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安倍晋三と菅義偉「ダブル選」をめぐる水面下の暗闘〜どっちが本当の総理なの? 影の宰相に残された時間は長くない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48701
2016年05月25日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
安倍総理にとって、衆参同日選挙の狙いは「野党に勝つこと」だけではない。自らを脅かすまでに力をつけた「獅子身中の虫」を早いうちに叩き、日陰へと追いやる——もう駆け引きは始まっている。
■オバマも利用する
「安倍総理は今、絶対に守りに入りたくないんです。『アベノミクスが失敗したと批判されるから、解散できなかったんだ』とは、言われたくない。
5月初め、総理があれだけ外遊に行って各国首脳に根回ししたのも、伊勢志摩サミットを何としても成功させ、ダブル選を打つための布石です。
オバマ大統領の広島入り決定は大きな得点でした。これで、懸念事項は熊本の復興だけになった」(官邸スタッフ)
やるのか、やらないのか——安倍政権にとって最大の山場、夏の衆参同日選。一度は「とうていムリ」と思われたこの大勝負だが、迷いに迷った安倍総理の腹は、「やっぱりやる」に傾きつつある。
「国会の閉会日は6月1日に迫っている。この日に解散を表明すれば、7月10日に余裕で衆参同日選ができます。ちなみに、6月1日は大安。飯島(勲内閣参与)さんの指導があって、安倍さんは意外と暦を気にしている。1日はスルーして野党を油断させ、8日か14日にサプライズ解散、という可能性もある。この両日が友引だからです。
解散の大義名分は、『アベノミクスを続けていいか、国民に問いたい』。そのへんの作文は、もう今井(尚哉総理秘書官)さんが終わらせています」(前出・官邸スタッフ)
政権関係者や財界の幹部たちは、「5月18日に発表される今年第1四半期のGDPが、解散の有無を左右する」と言う。しかし本当のところを言えば、総理にとってはGDPが上がろうが下がろうが、株価がどうなろうが、実は関係がない。
数字がもし良ければ、大手を振ってアベノミクス成功をアピールできる。悪ければ悪いで、「消費税を上げるな」と、世論は勝手に盛り上がる。いずれにしても、「解散」への追い風が吹くのだから。
各社の最新の世論調査によれば、内閣支持率は、前回調査よりもおよそ3ポイント上昇。熊本県を中心に、九州でなお続く地震が支持を押し上げた。
ある自民党議員が言う。
「当の九州選出の(自民党)議員さえ、表では『こんな状況で同日選なんてできるか』と言ってポーズをとっていますが、ウラでは『阪神大震災や東日本大震災と比べれば、全然規模は小さい。影響はない』と言っている。
安倍総理も『5月いっぱいで、熊本は見極める』という構え。昭恵夫人の熊本入りで地元は拍手喝采でしたし、何より総理は、自分で九州入りして陣頭指揮を執った結果、手応えを感じたのです。
総理側近たちは、安倍総理に『サミットの流れのまま、同日選になだれこむべき』と言い続けています」
今ならやれる。安倍総理はますます、その思いを深めている。
安倍総理でなくとも、「解散すれば確実に勝てる」というチャンスを、みすみす逃す総理などいない。数ヵ月後、あるいは1年後に、再び「必勝」の状況が整う保証はないのだ。
たとえ国民から見れば、何の益もない解散総選挙に思えても、勝てる時に勝つ。それが永田町を支配する「論理」なのである。
■財務次官を脅し上げた菅
だが今、高揚感に包まれている官邸でただひとり、心の中に暗い炎を燃やし続ける者がいる。菅義偉官房長官だ。
菅氏は表向き、衆参同日選へ突き進む安倍総理が命じる通り、各方面への根回し・牽制にいそしむ姿を見せている。
「先日、菅さんが財務省の佐藤慎一主税局長を自分の部屋に呼び出して、長時間『お説教』をしました。
佐藤局長は、この6月の人事で次官になる目があるとみられていましたが、菅さんは『キミ、消費税増税の延期に反対するなら、事務次官には絶対になれないから』と言った。そういうわけで、財務省は縮み上がっている」(自民党中堅議員)
しかしながら、菅氏は官邸の外やオフレコの場では、「総理は本気で解散するつもりなのか」と、同日選への不満を隠そうとしない。
「菅官房長官は、『参院の一人区で大負けしそうな選挙区が多いなら、衆参同日選にする意味がある。しかし今は、そうじゃない』『やっぱり選挙をやるというのは体力を使うんだよ。ダブルなんて無鉄砲なことはやりたくない』『何より、今衆院を解散したら、確実に議席を減らすことになるだろう』と漏らしています。
菅氏自身も、自分が同日選に反対しているということが知れ渡るのを分かったうえで、こういうことを言っている」(全国紙政治部デスク)
菅氏はあくまでも「無欲」のフリをして、安倍総理に忠誠を誓い、着々と実力を付けてきた。官僚の人事権を握り、マスコミが何を報じるかを握り、ありとあらゆる情報を握る。そうして彼は、今や自他ともに認める、安倍政権の「影の宰相」の名をほしいままにするまでになった。
■公明党はどっちにつくのか
だが、安倍政権が最大のターニングポイントを迎えている今、菅氏もまた、決断を迫られている。
