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東京五輪「裏金」疑惑 日本スポーツ界築いた“信頼”水の泡
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/181264
2016年5月14日 日刊ゲンダイ
IOC委員だったディアク(右)の息子に…(C)AP
「ジャパンよ、おまえもか!」という声が聞こえてきそうだ。
英紙ガーディアンは11日、東京五輪招致委員会側が招致活動に絡み、当時国際オリンピック委員会(IOC)委員だった国際陸連のディアク前会長の息子が関係するシンガポールの口座に約130万ユーロ(約1億6000万円)を支払った疑いがあると報じた。
これを受け、ディアク前会長のドーピング隠蔽をめぐる汚職事件を捜査中のフランス司法当局は、2013年7月と10月に「東京五輪招致」の名目で日本の銀行から280万シンガポールドル(約2億2300万円)が前会長側に振り込まれたことを公表した。
日本オリンピック委員会の竹田恒和会長は「我々はフェアに招致活動をした。問題はない」と反論したが、ここまで金銭の授受が明らかになった以上、日本がカネで「五輪開催」を買ったと言われても仕方ない。
日本は、88年名古屋、08年大阪、16年東京の五輪招致に失敗。同じ過ちを繰り返すわけにはいかない安倍晋三首相は、自らアラブ諸国を回って支援を呼びかけ、招致演説で福島第1原発の汚染水を「アンダーコントロール」と言って世界を欺いた。その後も原発処理は遅々として進まず、汚染水はタレ流されている。
スポーツライターの工藤健策氏が強い口調でこう語る。
「日本企業の醜聞は珍しくないが、日本人アスリートの禁止薬物使用はほとんどないし、競技中の違反も少ない。ことスポーツに関しては、日本は世界にクリーンなイメージを与えてきた。それが20年の東京五輪招致では安倍首相が嘘を言い、IOC委員に賄賂を贈っていたことも明らかになった。招致合戦に勝つためなら、日本だって他国と同じように汚い手を使うということを世界が知った。五輪をスポーツの祭典ではなく、金儲けのビッグチャンスととらえる輩のおかげで、日本人選手や日本人そのもののイメージまで悪くなったとすれば残念なことです」
■国民は納得するのか?
それだけではない。新国立競技場建築計画の白紙撤回に始まり、エンブレムの盗作問題、揚げ句の果てが、設計計画で聖火台の設置を想定していなかったことが判明。東京五輪は招致から準備に至るまで、何から何までいい加減だったことが世界に発信された。
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏もこう言う。
「東京五輪を招致する際、財政的に問題がないことをアピールするだけだった。確固たる理念もなく、招致に成功すれば何とかなる、カネでなんでも解決できると思っているから、一度ほころびが生じると手が付けられなくなるのです。一連の騒動は、東京で五輪を開催することがいかに愚かなことか、自ら暴露したようなもの。自爆ですよ」
スポーツ界において日本が築き上げてきた「信頼」は穢れた「東京五輪」で瓦解した。
信頼を失ったこととは別に、IOC委員の関係者に大金を振り込んだということは大変な問題だ。
「その通りです。振込先も果たして1人なのか。真実を明らかにするのは当然ですが、こうなればいっそのこと、五輪開催権は返上した方が国民もスッキリするのではないか。少なくとも、東京五輪賛成派の人たちも気持ちよくオリンピックを迎えることはできないでしょう」(前出の工藤氏)
今からでも遅くない。嘘と金まみれの五輪は辞退するべきだ。
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