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判決の傍聴を呼びかけるビラ
国、言論・報道の自由を著しく制限へ 理由秘密のまま逮捕され懲役10年のおそれも
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14872.html
2016.04.26 文=林克明/ジャーナリスト Business Journal
チェルノブイリ原子力発電所事故の30周年にあたる4月26日、午後3時から東京高等裁判所101号法廷で、ジャーナリスト、編集者、写真家、映画監督など、フリーランス表現者43人が提起した「特定秘密保護法違憲訴訟」の控訴審判決が下される。
“現代版の軍機保護法&治安維持法”に真っ向から挑む裁判であり、まさに歴史的な判決となる。最高裁判所に上告された場合、口頭弁論等は開かれないのが通例なので、今回が最後の法廷となる可能性が高い。
ちなみに、この日は安保法制違憲訴訟の集団訴訟が提起される予定もある。この裁判も歴史的なものになるだろう。
秘密保護法は、ブレーキが最初から設計されていない暴走列車だ。行政の長が特定秘密を指定でき、その秘密を漏らした者と入手もしくは入手しようとした者の双方が罰せられる。最高で懲役10年の重刑が科せられる。
特定秘密は4分野(防衛秘密、外交秘密、特定有害活動情報、テロ情報)だが、いつでも拡大できる。最大のポイントは、秘密そのものが隠されることである。
直接の取扱者、そして取り締まる警察以外には何が秘密か知らされない。したがって場合によっては、自分が何をしたかもわからずに逮捕→起訴→有罪→刑務所という流れになりかねない。
つまり、政府が自分たちの失政、失策、不正を半永久的に隠すことも可能な法律といえよう。
しかも、「戦争法」とも呼ばれる安保法制の審議において、中谷元防衛大臣は安保法の運用が特定秘密と連動している旨を何度も答弁した。これで、従来から指摘されていた「戦争のための秘密保護法」が現実のものだということになるだろう。
同法が本格的に適用され始めれば、まさに暗黒の時代となる。報道の自由、言論表現活動の自由は著しく制約されるため、フリーランスのジャーナリスト、編集者、写真家、映画監督などが、同法の違憲確認・施行停止・損害賠償を求めて2014年3月28日に東京地裁に提訴した。
■東京地裁「実際に誰も逮捕されていないので判断しない」
東京地裁の谷口豊裁判長は15年11月18日、憲法判断を避け、秘密保護法の成立・施行による被害に対する賠償請求を棄却した。裁判の途中で法が施行されたため、すでに原告は「施行差し止め」については請求を取り下げていた。
判決の要点は、「不利益処分等(刑事訴追等)が原告らに対して現実的に発動されている等の状況を前提とするものではなく(中略)その主張はいまだ具体的な紛争を前提としない抽象的なものにすぎない」(判決理由)というものだった。つまり、原告らが逮捕・起訴されるなどの重大被害を受けてないから判断しない、実際にそういうヒドイ目にあったら審理してあげてもいいよ、ということである。三権分立を自ら放棄したような判決といえる。
原告のほとんどが納得せず、東京地裁に提訴した42人(裁判中に1人死亡)のうち37人が控訴した。その第2審の判決が4月26日に出る。
■「報道者らを規制対象にする」と国は“自白”
この裁判は、原告全員がフリーランス表現者だから、フリーランスの取材、報道、表現の自由は確保されるのか、ということが重大なポイントである。
秘密保護法22条は「国民の知る権利の保障に資する報道又は報道の自由に十分配慮しなければならない」とし、出版又は報道の業務に従事する者の取材行為は正当な業務による行為と認めている。
また秘密保護法制定時の森まさこ担当大臣は、フリーのジャーナリストも報道に従事する者に含まれると言っている。
このことを確認するため「ルポライター、ジャーナリスト、映画監督、編集者、写真家など原告たちは、報道の自由が確保されているフリーのジャーナリストに該当するか否か」を、何度も書面や法廷で国に確認してきた。
しかし、国は回答を拒否し続け、最終的に出した答弁書は「(不特定多数かつ多数の者に対して客観的事実として知らせることや、これに基づいて意見又は見解を述べることを職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う者)に当たるか否かを判断することができない」としている。
事実上、同法22条で保障される報道の自由は、原告には適用されないと言っている。
原告全員は、詳細な陳述書を提出し、仕事歴、具体的な作品名を示しており、全員が報道等の従事者に該当する。それを認めなかった国の答弁書は、「秘密保護法はジャーナリストらフリーランス表現者の取材・報道・表現の自由を奪うことも想定している」“自白調書”ともいえる。
これは、秘密保護法が憲法違反である明らかな証拠となる可能性が高い。それを確認できたことは裁判を起こした大きな意義といえる。
職業として仕事を継続しているフリーランス表現者の自由も認められないのだから、ブロガーや市民活動家らに対しては、最初から情報収集や取材・報道の自由を認めず、秘密保護法22条の保護の対象にしていないのは言うまでもない。
注目の判決が迫っている。
(文=林克明/ジャーナリスト)
秘密保護法違憲「東京」訴訟 第2審判決
4月26日(火)15:00
東京高等裁判所101号法廷
※傍聴券配布(裁判所入り口脇の配布所)
報告会
4月26日(火)15:40頃から
弁護士会館508号会議室
判決等の情報は原告団ブログを参照のこと。
http://no-secrets.cocolog-nifty.com/blog/
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