http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/795.html
Tweet |
益城町の被害の様子(C)日刊ゲンダイ
巨大地震が断ち切った首相の弓矢の「弦」 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179925
2016年4月22日 日刊ゲンダイ
日本の大手製造業が、いかに熊本の工場に部品供給を依存していたか。大きな余震が今なお続く熊本地震はその事実を改めて浮き彫りにした。
トヨタ自動車は系列のアイシン精機の子会社工場が被災し、ドアの開閉を制御する部品などの供給がストップ。全国の工場が相次いで生産中止に追い込まれたのをはじめ、ホンダ、ソニー、富士フイルム、三菱電機など名立たる企業の工場が大打撃を受け、多くは復旧のメドが立っていない。
大手製造業のサプライチェーンがここまで寸断されると、国内の生産体制に間違いなく大損害を与える。ただでさえ、沈みつつあった景気をますます悪化させ、日本経済には破格のマイナス要因となってしまう。
また、熊本は九州有数の農産県でもある。トマトの生産量は全国1位で、他にも夏ミカンやデコポンなど柑橘類の栽培で知られる。食料品の供給面でも負の影響をもたらすに違いない。
かくして経済的ダメージは日本全体に広がっていく。GDPも例年なら年度初めはプラスの「ゲタ」となるが、今年はマイナスの「ゲタ」となる。4〜6月期のGDPは見るも無残な数値が並ぶことであろう。
成長の足かせは、国内の震災だけではない。海外を見渡せば、イランとサウジの政治対立が深刻化。OPECは完全に機能不全に陥り、原油の減産合意はまたもや不発に終わった。中国経済は立ち直る気配すら見えず、過剰供給問題によって大幅な構造調整を強いられている。
立ち直りつつあった米国経済にもまた陰りが出始めている。
■大いに迷う難しい判断
経済のデフレ傾向がグローバルに広がりつつある中、デフレから抜け切れずにいた日本経済がもう1発、震災という痛烈なパンチを食らったのである。需要喚起のため、安倍首相が予算の前倒し執行を指示したところで、景気の先行きは非常に厳しい。衆参ダブル選挙なんて、とてもできない状況である。
消費税の増税判断も、いよいよ苦しい。先送りすれば財政再建はあきらめざるを得ない。とはいえ、予定通り来年4月、熊本の復旧の道半ばで税率を引き上げれば、景気に冷や水を浴びせることとなる。
安倍首相でなくとも大いに迷う、難しい判断が必要となっている。板挟みのジレンマを抱え、政権を投げ出したくなっても不思議ではないほどで、もはや首相には万事が順調に進む選択肢は残されていない。3本の矢を放ち、何とか国民の期待をつないできたが、いよいよ弦が切れる頃合いを迎えたようだ。
熊本の大地震は安倍政権にも決して癒やせない大きな傷を残した。政治が力を失った以上、被災地の復旧は国民一人一人の善意に頼るしかない。
高橋乗宣エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK204掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。