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朝日新聞が記者の給料平均160万円削減の“理由”
http://diamond.jp/articles/-/91146
2016年5月14日 降旗 学 [ノンフィクションライター] ダイヤモンド・オンライン
先月27日、元朝日新聞主筆の若宮啓文氏が亡くなった。
パネリストとして「日中韓三国協力国際フォーラム」に出席を予定していた前夜のことだった。突然の訃報に、開会式で司会を務めた中国の李肇星元外相は“若宮さんは日中友好、日中韓交流に力を注いできた”と挨拶し、韓国の金章洙駐中国大使も“韓国の古い友人が亡くなった。哀悼の意を表したい”と述べた。
さもありなんと言うべきか。この方は、中韓に大人気だったのである。
何故かと言えば、2005年、担当していたコラム『風考計』に“竹島を韓国に譲り、友情島にすることを夢想する”と書き、韓国から“勇気ある発言”と褒めそやされたり、2014年に韓国で開かれた「ソウル・東京フォーラム」で講演した際には、一般参加者の韓国人男性から“日本が独島(竹島の韓国名)を奪いに来るかもしれない。どうすればよいか”との質問を受け、こんなふうに応えたりもしていたからだ。
私が身体を張って止めます、と。
また、読売新聞・渡邉恒雄主筆と雑誌『論座』で対談し、小泉純一郎首相(当時)の“靖国参拝反対”を訴えて中国を喜ばせたりもしていた。
2年前に朝日新聞を退職すると公益法人『日本国際交流センター』のシニアフェローに就任。同時期に釜山の東西大学で“碩座教授”に任命され、さらに国立ソウル大学・日本研究所に客員研究員として招請されもした。あわせて、韓国三大紙の一つ、東亜日報(ときおり記事を捏造してしまう新聞社)に連載コラムを持っていた。そこでも韓国寄りのコラムを書き続けたが、慰安婦の強制連行というでっちあげを報じ続けた朝日新聞は、韓国では“日本の良心”と呼ばれているのだ。韓国人ジャーナリストが言う。
「朝日は韓国では『日本一良心的なマスコミ』と言われています。でも『良心的』は『親韓的』と同義。韓国にとって都合の良いことを言ってくれる朝日記者は、韓国人記者から尊敬のまなざしで見られ、英雄視されます」
その第一人者が若宮氏だったのだという。主筆時代には、現地に支局員がいるにもかかわらず中国出張に女性秘書を同伴させたうえに飛行機はファーストクラスを利用。宿泊も超豪華ホテルといった舛添都知事もびっくりの“不正海外出張”が内部監査室の調査で発覚した若宮氏だが、大好きな中国で亡くなったのだから本望だったのではないか。
中韓には大人気の朝日新聞社だが、いま、かなりヤバイことになっているらしい。
経営危機がささやかれているのである。年明け早々、社員専用のHPには“人事・給与制度改革と定年延長を提案”と題された社報が掲載された。
〈今回の給与制度改革は、給与水準の抑制を伴い、みなさんにとって大変厳しい提案にならざるをえませんでした(中略)平均年収は、16年度対比で約160万円減少する見込みです〉
なんと、朝日新聞社は、社員の給与を平均160万円も削減するというのである。
多少の減給はやむないと朝日の社員も思っていたそうだが、平均160万円と聞いて愕然としたという。年収の削減幅は対象年齢によって変動するが、改定例をみると30歳で約88万円が削減されて年収は786万円になるとのことだ。40歳だと削減額は驚きの192万円で、削減後の年収は1053万円になるのだとか。
給料の削減だけではなく、朝日は早期退職者も募っている。朝日の社員が言う。
「新年会でも早期退職制度が話題になりました。我々40代だとだいたい5000万円は貰えるそうです。そのお金は老後に取っておいて、別の仕事を探すのも悪くないかなって思い始めています」
