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「今の政治はひどすぎる」。共産党の小池晃書記局長は安倍政権への怒りをあらわにする。共産党が仕掛ける「野党共闘」は、4月24日に行われた2補選で一定程度機能することが証明された。7月の参議院選挙ではどう戦うのか
共産党小池氏「野党共闘で参院選勝利見えた」 「野合」しているのは自民・公明のほうだ
http://toyokeizai.net/articles/-/115971
2016年04月29日 有馬 晴海 :政治評論家 東洋経済
第4回は、共産党の小池晃書記局長。医師でもある同氏は、4月に副委員長から「ナンバー2」に昇格、党の現実路線を対外的にアピールする立場にある。4月24日の2補選では共産党は候補者擁立を見送り。うち北海道5区選挙では野党は敗れたものの、共闘効果があったことを証明した。7月の参議院選後もにらんだ共産党の戦略とは?
■安倍首相は憲法での自分の位置づけをわかっていない
有馬:7月の参議院選挙についてのご認識からお聞きします。共産党は「憲法や立憲政治を守る戦い」であることを明確にしていますね。
小池:今度の参議院選挙は、今までの歴史上なかった選挙になるのではないでしょうか。現在は安倍政権が強行して成立させた安保法制によって、憲法が踏みつけられ、無視されている異常事態です。
今までの自民党政権は、憲法の解釈については曲がりなりにも歴代の内閣を尊重してきました。しかし、安倍内閣は強行的に解釈改憲に踏み切り、憲法そのものも変えると言っている。ですから、今回の選挙は「憲法的な秩序を取り戻し『戦争法』を廃止するのか、それとも解釈改憲のうえに明文改憲を積み重ねて名実ともに何の制約もなく戦争ができる状態にするのか」、この大争点に決着をつける選挙といっていいでしょう。
今の政治は、本当にひどいの一言です。野党が憲法の手続きを踏んで国会の開催を要求しても拒否する。典型的なのは、昨年5月の衆議院の特別委員会での辻元清美議員に対する首相の「早く質問しろよ」という野次。国会は国民の代表である国会議員が、行政に問いただす場です。行政の長である首相は、代表たる国会議員の質問に答える最も重い義務があるというのに、安倍首相は自分の置かれた憲法上の立場が全くわかっていない。
有馬:安倍首相は、今回の参議院選挙で勝って憲法改正を実現するために、お年寄りへの3万円の給付金など、できるものはすべてぶち込むという姿勢ですね。3年後の参議院選挙など考えていないように見えます。共産党が打ち出した野党共闘は、安倍政権に歯止めをかけるための戦略だと思いますが、具体的にはどのようにするのですか?衆参同日選はいったん遠のいたようですが、衆議院と参議院などでは違いがあるのでしょうか。
小池:共産党が全国レベルで選挙協力をするのは今回が初めてです。今までは地域限定では経験があり、2013年には「オール沖縄」で行い、小選挙区では全勝しました。今回は昨年9月に安保法制が強行採決された直後から、若者たちなどから「野党共闘をしてほしい」という強い要請があり、国民の声を肌で感じました。こうした声に、政党の壁を乗り越えて答えるのが政治の責任ではないかと考えました。
■参議院一人区優先で野党協力、難しい衆議院
では、具体的にどんな形で野党協力を行うのか。まず参議院から説明します。参議院は一人区、複数区、いわゆる比例分がありますが、まず一人区ではすでに半分をこえる選挙区で野党統一候補が実現し、共産党は候補者をおろしました。野党統一候補と自公候補の一騎打ちの構図が、かなり明確になります。
一方、自公を過半数割れに追い込むという意味では変わりませんが、複数区では野党同士でも競います。これは比例でも同じです。
小池 晃(こいけ あきら)/日本共産党書記局長・医師。1960年東京都生まれ。1987年東北大学医学部医学科卒業、東京都内で医師として入職、複数の病院で勤務。1998年、日本共産党から立候補、参議院(比例区)で初当選。現在は3期目。2004年党常任幹部会委員、政策委員長、参議院議員団幹事長、2007年参議院議員団長、2013年党副委員長を経て2016年4月から現職
一人区で立候補を取り下げていただいた候補者には、原則比例代表に回っていただいています。また共産党候補を野党統一候補にすることも、追求していきたいと思います。
衆議院の小選挙区(475名のうち、295名)では、もし候補者を降ろしてしまうと、政見放送などができなくなりますので、参議院のようなわけにはいきません。例えば比例での得票の比率を基準にして、お互いに候補者をたてて協力し合うなどの方法はどうかと、他党に提案しています。
ただ現在、衆議院での選挙協力に関しては民進党と協議にも入れていません。その理由を、民進党は「すでに候補者を立てているので今さら降ろせないから」としていますが、それは共産党も同じで、理由にはならない。党首合意でも「国政選挙で協力する」としており、衆議院は除くとはしていません。
