ程長期的な視点をもって臨むかが問われる選挙となりそうだ。
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160603/2246059.html
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