朝日新聞社が早期退職希望者を募ったのは今回が初めてではなく、2010年、赤字に転落したときも同様の募集を行なっていた(このときは112名の応募があり、ローマ支局長などを歴任した外報部の幹部らが退職)。翌2011年には黒字に戻している。
「でも、その後も肝心の部数が下げ止まらない。この3年間でも100万部落ち、昨年 11月時点で660万部まで減りました。売り上げはこの10年で1000億円以上減少し、広告費も半分以下に減っています。それで、10年に続いて今回、新たなリストラ策が提示されたわけです」
売り上げ部数の100万部減にも驚かされるが、こんなツイートまで散見された。
〈これまで私のような正規の定年退職者にはタダで朝日新聞が配達されたのだが、ついに「経営が苦しいので、今年3月いっぱいでOBへの無料配達は打ち切ります」と通知が来た。1ヵ月4000円ちょっとの購読料を払えという。たぶんOBの大半は購読をやめてしまうだろうな〉(1月9日)
背に腹は代えられないということか。それとも、落ちるところまで落ちたと言うべきなのか。
朝日新聞の発行部数はこの3年で100万部減の660万部と朝日の社員は言うが、実際はさらに200万部少ない470万部との声もある。今年3月末、朝日新聞社は“押し紙”問題で公正取引委員会から、口頭で“注意”を受けたのである。
「押し紙とは、新聞社が部数の水増しのため、実際に配達されている部数を超えて販売店に注文させ、買い取らせる新聞のことです。例えば、実際の購読者が700世帯の販売店に1000部を注文させれば、300部が押し紙となる。これは独占禁止法で禁じられていて、これまで朝日に限らず、数多くの新聞の販売店主が公取に資料を持ち込んできましたが、処分はほとんどありませんでした。今回、公取が注意に動いたのは画期的なことで、いよいよ“本気”になったのか、と思います」(新聞販売問題に詳しいジャーナリスト・黒薮哲哉氏)
販売店に新聞を押しつけるから“押し紙”なのだが、朝日が200万部もの押し紙をやっているのであれば、たいへんな資源の無駄遣いだ。ぜんぜんエコじゃない。
〈販売店主たちがすべての水増し分のカットを要求し、朝日がそれにすべて応じたとしよう。すると、部数は3割減少する朝日の収入のうち、部数に連動する「販売+広告収入」の割合は9割(2016年採用HPより)。その3割が消えると収入の約27%が一気に吹っ飛ぶことになる。背筋が寒くなる数字である〉
朝日新聞社はいま、そういう危機に直面しているのである。だが、朝日新聞の売り上げ部数が激減したのは、押し紙だけが理由だろうか――?
朝日新聞は、昨年4月1日から“お詫びと訂正”を社会面に載せるようになった。ちょっと興味深かったので、紙面にお詫びと訂正が載るたびにスクラップをしていたのだが、昨年4月1日から今年3月31日までの1年間に、朝日新聞ははたして何回のお詫びと訂正記事を載せただろうか。
4月(3回) 5月(4回) 6月(10回) 7月(4回)
8月(10回) 9月(7回) 10月(10回) 11月(6回)
12月(6回) 1月(10回) 2月(10回) 3月(10回)
という結果になった。驚くべきことに、全てを足すと90回にもなるのだ。ただし、一度の掲載で複数の“お詫びと訂正”を載せた日が13回あったため、朝日新聞が一年間で記事を訂正した数は、103回だ。ほぼ3日に一回である。
さらに言えば、90回の訂正記事は“朝刊”のみの回数で、ここに“夕刊”に載ったお詫びと訂正数をあわせたら、朝日の誤報は90回どころの騒ぎではなくなる。かつて日本のクオリティペーパーと謳われた朝日新聞には、信じられないような頻度で記事に誤りがあるのだ。記者の質が落ちたのか?