有馬:2009年に民主党が政権を取った時も、小沢一郎さん(現生活の党と山本太郎となかまたち共同代表)などが呼びかけて、社民党や国民新党などが「反自民」で結集しましたが、その後はバラバラになって行きました。共産党はあの時は、政権与党から距離を置いていましたが、あのときと、今回の共産党の動きは違うのですか。
小池:決定的な違いは、今回は永田町からではなく、国民から「安倍政権を倒してほしい」との声に応えて出てきた動きだということです。言い過ぎかもしれませんが、市民革命的と言ってもいいくらいで、日本政治史上画期的なことです。2009年に民主党が政権を取った時、共産党が協力しなかったのは、あのときの民主党政権が自民党政権と本質的に同じ問題を抱えているという認識だったからです。
しかし、今回は違う。共産党では「国民連合政府」を提案していますが、立憲主義を取り戻すためには、自民党に代わる政権が必要です。民進党との違いは依然ありますが、まず脇に置いてでも、選挙協力を進めようということです。大義の旗はしっかり立っています。自民党など与党から「野合批判」がありますが、自民党に言われたくありません。自公連立のように、ただ勝つためにやっているのではない。立憲主義、平和主義、民主主義、憲法の基本を守るのに力を合わせようというのですから、これ以上の大義はありません。
有馬:もし野党連合が政権を取った場合には、どうなるのですか?また共産党が新政権で閣内に入る可能性はあるのですか。
小池:このたたかいは戦争法を廃止して立憲主義という秩序を取り戻すためのものなので、その性格は暫定的なものです。現在、民進党以外の野党とは、「原発再稼働をやめる」「消費増税の中止」「格差是正」「沖縄の辺野古新基地反対」などでも一致しています。ぜひ民進党も含めて共通政策をつくっていきたい。政権を取ったら一定期間政権運営をしますが、戦争法を廃止した後は、もう一度解散、総選挙を実施して、国民に信を問う形になるでしょう。
また、閣内に入ることが目的ではありませんので、それを選挙協力の条件にはしていませんが、否定もしません。政権を取って閣内に入ることで、筋の通った政策対応をしやすくなるのは事実ですね。
有馬:お話を伺っていると、共産党もかなり現実路線に踏み出した印象を受けますが、やはり国民の要請に応じて、共産党も現実路線に変わりつつある、ということなのでしょうか。
小池:例えば憲法解釈にしても、自衛隊は、現行の憲法下では矛盾している存在ですが、条文に矛盾があったとしても、それは自民政治が起こした矛盾だという認識です。しかし、矛盾があるからこそ、海外派兵などからの歯止めになってきた。共産党は以前から自衛隊が違憲だから何もできないといってきたわけではなく、これまでも共産党は現実に即して、憲法の範囲内でできることは可能だといってきたわけですし、現行の憲法の全条項を守り抜くという立場です。
むしろ、共産党が変わったというよりは、安倍政権の暴走がひどすぎ、これを放置しておくことはできないのです。共産党の政策を放棄するものではないのですが、それを保留してでも止める、ということです。
■国民にポジティブなメッセージを発信したい
有馬 晴海(ありま はるみ)/政治評論家。1958年、長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立、政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰、国民にわかりやすい政治を実践
有馬:その意味で、より幅広い支持を得るには、さきほども共通政策の話が出たように、憲法を守るだけでなく、他の政策でも「野党共闘」の必要がありますね。
小池:やはり経済の問題ですね。異次元の金融緩和に代表されるアベノミクス政策や、消費税の8%への増税実施などで日本経済は失速しています。
根本にあるのは、大企業や富裕層からのいわゆる「トリクルダウン」(富がしたたり落ちること)が破たんしていることです。
われわれの目標は公正な社会をつくることです。米民主党の大統領候補であるサンダース上院議員や、英労働党のコービン党首などが最低賃金の大幅引き上げをはじめとして公正な分配に重きを置いた政策を主張、先進国で支持を得ているのは、決して偶然ではありません。
安倍首相はまずは成長ありきだというが、成長の果実が行き届くまで何年かかるのか。私たちは再分配ありきで、それこそが成長につながるという考え方です。中小企業への抜本的な支援とセットで全国どこでも最低賃金を時給1000円にして、1500円を目指します。1500円だって、標準的な労働時間で年収換算すると270万円程度に過ぎないのです。GDPの約6割は個人消費(家計)なのですから、最低賃金を上げることには大きな意義があります。今のままの貧困と格差の拡大でいいのか。これらの課題克服は、国民にも歓迎してもらえるのではないでしょうか。
有馬:なるほど。しかし民進党もそうですが、「格差是正」だけ訴えかけるのは、強制的なイメージもあるし、言い古された感があります。何か新しいキャッチフレーズのようなものはないのでしょうか?公明党は若者向けにゲームも作りましたよ。
