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カリブ海に浮かぶ英領バージン諸島。この島を舞台に、多くのペーパー・カンパニーが作られた〔PHOTO〕gettyimages
「パナマ文書」大公開! これが税金を払わない日本人「大金持ち」リストだ セコム創業者,UCC代表の他にもいた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48640
2016年05月17日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
税率が著しく低いタックスヘイブン。存在は知られていたが、内情は長らくブラックボックスのままだった。そこから飛び出た、膨大な内部機密文書。ついにパンドラの箱が開く—。
■資産家しかできない超節税術
兵庫県芦屋市六麓荘町。関西を代表する超高級住宅地だ。そんな中でも高台に位置する一等地に、要塞のような豪邸がそびえている。
鉄筋コンクリート3階建てで、延べ床面積750m2。裏には1000m2を超す庭が広がっている。そんな大豪邸に住む人物に「疑惑の目」が向けられている。UCCホールディングス社長でUCC上島珈琲グループCEO(最高経営責任者)の上島豪太氏(47歳)だ。
パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」の機密文書が大量に流出。タックスヘイブン(租税回避地)を「活用」した課税逃れの実態を、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が調査してきた。そして5月10日、パナマ文書がついに公開される。その中には上島氏の名前もあり、タックスヘイブンにあるペーパーカンパニーを用いて、「行き過ぎた節税」を行ったのではないか、という疑惑が持たれているのだ。
パナマ文書によると、タックスヘイブンである英領バージン諸島に'00年に設立された2法人の唯一の株主で役員として、上島氏の名前が登場するという。ただし、この2法人の事業目的や活動はわかっていない。
上島氏はUCC上島珈琲創業者の孫で、3代目社長。売上高1385億円('15年3月期・単体)の大手コーヒー飲料メーカーの舵取りを託された若きリーダーだ。
「上島氏は甲南大学卒で、学生時代は少林寺拳法部の主将を務めるなど、体育会系の経営者です。若い頃から帝王学を授けられ、'09年に40歳の若さでUCC上島珈琲社長に就任しました。現在はUCCグループCEOで、社長職は弟の昌佐郎氏に譲っています。会長である父・達司氏とともに3人でがっちり経営をグリップしています。
持ち株会社であるUCCホールディングスは非上場ですから、実態は不透明ですが、上島一族がほとんどすべての株を握っているはずです。会社の利益は株式への配当という形で創業一族に入りますから、溜まりに溜まった個人資産を資産管理会社によって管理し、少しでも節税しようと考えるのは当然のことでしょう」(上島家を知る経済ジャーナリスト)
仮に父親の達司氏が亡くなれば、上島氏は株式を相続することになる。いくら非上場とはいえ、国税当局に時価換算をされ、莫大な相続税を要求されることは想像に難くない。その課税を少しでも小さくするためにタックスヘイブンの法人を利用したのではないか、というわけだ。
UCCホールディングス広報室は、
「会社設立はビジネス目的であって、租税回避や節税が目的ではございません。税務当局にも情報開示をしており、合法的に納税をしております」
と答え、あくまでも合法だと強調する。
しかし、税金がほとんど掛からないタックスヘイブンに事業目的が不明なペーパーカンパニーを設立すること自体、倫理的に問題があると考えるのが普通だ。
一般の納税者は、海外の、しかもタックスヘイブンに資産を移すことなど考えたこともないだろう。知識もないし、専門家に頼むような財力もない。そのため、何ら節税の手立てを講じることなく、国の要求するままに税金を納めている。
ところが、一部の富裕層は潤沢な資金で専門家を雇い、自分たちだけが少しでも税金が安くなるように対策を打つ。
パナマ文書によって名前が公開された政治家や官僚、俳優、有名スポーツ選手が非難を浴びるのは、まさにこれが原因なのだ(名前の挙がっている世界の主な著名人は次ページ表参照)。
自分たちだけがタックスヘイブンという「隠れ蓑」を利用して節税し、合法だと言い張る。その姿に一般の納税者は強烈な「不公平感」を抱いているのである。
■最大の関心は「相続税逃れ」
パナマ文書の中には、セコム創業者で最高顧問の飯田亮氏(83歳)の実名も挙がっている。
「若い頃の飯田さんはケチで有名で、セコムじゃなくて『セコく』やってあそこまで会社を大きくしたと揶揄されることもありました。今となっては、カネは腐るほどあるでしょうから、自宅や別荘に惜しみなく金銭をつぎ込んでいます。ただ、相続税で国に持っていかれるのを嫌い、専門家に任せて、タックスヘイブンに会社を設立したのでしょう」(ベテラン経済ジャーナリスト)
セコムのコーポレート広報部は、課税回避をこう言って否定する。
「本件については、日本の税務当局から求められた必要な情報を開示するとともに、法律専門家から税務を含む適法性についての意見を聞いた上で、正しく納税済みであると聞いています」
パナマ文書にはまだ他にも日本人や日本企業の名前が含まれている。ICIJに参加している朝日新聞によれば、パナマ文書に名前の挙がった「大金持ち」のリストは以下のとおり。
・英領バージン諸島に会社を所有する貿易会社社長(44歳)