菅氏は現在、67歳だ。このまま安倍政権が存続し、東京五輪の前後まで安倍総理が続投するとすれば、確実に70歳を超えてしまう。
その場合、彼は「政権を支えた功労者」として表面的には遇されるだろうが、結局「そこまでの人物」として政治家人生を終えることになる。下手をすれば、安倍総理の気分しだいで「人材の若返り」などを口実に、切り捨てられる恐れさえあるだろう。
「安倍総理も、菅さんが同日選に反対していることは知っている。だから、選挙が終わったら、勝とうが負けようが『見せしめ』として菅さんを官邸から外すかもしれない。
安倍総理にしてみれば、この同日選は菅さんを排除するチャンスなのです。『そろそろ党務に移ってもいいのでは』なんて言って党の要職をあてがい、『一見偉いけれど何の権力もない』ポジションに追いやることができれば、しめたもの」(前出・自民党中堅議員)
今や、菅氏の政治的実力は安倍総理を凌ぐまでになった。総理にとって菅氏は、身近に置いておくには強大すぎて、コントロール不能になるリスクをはらんだ存在になってしまったのだ。
「甘利明・前経済再生相が、予想外のスキャンダルによって外れてしまった。そのことで、菅氏の存在はますます大きくなっている。盛り返しつつある自民党内のリベラル派で、公明党にもよく顔が利きますから。
もっと言えば菅氏自身、『師』と仰ぐ故・梶山静六元官房長官のように、総裁選に出馬することを考えていても不思議ではありません。『ポスト安倍』を皆が注目するようになっている今、安倍総理としては心中穏やかでないでしょう」(政治評論家・浅川博忠氏)
菅氏に残された時間は、そう長くない。このまま黙っていれば、総理総裁のお鉢が回ってくることはなくなる。打って出るとすれば、次の総裁選しかチャンスはない。必然的に、安倍総理とは袂を分かつことになる——。
官房長官としての実務的な意味でも、菅氏は同日選を避けたがっている。その最も大きな理由は、もっぱら官邸においては彼が交渉役を務めている、公明党・創価学会との兼ね合いである。
本誌5月21日号で既報の通り、4月の衆院北海道5区補選において、菅氏は創価学会に協力を仰いだ。投票直前に劣勢を知った菅氏と自民党選対は、学会幹部に頼み込み、追い込みをかけてもらったのだ。このおかげで、自民党候補は野党候補に1万2000票の差をつけて逃げ切ることができた。
自民党ベテラン議員が言う。
「公明党と創価学会は、『衆参同日選になれば、とうてい選挙活動が追い付かない』と考えているから、強硬に反対しています。北海道での学会の協力は、『衆参同日選はナシ』ということが前提の、いわば公明党から自民党に対する『貸し』です。菅さんも当然、それを分かったうえで頼んだ。
菅さんには『公明党・学会の組織力が十分に機能しなかった場合、本気で自民党もヤバい』という懸念もあるのでしょう」
次が衆参同日選ならば、小選挙区制で初めてのダブル選挙である。'86年の中曽根内閣による『死んだふり解散』の時は中選挙区制だったが、今は当時と違って衆参ともに比例区があるため、投票用紙が4枚に増える。
「『すべての学会員に、選挙区は誰、比例はどこ、という複雑な指示を徹底させられるとは思えない。高齢者を中心に大混乱が起こる。フタを開けたら自民党も数十議席減らした、ということになりかねない』と、公明党幹部は官邸に警告しています」(前出・ベテラン議員)
衆参の相乗効果を狙ったはずの「必殺技」が、まったくの裏目に出てしまうかもしれない。ただ、もしそうなった場合には、安倍総理は責任をすべて菅氏に押し付けて、やはり政権の外へ追いやろうと画策するだろう。
■「ポスト安倍」の行方
さらにここにきて、安倍総理と菅氏の間の溝が決定的になるような「計画」を、総理最側近たちがまことしやかに語っているという。それが「1回休み」プランだ。
「衆参同日選をやったとしても、衆参両院で与党議席が(憲法改正発議要件である)3分の2を超えるのは至難の業だし、それは安倍総理も分かっている。ならば、『アベノミクスの責任をとる』とか何とか言ってキリのいいところで退陣し、いったん次に任せようと。
3回連続で総裁にはなれませんが、1回休めばセーフ。中継ぎは、総理の言うことを聞いてくれる岸田(文雄外相)さんが最適任でしょう。ひとりはさんで再々登板する。その時が憲法改正の本番だ。こう考え始めたのです」(前出・官邸スタッフ)
当然ながらこのプランには、菅氏の存在は織り込まれていない。菅氏は安倍の「仮退陣」とともにフェードアウトしている、という想定である。
あるいは、選挙を終えた後でもし支持率が下降線をたどるようなら、橋下徹・前大阪市長を閣僚に引き込む、というカードも総理は残している。将来、仮に「安倍総理・橋下官房長官」などというシナリオがあり得るとしたら、国民は歓呼をもって迎えるだろう。菅氏はますます「陰」へと追いやられ、忘れ去られることになる。
散々こき使われ、役目が済んだらお払い箱——それが菅氏の末路だ。
安倍総理という「太陽」をひたすら立てて、自らは「月」に徹してきた菅氏。彼が本気で動けば、永田町という小宇宙は大きく揺らぐことになる。
「週刊現代」2016年5月28日号より
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