小池:ネット戦略は極めて大事ですし、18歳選挙権の開始に備えて、従来のイメージを変えるような宣伝物を準備しています。また、キャッチフレーズに関しては、現在検討中です。「暴走ストップ」などだけではなく、ポジティブなメッセージを出したいと思っています。
公正な社会を作るための方策はいくつもあります。具体的には、税の集め方を法人税優遇、消費税増税という形から変え、税の使い方も子育てや教育、社会保障に重点的に使うことに改めます。また、働き方についても、ブラック企業のような働き方をやめさせ、最低賃金を大きく引き上げることを政策に掲げ、中小企業に対する手厚い対策を合わせて行う必要があります。日本の場合、労働基準法のなかの残業時間規制のルールが弱すぎることもあり、賃金政策と労働のルールをセットで改革していくのが重要です。
■法人税4兆円減税よりも奨学金3500億円が日本を創る
有馬:自民党政権は、野党の追及をうまく自分たちの政策として取り入れるのが巧みな政党ですが、最近はほころびも目立ってきました。
「自公政権は4兆円も法人税減税をしたのに、結果は企業の内部留保が増えただけ。まず『3500億円分の奨学金』で日本の未来を創る」
小池:安倍政権は「長時間労働を減らそう」と言いながら、実際にはホワイトカラーエグゼンプション(ホワイトカラーに対する労働時間規定の適用免除)を推進しようとしたり、昨年の国会では同一賃金同一労働を否定していながら、急きょ「同一労働同一賃金」の提言をまとめてみたり、矛盾が目立ちます。選挙向けの政策を詰めるときにはぼろが出るのではないでしょうか。
例えば給付制の奨学金にしても「実行する」といってはいますが、きわめて限定的なものにしようという姿勢ですね。しかし、そもそも奨学金とは返済が不必要なもの、というのが世界基準です。
共産党では経済的必要性を勘案しながら、月額3万円(年間36万円)の給付奨学金を70万人(現行の奨学金受給者140万人の半分、学生総数の4分の1)の学生に支給する制度を創設します。規模にすると2500億円程度のものです。また現行のすべての有利子奨学金に利子補給して、無利子化します。この費用は約1000億円。合計約3500億円です。法人税減税は約4兆円規模にもなるのに、この間内部留保が増えただけです。日本経済の成長の原動力は、優秀な人材がさまざまな技術を開発することなどにかかっています。3500億円も出せないようでどうしますか。未来への投資として賛成してもらえるはずです。
有馬 待機児童問題についても、与党よりもよい策をお持ちですね?
小池 待機児童の話は、緊急対策で乗り切る問題ではありません。アンケートをとっているのでわかるのですが、働く女性や家庭にニーズが高いのは、やはり認可保育所です。小規模保育所を増やすなどの安倍政権の対応は、規制緩和による詰め込みという場当たり的なものです。そもそもいつまでという期限がありませんから、緊急対策でもなく、ずっと詰め込み続けることになります。
■5000億円あれば待機児童問題は解決可能
「18歳選挙権の開始に備えて、従来のイメージを変えるような宣伝物を準備しています」
共産党は4月6日に、認可保育所をこの数年つまり2〜3年をメドにして3000か所、人数にして30万人分作ろうという政策を発表しました。
約5000億円かかりますが、例えば今、3歳児で保育園に入っている子供は約5割、1〜2歳児は約2割ですが、ニーズを計算すると、この5000億円でかなりの部分をカバーできます。
日本の保育政策は今まで旧態依然としてきました。これは賃金問題であり、国が決める公定価格が低すぎるのです。たとえば賃金は11年目からほぼ横ばいになりますが、これは結婚したらやめてくれ、と言っているに等しいし、いまだに産業ではなく子守だと思っています。国が公定価格を引き上げれば大きく前進できる話です。
有馬:共産党が描く野党連合は、反自民という考え方もさることながら、政策面では、以前よりも野党同士が近づいているという実感がわきました。
小池:さきほども申しましたが、1人区での協力がうまく進むかが勝負です。これがうまくいけば、自公VS野党の構図が出来、複数区でも野党を勝たせようという機運が高まります。北海道5区の選挙結果は、今後に期待を抱かせるものでしたし、日本の未来を希望あるものにするためにも、なりふりかまわない安倍政権の横暴は絶対に止めなければなりません。
【有馬の目】政策にブレがない、一貫性が売りの日本共産党。今回語られた全ては一議員の考えではなく、そのまま党の方針なのだ。今夏の参院選は、改憲阻止の為に一人区では全面的に野党共闘に参画。衆院選はそうはならないからダブル選なら戦術が難しいのではとは、老婆心か。いよいよ参院選は立憲主義を争点に二大勢力が競う。
(構成:福井純、撮影:風間仁一郎)
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