・家具を輸入販売していた西日本の男性(62歳)
・関西の自営業の男性(64歳)
・関西でアパレル会社を父から継いだ男性(56歳)
・都内でアパレル会社を営む男性(60歳)
・都内でFX仲介業を営む男性(50歳)
富裕層の資産運用に詳しい経営コンサルタントの加谷珪一氏が、彼らの特徴を分析する。
「共通するのは、いずれも企業の創業者や創業一族ということ。資産家にとって最大の関心事は相続税と言っていいでしょう。自分が親からどのように相続するか、もしくは自分の子供にどう相続させるか。その際には、できるだけ相続税を軽くしたい。金融資産が数十億円ある場合は、タックスヘイブンに移せば大きな節税効果を得られる場合があります。
とはいえ、資産を移す際に日本国内で譲渡税を支払っているはずなので、その事自体に犯罪性はほとんどないのです」
伊藤忠商事や丸紅といった大手商社も、タックスヘイブンの会社に出資していることが判明した。両社の広報部は「ビジネス目的であって、租税回避の目的はない」と口を揃える。だが、日本の商社が税金を安くしようとタックスヘイブンを活用してきたのは、業界では常識だ。
「かつてタックスヘイブンに関連会社を設立して、商品ファンドの運用に携わったことがあります。機関投資家である大手生命保険会社から依頼されて、資金の一部を商品ファンドで運用することになったのです。
タックスヘイブンで運用すれば利益に課税されませんから、それを再び投資に回すことができる。それだけ大きなリターンが見込めるということです。運用は専門の海外企業に任せていましたが、彼らにとっても税金を安く抑えることができる。これは合法的な節税です」(元大手商社幹部)
タックスヘイブンとして知られる英領ケイマン諸島 〔PHOTO〕gettyimages
■日本勢はケイマンに63兆円
近年、多国籍企業によるタックスヘイブンを悪用した課税逃れの手口は狡猾になっていく一方だ。複数のタックスヘイブンのペーパーカンパニーを経由して、税金をほとんど納めない巨大企業の存在が世界的に問題視され始めている。
たとえば、英国では'12年にスターバックス社が3年間で約2000億円もの売り上げがありながら、法人税を一銭も納付していなかったことが指摘され、英国民の怒りが爆発した。
昨年は米アップルが海外で1811億ドル(約19兆円)を稼いでいるにもかかわらず、米国内でそれに見合った額の納税を行っていないと厳しく批判された。
今回、パナマ文書で明らかになった事例は氷山の一角。日本企業はタックスヘイブンとして有名なケイマン諸島に多額の資産を溜め込んでおり、その実態はいまだ謎のベールに包まれたままだ。
日本共産党の参議院議員、大門実紀史氏がこう指摘する。
「日本銀行の調べでは、日本企業が'14年末の時点でケイマン諸島に総額で約63兆円の投資を行っています。1位の米国の約149兆円に次いで、堂々の2位です。カリブ海に浮かぶ小さな島への投資額は突出していると言わざるをえない。
内訳を見ると、その多くをファンドが投資しているようなのですが、タックスヘイブンでは出資者を匿名にする手続きも可能ですから、詳細はわかりません。わかっているのは投資収益が2兆8000億円あるにもかかわらず、課税対象が1755億円と微々たるものであることだけです」
資産移転は超富裕層にも顕著だ。国税庁は課税逃れを取り締まるため、5000万円以上の海外資産については報告するよう「国外財産調書」の提出を義務付けている。
ところが、これが機能していないと指摘するのは、政治経済研究所理事で『タックスヘイブンに迫る』著者の合田寛氏だ。
「野村総合研究所の調べでは、日本国内で1億円以上の金融資産を保有する資産家は約100万人いるとされています。国税庁は、そのうち10%前後(約10万人)は国外に財産を保有していると見ている。
ところが、国外財産調書の提出者は8184件('14年度)にすぎません。9割以上の資産家はタックスヘイブンを利用するなどして、名前を隠して海外に資産を保有しているのです」
■税収ロスは「消費税2%」分
こうした手法が跋扈することによって、今やタックスヘイブンには巨額の資産が溜め込まれている。合田氏が続ける。
「『21世紀の資本』著者、トマ・ピケティの弟子、ガブリエル・ズックマンが試算しています。彼によれば、タックスヘイブンにある金融資産は控えめに見ても7兆6000億ドル(約813兆円)に達していて、その結果、徴税を逃れている金額は1900億ドル(約20兆円)に上るといいます。
多国籍企業の課税逃れによる税収ロスを足せば、最大で50兆円くらいはあるのではないか。そのうちの1割が日本の税収ロスとすると、日本政府が徴収できていない税金は5兆円。これは消費税を2%上げて増える税収と同じです」
大企業や富裕層による「節税・逃税」のしわ寄せは、一般の納税者に向かう。弁護士の宇都宮健児氏が総括する。
「タックスヘイブンを利用することは『脱税』のような違法行為ではないかもしれません。しかし、大企業や富裕層が課税逃れをしているから、政府は一般の企業や国民から税金を巻き上げて、それらを社会保障の財源として使っているんです。
本来、税収を上げるなら、庶民から取るのではなく、タックスヘイブンを利用するような人たちにきっちり納税させるべきだと思うのですが」
課税を逃れる巨大企業や超富裕層をこのまま野放しにしておいていいのか—。パナマ文書公開の衝撃は、すぐに収まりそうにない。
「週刊現代」2016年5月21日号より
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