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(イメージ画像は『朝日新聞』2014年8月5日朝刊より)
急死した元朝日・若宮啓文にネトウヨと百田尚樹が「ざまあみろ」と攻撃!「安倍叩きは朝日の社是」はデマなのに
http://lite-ra.com/2016/04/asyuracom-2200.html
2016.04.30. 急死した元朝日主筆を右派がデマ攻撃 リテラ
元朝日新聞社主筆の若宮啓文氏が、4月28日、訪問先の中国北京のホテルで亡くなっているのが発見された。報道によれば外傷はなく、病死とみられている。68歳、突然の訃報だった。
若宮氏は1970年に東京大学を卒業後、朝日新聞に入社。政治記者として自民党の宏池会を担当するなどキャリアを積み重ね、2002年より論説主幹、11年より主筆を務めた。“朝日新聞的リベラル”の象徴的存在として認知している人も多いだろう。
一方、予期されることではあったが、ネット上では若宮氏死去に際して、引用するのもためらうほどの罵詈雑言が飛び交っている。
〈ざまあみろ売国奴。地獄で懺悔してきな、悪党〉〈国賊がひとり減って誠に清々しい〉〈売国奴死す。御冥福お祈り致しません。38度線に骨でも巻いてもらえや〉〈正直、反日的なことを発信する迷惑な人間が死んだのは日本にとってプラスだと思う〉などなど……。
品性下劣さに吐き気を催すが、さらに作家の百田尚樹氏にいたっては、ツイッターでこんな陰謀論まで披露する有様だった。
〈これは私の妄想です。
もし中国のハニートラップにかかり、あるいは金を貰ったりして、中国の利益になるような報道記事をいくつも書いた日本人記者がいたとして、彼が晩年その行いを反省したとしたら…。
ヤバいことをいろいろ知っている彼を、中国はどうするだろうか。〉(4月29日)
反論する術を持たない死者に向かって、一方的に「売国奴」「国賊」と悪罵を連ね、“中国のスパイ”扱いしたあげく“謀殺されて当然”などと、いったい、連中はどんな思考回路をしているのだろう。
しかも、こうした“若宮ディス”の根拠のひとつとしてがなりたてられているのが、“若宮は「安倍叩きは朝日の社是」と得意げに言っていた”なる逸話。これをもってして若宮氏を“極左反日メディアの大ボス”みたいにいうのだから呆れはてる。
だいたい、若宮氏の手がけた社説やコラムを少しでも読めば、彼が、ごくごく穏健派のリベラル保守であることは誰にでも分かるし、というか、その“「安倍叩きは朝日の社是」と若宮が言った”なる物語自体が大ウソ、安倍応援団が連携して仕込んだデマゴギーだ。どうやら連中には、血眼になって死者を愚弄するほどに人間性も欠けていれば、常識的に情報を精査する能力も欠如しているらしい。
そもそも、この「安倍叩きは朝日の社是」デマの発端は、自民党総裁選直前の2012年9月に出版された『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)という一冊の本にある。報道圧力団体「放送法遵守を求める視聴者の会」事務局長である自称文芸評論家・小川榮太郎氏のデビュー作で、安倍氏の人柄や政治家としての素質と功績をひたすら称揚する“安倍礼賛本”だ。
同書は、無名の「文藝評論家」による処女作にもかかわらずベストセラーとなり、安倍首相復権の第一歩につながったと言われる。だが、以前本サイトでお伝えしたとおり、この本は安倍氏とその応援団の仕掛けによって世に送り出されたものだった。事実、安倍氏の資金管理団体である晋和会が数百万円分も“爆買い”していたことも判明。はなから、安倍待望論の世論形成のためのツールだったのだ。
実は、同書が安倍氏のイメージ回復のため、まっさきに矛を向けたのが、朝日新聞だった。小川氏は冒頭で、「安倍の葬式はうちで出す」と朝日幹部が発言したとして、〈この「大新聞」の安倍への憎悪は、本物だった〉と書く。そして、安倍氏再登板運動を牽引し、同書の中心的仕掛け人でもあった政治評論家・三宅久之氏から〈次のような話を聞いたことがある〉と切り出す。
〈朝日新聞論説主幹の若宮啓文と会った時ね、「朝日は安倍というといたずらに叩くけど、いいところはきちんと認めるような報道はできないものなのか?」と聞いたら、若宮は言下に「できません」と言うんですよ。で、「何故だ?」と聞いたら「社是だからです」と。安倍叩きはうちの社是だと言うんだからねえ。社是って言われちゃあ……。〉
しかし、この「証言」は、小川氏が同書の中で〈ちなみに右記の発言を私は当人達に確認していない。確認するまでもないのだ〉と開き直っているように、なんの裏付けもないもの。当然、録音テープやメモなどの物証も存在しないだろう。もっと言えば、そもそも小川氏は三宅氏の“子飼い”と呼ぶべき弟子であり、証言者と取材者との関係を考えると、客観性がまったく担保されていない。つまり、どう小川氏に好意的に捉えたとしても、せいぜい“都市伝説”レベルの記述にすぎないのだ。
