http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/925.html
Tweet |
安倍首相の発想は時代錯誤(C)日刊ゲンダイ
世界経済の名の下に失政を糊塗…時代錯誤の財政出動 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/181168
2016年5月13日 日刊ゲンダイ
安倍首相は大型連休中に欧州各国とロシアを歴訪。今月26日からの伊勢志摩サミットに向けた下準備に費やしていた。G7である英国、ドイツ、イタリア、フランスなどに、「機動的な財政出動の協調」を呼びかけていたが、ナンセンスと言うほかない。
確かに、世界の経済は勢いを失っている。先進国が一緒になって積極的に財政資金を投入し、世界の景気をなんとか浮上させよう。安倍首相はそんなメッセージの伝道役を務め、サミットの議長国として国際世論を牽引しようとしたのかも知れないが、そもそも大前提を見誤っている。
もはや財政出動によって、世界の景気が再び浮上することはあり得ないのである。
もちろん、日本一国だけのことを考えれば、財政出動によって、やるべきことはある。熊本地震でも露呈したばかりの建造物の耐震性強化や、老朽化したインフラの再整備など「待ったなし」の課題も多い。
ただし、それしきのことで世界の景気は勢いづくのか。英・仏・独の経済は回りだすのか。答えは「ノー」だ。日本経済が財政資金投入で上向いたのもひと昔前の話であり、ハイテク化、グローバル化が進んだ今日の経済は、エンジンの仕組みや性能がまるで違ってきている。
G7各国はいずれも大企業のカネ余り、資金余剰の状態に陥っている。中国経済の急減速により世界経済はエンジン役を失っている。かような状況下で、いまさら先進諸国が積極財政に打って出ても、世界経済が大きな音を立てて再び回りだすはずがない。
ボイラーの壊れた機関車に、いくら石炭をくべたところで、走りださないのと同じ道理だ。安倍首相が欧州各国を回って財政出動を呼びかけ、来るサミットで合意を求めるなんて、あまりにもトンチンカンだ。
安倍首相が各国に財政出動を求めるのには、恐らくは別の狙いがある。自らの経済失政を糊塗し、こっそり政策転換を図るため、「世界経済の減速」を方便のひとつに利用しているに違いない。
黒田日銀による異次元緩和からは何ひとつ成果を得られず、このままでは来年4月に予定通り消費税率を引き上げるのも困難だ。だから「世界経済の減速」をもっともらしい理由に掲げ、消費税増税を先送りし、国債発行の減額も見送る。この夏の参院選、場合によっては衆参ダブル選に向けた人気取り策の一環として、積極財政に転じて国債を増発。大がかりな景気対策に打って出るつもりではないのか。
安倍首相がG7各国に「機動的な財政出動の協調」を呼びかけているのは、あくまでも選挙対策。自らを利するためだけの欧州行脚であり、伊勢志摩サミットなのだ。
それにしても経済成長一本やりの安倍首相の発想は時代錯誤だ。何本も矢を放ったのに、この国が上向くことはない。今の日本に必要なのは、ウルグアイのムヒカ前大統領が提唱する「成長を求めるな、幸せを求めよ」という姿勢であり、強欲資本主義との決別である。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK205掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。