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会談を前に握手する岸田外相(左)と中国の王毅外相=北京で30日、AP
岸田外相の訪中記事に見るメディアの取材力のなさ
http://xn--gmq27weklgmp.com/2016/05/01/post-4449/
1May2016 天木直人の公式ブログ
きょう5月1日の各紙の報道は岸田外相の訪中の事ばかりだ。
ゴールデンウィークで記事にするニュースがないからか。
そうではない。
いまや日中関係は安倍外交の中で、最も重要で困難な問題なのである。
おまけにサミット議長国として中国問題をどう位置づけるかは、安倍首相にとって、最重要なテーマである。
だから、各紙がこぞって大きく取り上げるのは当然だ。
ところが、各紙の記事を読み比べても、今度の岸田外相の訪中がどういう成果をもたらしたのか、いや、それ以前に、そもそも今度の岸田外相の訪中が何を目ざしたものか、さっぱりわからない。
なぜか。
それは各紙とも、目新しい情報を努力して入手して報じようとしないからだ。
だから各紙とも記者の作文に終始している。
そんなことは評論家にまかせればいい。
新聞が報じるべきは情報である。
なぜ各紙は情報を流せないのか。
それは外務省のタレ流す情報を書くことに終始して来た怠慢のツケである。
しかも今度の岸田訪中について、外務省と岸田外相は官製情報さえ流さなかったらしい。
だからますます記者たちは書けない。
その一方で、中国の外務省と王毅外相は中国側の立場について詳しく流した。
日本の記者はそれを書くしかない。
その結果どういう報道になったか。
中国側がこれまでの立場を変えなかったという事ばかりが流される。
それでは記事にならないので、岸田外相も言いたい事を全部言ったとなる。
その結果4時間にも及ぶ長く、真剣な会談になったなどと書く。
それでは決裂するしかないが、それでは岸田外相の面目が立たないから、そうも書けない。
これ以上関係が悪くなることは日本も中国も望まないから、日中関係改善の重要性では一致した、と書くしかない。
まさしく作文だ。
こんな調子だから、いくら新聞記事を読んでも、今度の岸田外相の訪中の本当の事は何もわからない。
しかし、ひとつだけはっきりしたことがある。
それは共同記者会見も歓迎晩さん会もなかったということだ。
これは「日本の外相が国際会議以外で中国を訪問するのは4年半ぶり」である(5月1日朝日)にしては、異例で異常なことだ。
結論から言えば、今度の訪中は、ゴールデンウィークを利用して訪中する事を日本側から頼み込んで実現した外相会談であったということだ。
最初から成果など期待していなかった訪中であるということだ。
訪中して外相会談をおこなったということが、唯一、最大の成果だという事である。
メディアが何も書かないから、そう推測するしかない。
そして、何を推測しても、その推測は正しいことになる。
情けないぞ、同行記者諸君(了)
◇
クローズアップ2016 日中外相会談 激論、4時間 王氏、サミットけん制
http://mainichi.jp/articles/20160501/ddm/003/010/054000c
毎日新聞2016年5月1日 東京朝刊
岸田文雄外相と中国の王毅外相による30日の日中外相会談は、昼食を含めて4時間余りと異例の長さとなり、関係改善に向けた努力で一致するなど一定の前進があった。その一方で、相手国の安全保障政策や南シナ海問題を巡る根深い相互不信も露呈し、日中関係の行方には不透明感が増している。
「脅威論」に不快感
王氏は30日の会談で、日本に「4点の要求」を新たに提示。中国脅威論を背景とした日米同盟強化に加え、南シナ海など海洋進出への非難を強める安倍政権への不信感といらだちを公然とぶつけた。
要求は(1)政治(2)対中認識(3)経済交流(4)地域・国際問題と広範囲に及んだ。「歴史を直視し、反省する」(政治)との従来の見解に加え、「積極的かつ健全な意識で中国の発展に向き合う」(対中認識)、「日本は対抗意識を捨て、地域の平和・安定に尽力すべきだ」(地域・国際問題)−−など、これまでになく具体的な表現が目立った。
日本の対中観に対する強い違和感−−。中国外務省の諮問委員会委員を務める呉建民・元駐仏中国大使が29日に北京で開かれた日中韓関係をテーマにしたフォーラムで「協力に焦点をあてるべきで、意見の相違に目を向けてはけんかになるだけだ」と語ったように、中国側には日本の行動は対立点ばかりを強調する特殊なものに見えている。
