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安倍首相(C)日刊ゲンダイ
G7のテーマに「世界経済」を掲げる愚 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180431
2016年4月29日 日刊ゲンダイ
グローバル時代に通用しない概念
伊勢志摩サミットの開催まで、いよいよ1カ月を切り、安倍首相はますます大ハリキリ。来る大型連休には、熊本地震を受けて、日程を短縮させたものの、1週間かけて欧州を歴訪する。
G7であるイタリア、フランス、ドイツ、英国を訪れるほか、6日にはサミットを締め出されたロシアにも訪問。自らが議長として臨むサミットの事前調整に余念がない。
首相は「世界経済」をサミットの最大テーマと位置付ける。各国トップに財政出動を促す方針のようだが、むなしい結果に終わるに違いない。そもそも、このグローバル時代に「世界経済」なる概念は、もはや通用しない。
ヒト・モノ・カネが国境を飛び越えて、自由に行き来する時代の当然の帰結とはいえ、すでに国家権力では世界規模の経済の流れは統御できない。世界経済に対処し得る「世界権力」を、今の世を生きる我々は持ち合わせていないのだ。
加えて、世界唯一の馬力ある成長のエンジン役だった中国経済が壊れかけ、遠く中東では、これまで表面化することのなかったイスラム国家同士の対立構図がどんどん噴出している。
経済だけでなく政治・外交も混迷する国際情勢下に、先進国の首脳が集まったところで無力だ。希望に満ちた成果が表れるとはとても思えない。互いに混沌の時代を確認し、励まし合う場となるのがオチだ。
それでも安倍首相は世界経済の仕切り役を演じたくて、たまらないようだ。「GDP600兆円」という途方もない目標に向け、今度は「117万人の雇用創出」を打ち出した。
「同一労働同一賃金」の徹底を図り、非正規雇用や保育士、介護士の報酬を引き上げる。こうして待機児童問題を解消すれば家庭の主婦層も働きに出やすくなり、「1億総活躍社会」も実現する。首相の描く青写真はおそらくそんなところだろう。
だが、大前提となる「同一労働同一賃金」の実現は、国境なき時代では困難だ。企業の多くが外国人の安い労働力を求める中、世界中の労働者に同一ルールを当てはめようとするようなものだからだ。
仮に非正規の人々などの賃金が多少は増えても、モノ余りの日本では消費は伸びない。将来不安による老後資金の蓄えに回るだけだ。彼らに経済成長のリード役を期待するだけムダである。
かくなるうえは、熊本地震を踏まえ、道路や橋梁、トンネルなど老朽インフラの改修に取り組むのも手だが、公共投資主導で景気が伸びた時代は遠い過去の話。公共事業の大幅拡大は現在の財政状況が許さない。
安倍首相はさまざまな策を打ち出しているが、「GDP600兆円」の達成には現在から100兆円の上乗せが必要だ。とてもじゃないが、できっこない。すでに八方塞がりだ。やはり申年は「アベの去る年」に近づいていると思えてならない。
高橋乗宣エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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