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オバマ広島訪問 「核なき世界」という欺瞞の狂騒
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182289
2016年5月27日 日刊ゲンダイ 文字お越し
茶番もいい加減にしろ!(C)AP
米国が人類史上初の無差別大量虐殺兵器である「原子爆弾」を広島、長崎両市に投下してから71年。市民約35万人(当時)のうち、たった4カ月間で14万人もの命が奪われた広島市を27日午後、オバマ大統領が現職の米大統領として初めて訪問する。
公表されている予定だと、オバマは伊勢志摩サミットの午後のセッションを終えた後、安倍首相と一緒に広島市入り。広島、長崎の両県知事、市長らと被爆者数人が立ち会う中、平和記念公園で原爆死没者慰霊碑に献花し、声明を発表する。
25日夜の日米首脳会談で、広島訪問について「『核なき世界』へのビジョンを再確認したい」と語ったオバマ。これに対し、安倍も「核兵器のない世界への力になると確信している」と応じていたが、これぞ大いなる欺瞞、「茶番劇」というものだ。
オバマは2009年4月、チェコの首都プラハで行った演説で「核なき世界を目指す」と宣言。原爆を投下した当事国として「核廃絶へ行動する道義的責任」にまで踏み込んだ。ロシアとともに半世紀以上、核開発を主導してきた米国の大幅な方針転換を期待した世界は拍手喝采。オバマはノーベル平和賞を受賞したが、あれから7年経つのに「核大国」の姿は何ら変わっていないのが実情だ。
■米国は「力の象徴」の核兵器を絶対に放棄しない
プラハ演説後もオバマ政権は核爆発を伴わない「臨界前核実験」を続行。新型核兵器の開発にも力を入れ、今年、核攻撃型巡航ミサイル・トマホークの後継とされる新型長距離巡航ミサイル「LRSO」の開発といった「核戦力の更新」に対し、今後30年で1兆ドル(約110兆円)を投じる予算も承認した。今月中旬にスイスで開かれた国連の核軍縮作業部会では、米国はメキシコなどの非核保有国が求めた核兵器禁止条約の制定に反対し、会議をボイコット。米国科学者連盟によると、使用可能な核弾頭はいまだに4700発も保有している。こんな状況でオバマは「核なき世界を目指す」とは、よくぞ言ったものだ。元外交官で広島平和研究所長などを務めた政治学者の浅井基文氏は毎日新聞でこう言っていた。
〈米政権にとって『核のない世界』はあくまでビジョンに過ぎない。日本の政権にとっても『核の傘』は同盟関係の基軸だ。オバマ氏の広島訪問が核兵器廃絶の第一歩となるとの期待は幻想で、核兵器の堅持を前提としたセレモニーに過ぎない〉
〈オバマ氏の来訪を無条件に歓迎することは、日米両政府の核政策を全面的に受け入れるという意味に他ならず、日本外交における『お飾り』の役割に徹するということだ〉
米国は「力の象徴」である核兵器を絶対に捨てないし、捨てるつもりもない。今も米国民の6割近くが、広島、長崎の原爆投下を「正しかった」と答えている中で、残り任期8カ月となったレームダック(死に体)のオバマ政権が「核なき世界」を実現できるはずがないのだ。あらためて浅井氏はこう言った。
「オバマ大統領の広島訪問の目的は、あくまで日米同盟の強化です。日本の核廃絶運動の中核ともいうべき広島、長崎という『トゲ』を取り除きに来るわけです。『核廃絶』や『核なき世界を目指す』というのは、単にメディアが報じているだけ。私には理解不能です」
広島訪問で「謝罪はしない」というオバマ。これでは核廃絶のメッセージどころか、再び米国が核兵器を使う可能性を認めたのも同然である。
広島もいい迷惑だ(C)AP
サミットの「ついで訪問」の無意味
新聞テレビは、オバマの広島訪問を「歴史的」と大々的に報じているが、訪問といってもサミット終了後のスケジュールはバタバタだ。おそらく慰霊碑に献花して原爆資料館を見学すれば滞在時間は1〜2時間程度だろう。そんな「ついで」訪問に一体、どれだけの価値があるというのか。
「オバマ大統領の広島訪問は、2000年に当時のクリントン大統領が沖縄を訪問した状況とソックリです。あの時も名護市で開かれた沖縄サミットの時で、72年の本土返還後初となる米大統領来県に国内世論は沸きました。当時の稲嶺恵一沖縄県知事は基地負担の軽減を直訴し、クリントン大統領は『できることは全力でやる』と応じていた。しかし、オバマ大統領と同じで任期最後だったクリントン大統領は具体的に動くこともなく、そのまま進展なし。結局、16年経った今も基地問題は解決されていません」(沖縄県地元紙記者)
要するに今回のオバマの広島訪問も、クリントンの沖縄訪問と同じ展開になる。そんな「偽善セレモニー」に付き合わされる地元の首長や被爆者はいい迷惑だ。それなのに安倍政権は「核廃絶のチャンス」などとウソ八百を並べ立てて喧伝しているから許せない。
■米国の顔色をうかがう安倍政権も核廃絶ヤル気ナシ
そもそも「唯一の戦争被爆国」であり、非核三原則を掲げる日本は、オバマ以上に世界に向けて強い「核廃絶」の発信力を持っているはずだ。ところが、「核の傘下」を意識している政府は4月、「憲法9条は一切の核兵器の保有および使用を禁止しているわけではない」と、この三原則を“無視”する仰天の答弁書を決定。スイスの核軍縮作業部会でも米国の顔色をうかがい核兵器禁止条約に賛同しなかった。
安倍自身も02年5月に早大で開かれたシンポジウムで「憲法上は原子力爆弾だって問題はない。小型であれば」と発言しているから、オバマと同様、表向きは核廃絶を訴えているものの、本気で取り組む気なんてサラサラないのだ。にもかかわらず、安倍政権もメディアもオバマの広島訪問にバカ騒ぎしているからどうかしている。ノンフィクション作家の保阪正康氏はこう言った。
「今も核を保有し、核大国である米国が『核廃絶』をできないことは日本政府、国民も分かり切っている。それなのにオバマ大統領がなぜ、廃絶を訴えて広島を訪れるのか。それは『歴史的』という表層的な話ではない。米国は米国なりの複雑で奥深い戦略を持っているのであって、メディアも広島訪問について、もっと多面的に分析して報じるべきです」
前出の浅井氏も毎日新聞でこう言っていた。
〈広島は、戦争加害国としての日本の責任を正面から受け止めると同時に、無差別大量殺害兵器である原爆を投下した米国の責任を問いただす立場を放棄してはならない。そうすることによってのみ、核兵器廃絶に向けた人類の歩みの先頭に立ち続けることができるだろう〉
米国は安倍政権が忌み嫌う「押しつけ憲法」の“張本人”である。その米国トップの広島訪問を「戦後レジームからの脱却」を訴えている安倍が大ハシャギで迎える姿は滑稽というより他ない。世界からみれば、日本は米国の原爆投下を「是認」したと見られても不思議じゃないだろう。薄っぺらな政治屋と亡国官僚がこの国を狂わせているのである。
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