王氏は30日の会談冒頭から、岸田氏に不信感を伝えた。北京の釣魚台迎賓館に姿を見せた王氏は報道陣ににこやかに手を振ったが、両国の国旗の前に立つと、笑顔が消え、ほほ笑む岸田氏に対し無表情のまま握手に応じた。岸田氏が関係改善に意欲を示した点にも「中国の古いことわざの通り、『言葉を聞き、振る舞いを見極める』」と突き放した。
繰り返し示された不信感の裏には、2014年11月の習近平国家主席と安倍晋三首相の初会談以降、約1年半にわたる改善ムード作りが徒労に近かったという中国側の受け止めがある。
両首脳は15年4月にも会談し、同年5月には二階俊博・自民党総務会長率いる訪中団を習主席自ら歓待した。中国にしてみれば習主席という「最高のカード」(北京の外交関係者)を切り続けて日中の歯車を回そうとしてきたのだ。
ところが、昨年9月の習主席訪米前後から南シナ海での中国の行動に国際社会の注目が集まり、安倍首相も東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議などで南シナ海問題を取り上げ、中国をけん制した。
ただ、日中関係の停滞の責任が日本にあるとしながら岸田氏の訪中を受け入れたのは、中国にも強気一辺倒でいられない事情があるからだ。
5月26、27日には、日本で主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催される。議長国の日本に対し、サミットで南シナ海を焦点にしないようくぎを刺す最後のタイミングだった。
また、中国経済の減速傾向は続くのに日本の昨年の対中直接投資は前年比25・2%減と3年連続で前年割れ。「政治的な要因で関係が安定しないことも投資に二の足を踏む一因」(大手日系メーカー)という受け止めは中国側にもある。
「今後の外交日程や経済協力の必要性を踏まえると中国としても外相訪中を受け入れざるを得なかった」と北京の外交関係者は分析している。【北京・河津啓介、赤間清広】
日本かじ取り難しく
「日中関係の歯車を回す端緒となった」。岸田氏は王氏らとの会談後、その意義を記者団に強調した。
国際会議への出席を除き、中国外相が最後に来日した09年11月以降、日本の外相の訪中は今回が4回目となる。相互訪問の原則を差し置いて日本が関係改善を急ぐのは、伊勢志摩サミットの議長国として安全保障や経済の分野で議論をリードするため、環境整備を図る狙いがある。北朝鮮が核・ミサイル実験で挑発を続ける中、北朝鮮に影響力を持つ中国との関係強化は急務となっている。
また、中国の景気減速は世界経済の大きな懸案であり、日中の経済協力は双方にとってメリットがある。日本の景気の先行きも不透明感が漂い、安倍首相の経済政策・アベノミクスが正念場を迎えるだけに、中国人訪日客の増加などでテコ入れを図る狙いもある。
一方で、南シナ海問題は両国の最大の障害となっている。日本は当事者ではないが、中国と領有権を争う東南アジア各国と連携し、力による現状変更を認めないとする国際社会の声を高めることで、中国が東シナ海でも同様の行動に出ないようけん制している。こうした日本の動きに、中国は神経をとがらせてきた。
日本が昨年末に打診した外相会談への回答が4月までずれ込んだのもこの影響が大きい。それでも今回、中国側は日本が求めた最高指導部メンバーとの会談のうち、習主席との会談は見送ったが、序列2位の李克強首相との会談には応じた形だ。1月に岸田氏が求めた王氏との電話協議にすら「多忙」と応じなかった状況からすれば、「中国の対応は変わっている」(日本の外務省幹部)と言える。
ただ、日本としては岸田氏の訪中で関係が一気に進展することまでは期待していない。外務省幹部は「まずは高官の往来を進めるべきだ」と指摘する。
今回の会談をきっかけに、王氏が秋にも日本で開催される日中韓外相会談に出席する意向を表明した。日本側は9月に中国で開かれるG20首脳会議の際の日中首脳会談も実現する可能性が高いと見ている。
ただ、伊勢志摩サミットでも南シナ海問題は議題となる見通しだ。日本としては率直に意見を言い合える関係の構築を目指しているが、この問題に対する中国の不信感が今回の会談でも鮮明となった。サミットの結果を受けて中国がさらに反発すれば、今回生まれた外相や首脳の相互往来の機運もしぼみかねず、日本にとって難しいかじ取りが続く。【小田中大】
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