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通貨戦争に敗北しつつある日本ー(天木直人氏)
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17th Apr 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
熊本大地震のニュースばかりの中でも、もちろん報じる事が許される重要なニュースはある。
その一つは日米間ではじまった通貨戦争だ。
熊本大地震が起きても許される安倍政権批判はもちろんある。
それは政局がらみの批判ではなく、政局を超越した本物の安倍政権批判だ。
その事をきょう4月17日の日経新聞が見事に描写して見せてくれた。
G20出席の為ワシントン入りした麻生財務大臣は14日、真っ先にルー米国財務長官と会談し、
「円相場の偏った動きを懸念している」と迫ったという。
ところがルー長官は15日夕に開かれたG20直後の記者会見で、
「最近は円高が進んでいるが、市場の動きは秩序的だ」とのコメントを述べたという。
当初は「為替相場は秩序的」でとどめる予定であったところが、
アドリブで「円高が進んでいるものの」という言葉をつけ加えたというのだ。
これは麻生大臣の牽制を一蹴したということだ。
これを日経新聞はこう書いている。
日本の通貨当局が瀬踏みして来た円売り介入案が砕けた瞬間だと。
しかも、ルー長官は、次のように語ったという。
「日本は外需ではなく内需に目を向ける必要がある」と。
この発言は3月末のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の、
「利上げ小休止発言」の際の次の発言と見事に平仄が合う。
すなわちあの時私はテレビでその模様を聞いていたのだが、
彼女は最近のドル・円相場について次のように語った。
すなわち、為替相場については私の担当ではないと前置きした上で、
「いまのドル・円相場は米国の経済・雇用に役立っている」と、はっきり述べた。
これを要するに、日米間で通貨戦争が始まっているということだ。
そして、通貨戦争は日米間だけではない。
世界的規模で始まっている。
通貨戦争が本物の戦争につながり、その反省から戦後のGATT・IMF体制が米国主導で作られた。
ところがそれが米国にとって有利に機能しなくなって、米国は米国主導のあらたなルールづくりを始めた。
その行きつく先がTPPだ。
そんな米国に抵抗しているのが中国だ。
米国の人民元切り下げ反対圧力に対し、決して屈しない。
それどころか、上海機構やアジアインフラ投資銀行をつくって、
米主導のあらたなルールづくりに抵抗するもう一つのルール作りに熱心だ。
中国が米国の軍事覇権に正面から対抗している事は言うまでもない。
そんな中で、中国包囲網を唱えて日米同盟強化を進めているのが安倍政権だ。
しかし、いくら日米同盟を強化しても、そしてTPPに協力しても、米国との通貨戦争には勝てない。
プラザ合意から始まって、今度のG20に至るまで、敗北続きだ。
これが安倍政権の矛盾であり、限界だ。
しかし、この安倍政権の矛盾・限界は、政局がらみの安倍政権批判では克服できない。
なぜならば野党もまたこの限界を超えられないからだ。
いや、超えようとすらしない。
この国は、民主党による政権交代の時もそうだったが、
たとえ民進党と共産党の共闘で再び政権交代がなされたとしても、
日本の抱えている最大の問題を解決出来ないのである。
安倍批判は、政権交代がらみの政局としてしか出来ないということだ。
国民のための本物の政権交代は、既存の政党・政治家の寄せ集めでは決して出来ないということだ。
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