にもかかわらず、『約束の日』発売から数日後、なんと、これまた安倍応援団の筆頭株である阿比留瑠比記者が、産経新聞ウェブ版で同書にある三宅氏の「証言」をモロに紹介した書評を掲載。しかも〈安倍叩きは「朝日の社是」〉と見出しを立てて、〈(朝日は)政治的意図をあらわにしたプロパガンダ機関というべき〉などと騒ぎ立てたものだから、ネット上で瞬く間に拡散した。その後も、百田氏など安倍応援団がさかんに「有名な話」として引用しまくったことで、右派論壇やネトウヨ界隈を超え、いつの間にかさも“事実”であるかのように流通してしまったのである。
しかも最悪なのが、当然のように安倍首相もこの“噂”を政治利用したことだ。安倍首相は、14年10月30日の衆院予算委で、暗に若宮氏を指して「朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としているとかつて主筆がしゃべったということです」などと述べ、朝日を“捏造メディア”と攻撃。もちろん、その年の慰安婦報道訂正に端を発した一連の“朝日バッシング”に、油を注ぐ意図があったのは間違いないだろう。
一方、朝日新聞社はこの安倍首相の答弁について、14年10月31日付朝刊で〈朝日新聞社に「安倍政権を倒す」という社是はなく、主筆が話したこともありません〉と断言。そして、若宮氏自身もこのように全面否定している。
〈驚いて(三宅氏に)電話しましたよ。そうしたら、三宅さんは「いや、たしかにそう言ったよ」と。だったらどこで言ったのかと聞いたら、「記憶がない、どこかで立ち話で言ったんじゃないか」とそういう話だったんです。だから「いや、それは三宅さんの勘違いですよ。そもそも私は『社是』とか『国是』なんて言葉はあんまり好きじゃないし、どこかでそんなことを言うことなんてない。想像さえつかない」と。だから、本でその話を読んだときも本当に狐につままれたような気持ちだったんですよ。〉(ウェブメディア「現代ビジネス」15年5月2日付より)
これは田原総一朗氏との対談記事での発言だが、さらに若宮氏は「言った言わないの水掛け論」で終わらせないよう、「社是」発言のありえなさの証明としてこう続ける。
〈それで『約束の日』を出した幻冬舎に、まだ私が朝日新聞にいた頃の話なので、朝日新聞社として厳重に抗議文を出したんです。そのときに「三宅さんが言っているように、朝日新聞が安倍さんのいいことを褒めずにすべて叩いたかどうか、事実で証明しましょう」ということで、いくつか私の論説主幹時代の社説をコピーしてそれをつけて出したんですよ。
そうすると、ハッキリわかったのは、少なくとも三つの社説で安倍政権を高く評価しているんですね。そういうこともあるから、もし社是だったら私は社是に反したということになるわけですよ。でも、そんなことはあり得ない。〉(前出「現代ビジネス」より)
ちなみに、若宮氏は、百田氏が田原氏との対談本『愛国論』(KKベストセラーズ)でこの「安倍叩きは朝日の社是」発言を事実のように語ったことについても、版元に「厳重抗議」をしたという。事実、百田氏自身も4月29日にツイッターで若宮氏から謝罪訂正を求める内容証明付郵便が送られてきたことを認めている。
若宮氏がここまで徹底して発言を否定し、抗議を行ったのは当然だろう。そもそも安倍氏とその応援団の仕掛けで世に出た『約束の日』の“与太話”が、いつの間にか「事実」のように流布され、しかも安倍首相自身がこれを根拠に攻撃してきたのだ。まさに風説の流布である。
ところが、冒頭で挙げたように、安倍政権の応援団であるネット右翼たちは、こうした経緯をネグって、ひたすら若宮氏を“「安倍叩きは朝日の社是」と公言した反日マスコミの大ボス”扱い。何度でも繰り返すが、若宮氏がもう自らの口で反論できないのをいいことに、こうして悪罵し続ける様は、1ミリの品性もなければ知性もない。まぎれもなく“カス”である。
最後にひとつだけ、そんなネトウヨたちに言っておきたいことがある。
若宮氏は、君たちがイメージしているガッチガチの護憲派でもなければ、ましてや“9条信者”でもなかった。朝日主筆としての若宮氏の最後の仕事である13年1月12日付コラムでも〈9条を改めることがすべて危険だなどとは思わない。それは朝日新聞にとっても悩ましい問題だった〉と書いている。正直に言えば個人的には首肯しかねる意見ではあるが、しかし、それでも若宮氏が改憲に慎重さを求めて止まなかったのは、〈9条は過去に軍国主義で失敗した日本のメッセージであり、自衛隊は国民に広く定着、そのことが周辺国にも安心感を与えてきた〉という事実があってのことだ。
〈刺激と反発の悪循環は止めなければならない。周辺国の指導者にも日本のリーダーにも、ぜひ考えてもらいたいことである。〉
そう朝日主筆として結んだ若宮氏に対して、「無能なサヨク工作員を中国が粛清か?」「スパイが雇用主に粛清された、ってことでFA?」などとほざいているネット民たち。本当に、やりきれない。
(梶田陽介)
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