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憲法改正の動きの裏側にいる彼らの存在を知っていますか?(撮影:今井 康一)
憲法改正の先行き左右する「日本会議」の正体 彼らの運動はつい最近始まったものではない
http://toyokeizai.net/articles/-/116450
2016年05月05日 幻冬舎plus :東洋経済
最近、メディアで取り上げられる機会が増えた、日本最大の保守系市民団体。なぜ今、この団体の存在に注目が集まっているのでしょうか? 扶桑社新書から『日本会議の研究』を刊行した著述家・菅野完さんが解説します。
熊本・大分の地震がおさまらない。
軽微になりつつあるとはいえ、未だに余震は続いている。余震を恐れる被災者たちは、避難所や車中での困難な生活を強いられている。すでに発生から半月を過ぎたにもかかわらず、復興作業にさえ着手できない。そもそも被害の全容さえまだ判明していない。
そんななか、政府は激甚災害指定を出すことを躊躇した。東日本大震災に対する激甚災害指定が地震発生から中1日で出されたことに比べると、極めて遅い対応だと言わざるをえないだろう。今回の震災では何かにつけ政府の対応の遅れが目立つ。だが1点だけ、政府首脳が極めて迅速に対応した案件がある。――そう憲法改正だ。
■憲法改正への意欲
菅官房長官は4月15日の記者会見で、熊本地震に関し、災害発生時などの非常事態に際し首相に権限を集中させる「緊急事態条項」を憲法改正の上、新設することについて「極めて重く大切な課題だ」と述べた。この発言は記者からの質問に答える形で出されたものだが、なぜかその時、菅官房長官は事前に用意されていた答弁用紙を読み上げていたという。熊本地震の発生は4月14日夜半。その直後に行われた記者会見に、官房長官は「憲法改正」について言及する答弁用紙を用意して臨んだことになる。激甚災害指定があそこまで遅れたことに比べると、なんとも手まわしの良い話だ。
ここまで改憲にこだわる姿勢は、安倍政権の特徴とも言える。当時もあまり話題にならず、またその後に起こった地震で霞んでしまったが、今国会の特徴は、安倍首相から重ねて「憲法改正への意欲」が語られた点にある。3月2日の参院予算委員会で安倍首相は、民主党(当時)・大塚耕平議員の質問に、「(憲法改正は)私の在任中に成し遂げたいと考えている」と明確に述べた。安倍政権は、改憲に本気だ。
改憲に本気だからこそ、「災害対策基本法」などの既存の法律で対応可能な災害緊急事態の布告や激甚災害の指定などより先に、「憲法を改正して、緊急事態条項を新設するべきだ」という一足飛びな話が菅官房長官からも飛び出したと見るべきだろう。
「緊急事態条項」こそが改憲の目玉だという議論は何も与党や政権内部だけで主張されているわけではない。昨年11月、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と称する団体が、武道館で「今こそ憲法改正を!1万人大会」なる集会を開いた。
この集会で挨拶に立った同会共同代表の櫻井よしこは、現憲法の問題点を羅列した上で、「大規模な自然災害に対しても、緊急事態条項さえない現行憲法では守り通すことは困難です」と述べた。約15分に渡る長い挨拶のなかで櫻井が触れた具体的な改憲項目は、「緊急事態条項」と「家族条項」の2点のみ。「改憲」議論にはつきものの「憲法9条」については、日本を取り巻く安全保障状況の変化を述べるにとどまり、具体的な言及はなかった。
どうもこの団体の主張内容と、政府・与党の改憲に関する主張内容は似ているように思える。現にこの集会には、安倍首相からのビデオメッセージが寄せられている。また、自由民主党の国会議員も多数出席した。「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と政権側は、密接な関係を持っていると見ていいだろう。
同会の共同代表は3名。先述の櫻井よしこのほか、田久保忠衛(杏林大学名誉教授)、三好達(元最高裁判所長官)の2名が務める。この両名には、ここ最近メディアがその名前を伝える事例が増えた保守系市民団体「日本会議」の会長職を務めたという共通点がある(田久保は現会長、三好は名誉会長)。田久保と三好だけではなく、その他の役員メンバーを見ると、事務局長の椛島有三(日本会議事務総長・日本青年協議会会長)、幹事長の百地章(日本大学教授・日本会議政策委員)など、日本会議関係者によって要職が占められているのが見て取れる。
この事実からもわかるように、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、日本会議が改憲運動のために作ったフロント団体に過ぎない。同会の本体は、「日本会議」そのものだ。
日本会議はこれまで、改憲運動のみならず、夫婦別姓反対、ジェンダーフリー反対、閣僚・政治家による靖国神社参拝推進、慰安婦問題での朝日新聞への攻撃、教育基本法への「愛国心条項」の追加、教科書採択運動などなどと、ここ20年ほどの間に立ち現れたありとあらゆる「右傾化」路線を支える圧力団体として活動してきた。
彼らの運動は、ここ最近始まったわけではなく、70年代安保の時代にまでさかのぼることができる。実に40年以上の歴史を誇る「市民団体」なのだ。そしてその40年以上に渡る運動の最後の仕上げとして、今、安倍政権とともに、「改憲」という彼らの宿願を果たそうとしている。
今夏の参院選まで、残すところわずか数ヶ月。安倍政権がこの選挙を「改憲への布石」と位置付けてくることは明らかだ。安倍政権の改憲路線に多大な影響を与える日本会議の動静に、今後ますます、注目していく必要があるだろう。
(文・菅野完)
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