私は、朝日新聞と言えば腐っても鯛の大新聞社なのだから、お詫びと訂正はせいぜい年に5回……、多くても10回くらいだろうと高を括っていたが、とんだ思い違いをしていたようだ。3日にいっぺんお詫びと訂正を載せといて、どこがクオリティペーパーなのだろうか。
ブーメランと言えば民進党の十八番だが、朝日も負けてはいなかった。
〈紛らわしいけれど、なりすましたり騙したりしているのではない。「鷽(うそ)」はしばしば「鶯(うぐいす)」と読み間違えられる(中略)
去年に買った鷽の木彫りを神社に納めて、新しいものに買い替える。ありがたいことに、去年ついたうそも全部帳消しにしてくれるそうだ。胸に手を当てて大きめな木彫りがほしい人もあろうか。当方は東京の湯島天神で人指し指ほどのを買い求めた。
だが、大仏級の木彫りがあっても帳消しにならぬうそは多い〉(1月30日)
天声人語氏はなかなかに茶目っ気があるようだ。朝日新聞は築地の本社に東京ドーム級の木彫りを祀っても、一連の慰安婦報道の誤りや吉田調書を曲解した記事が帳消しにはならないことがわかっているのだろう。
だから、こんな天声人語もある。
〈朝、新聞が届く。「私はいつも最初にスポーツ欄を開く」と言ったのは米国の政治家で判事だったウォーレン氏だ。「そこには人間が達成したことが記録されている。第一面は人間のしでかした失敗ばかりだ」〉(2月4日天声人語)
そうなのだ。2014年8月5日、6日の朝日新聞の一面には、でかでかと“人間がしでかした失敗”が載っていた。
そして、実に面白いコラム『社説余滴』が13日の朝刊に載った。コラムでは、国際社説担当の箱田哲也氏が若宮啓文氏を追悼している。
〈大型連休中、二度も一人カラオケに行き、韓国民謡「恨五百年(ハン・オーベンニョン)を歌いまくった。先月、68歳で急逝した元朝日新聞論説主幹・若宮啓文さんの十八番で、先輩の早過ぎる死を静かに悼んだ。
若宮さんは日本でも韓国でも著名だったが、多分に誤解もされていた。理由の一つは、日韓が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)をめぐる11年前のコラムだろう。「いっそ韓国に譲ってしまったら、と夢想する」と書いて大騒ぎになった。
真意は当然、単純な譲渡論ではない。日韓が不毛な対立を永久に続け、本当に大事なものを失ってよいのか、という問いかけだったが、思いは十分には伝わらなかった(後略)〉
思わず首をひねってしまったコラムだが、私見ながら言わせてもらおう。思いが伝わらない文章を書いたのだとすれば、若宮氏はジャーナリストとして二流だったということではないのか。多分に誤解される記事ばかりを綴るジャーナリストが一流のわけがない。
それよりも、追悼と言って連休中に二度も一人カラオケに行き、韓国民謡を歌いまくったというこの箱田哲也という記者が、私にはちょっと空恐ろしく感じられた。韓国の民謡を十八番にしていた若宮氏にも思うところはあるが、急逝した先輩を偲ぶ歌が韓国民謡というのがいかにも朝日らしいと言えば朝日らしいのだが。本当に好きなんだね、お隣りの国が。
日本の新聞ジャーナリズムは世界のそれとはちょっと違っていて、国益を損なうような事案も躊躇なく記事にしてしまうという欠点がある。対立国を喜ばせることや、日本が不利になることを平気で書くのだ。旧日本軍は慰安婦を強制連行したとか、南京では30万人もの中国人を虐殺をしたとか、竹島は韓国に譲れとか。
アメリカも実はかなりの数の領土問題を抱えているが、カリブ海のこの島はコロンビアのものだ、ここはキューバの領土だなんて言う新聞記者はいない。そんな屈折したジャーナリズムがアメリカにはないように、フォークランド諸島をアルゼンチン領だと言い張るイギリス人ジャーナリストもいない。フィリピン人やベトナム人のジャーナリストが、南沙諸島は中国領だなんて言いますか?
朝日の記者だけだろう。国益を損ねて悦に入ってるのは。
韓国人に日本の良心だとか立派だと言われるからクオリティペーパーだなんて、勘違いだけはよしてほしいと切に願う今日この頃であります。
参考記事:朝日新聞
週刊新潮1月28日号4月28日号他
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