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2016年05月24日 「ジャーナリスト同盟」通信
<平和・軍縮を忘れるな!>
夢枕に宇都宮徳馬さんが現れた。亡くなった、という秘書の知らせに、神奈川県大和市の宇都宮邸に駆けつけた。遺体を抱きかかえると、奇跡が起きた。目を開き、口が動いている。「平和・軍縮を忘れるな」と叫んでいる。戦闘的リベラリストの最期の場面の夢である。確かに宇都宮さんが蒔いた種が、いたるところで開花している!戦争法に反対する街頭活動は衰えを見せていない。7月選挙に向かって突進、野党統一候補支援に勢いを見せている。
<日中友好はアジアの平和と安定の基礎>
リベラリストの真骨頂は外交政策にある。寛容を旨とする。相手の立場を重視する。自己をひけらかし、それを相手に押し付ける愚を否定してやまない。
右翼・極右に屈しない。外国との友好を第一に考える。それを自ら実践した。反共主義にのめり込んでいた自民党右翼との対決に屈せず、公然と共産圏外交に乗り出した勇気ある信念の政治家であった。
並行して、ワシントンのリベラリストとの交流にも力を入れた。とりわけ侵略戦争と植民地政策で、史上まれにみる悲惨な災難を与えた、隣国との友好に対して彼は私財を投げ出し、生涯かけて取り組んだ。
なぜかならば、日中友好はアジアの平和と安定の基礎だからである。1972年の日中国交正常化は、そうして実現したものだ。「このことを忘れるな」と叫んでいる宇都宮さんである。
<改憲派は大馬鹿野郎>
いま我々の前に、立法府も行政府も区別できない、無知と無恥の首相がいる。専守防衛のはずの自衛隊を、米軍の護衛に差し出す憲法違反の戦争法を強行、感動したワシントンの主を、伊勢神宮と被爆地・広島に迎え、それでもって解散権を行使して、神風が吹いて憲法破壊の3分の2議席を確保するのだという。
平和・軍縮派の宇都宮さんが、彼ら右翼の面々に対して「大馬鹿野郎だ」と怒りの声を挙げている様子が浮かんでくる。
彼がこの言葉を筆者の前で叫んだのは、中曽根内閣のころだ。相手は中曽根康弘と渡辺恒雄に向かって発したものである。彼は、多少の期待を抱き続けて、相応の面倒を見てきたものだから、その裏切りに怒って当然のことだった。
<リベラリストは権力に屈しない!>
宇都宮さんの、もう一つのすごいところは、不正腐敗を断罪して、それを決して許さない信念の政治家だった。
政府与党の1員として、それを実践した清廉の政治家であった。筆者を、彼に結びつけた原因は、このことにあった。不正腐敗を暴くこと、それは民意・主権者の意思であるためだ。
不正腐敗にまみれる政治屋・官僚は、不思議と右翼に多い。権力に魅入られた信念のない金亡者・売国奴の面々である。どこの国にもいるが、不正腐敗の輩は、必然的に正義の士である宇都宮さんから離反していった。
リベラリストは権力に屈しない。屈するな、が宇都宮さんの遺言でもあった。そこから言論の自由が開花する!国民・人民に奉仕することが、リベラリストの責務なのだ。
結果として、貧に耐えることが宿命となる。家族に迷惑をかけることにもなる。逆に、高給を懐に入れる新聞テレビの記者は、権力批判・右翼批判をしない。このことを語れる政治家は、いまでは村上誠一郎氏ぐらいかもしれない。
<米産軍複合体に警鐘を鳴らし続けたリベラリスト>
宇都宮さんは、永田町の国際派の第一人者だった。ワシントン・北京・モスクワ・平壌に加えて、パレスチナ問題と、それは地球規模に及んだ。これほど手広く羽を伸ばした国際派政治家は、日本では彼一人しかいなかった。
ワシントンのリベラリストの政治家やジャーナリストとの交流から、彼が学んだ大事な点は、軍人大統領のアイゼンハワーでさえも恐れた、産軍複合体のことだった。戦争を振りまく主体である。彼らに対しては、無情・無義という言葉を贈れるだろう。敵を誕生・訓練・育成したあと、そこを叩くことで稼ぎまくる、いわば悪魔の巣である。自ら主宰した軍縮専門誌「軍縮問題資料」の巻頭論文で、この脅威の実態を取り上げて、警鐘を鳴らし続けた。
背景には、軍部に抵抗したケネディの暗殺事件があったのであろう。残念ながら、このことは確認しなかった。
<忘恩の徒・ナメツネになるな>
宇都宮さんは、敗戦後の日本で二人の若者の面倒を見ている。彼らを読売新聞に入社させた。仲人までしている。ナベツネである。彼はしかし、恩師の道とは、真逆の道へと突き進んでいった。
戦後右翼のドンとつながって、その懐から右翼の政治屋と結びついていった。その力を新聞社内でも悪用したらしい。彼は読売を掌握すると、日本新聞協会にまでも手を広げた。
中曽根内閣を誕生させると、公器の新聞を「中曽根改憲新聞」に変質させた。この辺の様子を、元政治部長の多田実氏から聞いて、驚いたものである。
宇都宮さんにナベツネのことを聞くと、いかにも残念な様子で「忘恩の徒だ」と一蹴した。これも忘れられない。その心は「ジャーナリストは権力に屈するな」である。いまこの宇都宮遺言を受け止められる記者は、何人いるだろうか?
2016年5月24日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)
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