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朝日新聞の紙面(撮影=編集部)
新聞紙面の半分が広告、押し紙で部数粉飾…詐欺的行為で優遇措置&巨額利益
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14681.html
2016.04.13 文=渡邉哲也/経済評論家 Business Journal
前回記事
新聞業界崩壊の危機?詐欺的行為「押し紙」に国がメス!不当な方法で巨額の広告収入
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14592.html
本連載前回記事では、新聞の押し紙問題について言及したが、今回も新聞業界の闇に迫りたい。
新聞の紙面を見ると、上部に小さな文字で「第三種郵便物認可」と書かれている。この「第三種郵便物」というのは、一言で言えば「公益性の高い出版物」に与えられる優遇措置であり、承認されることによって、郵送料を安く抑えることができる。地方などでは、この仕組みによって新聞配達が成立している部分もある。
そして、この第三種郵便物は、もうひとつ大きな意味を持っている。公職選挙法の第148条は、新聞が選挙関連の報道および評論を掲載することの自由について規定しているが、3項のロに「第三種郵便物の承認のあるものであること」とある。
つまり、第三種郵便物でない限り、選挙に関する報道や評論ができないのだ。選挙報道なき新聞を誰が読むだろうか。第三種郵便物の承認をされないということは、新聞社としての死を意味することになる。
第三種郵便物の承認条件については、郵便法によって明確な規定がある。詳細は日本郵便のウェブサイト【※1】に譲るが、その中に「全体の印刷部分に占める広告の割合が5割以下であること」「1回の発行部数に占める発売部数の割合が8割以上であること」という文言がある。
しかし、前回記事で言及したように、新聞業界は押し紙によって、発行部数と実売部数に大きな乖離が生じているのが実態だ。仮に、廃棄される押し紙が2割以上あった場合、実売は8割以下となるため、その時点で規定に反していることになる。
また、紙面の5割以上が広告で埋め尽くされている新聞の実態もたびたび問題視されており、半ば常態化している。例えば、3月28日の朝日新聞(朝刊)を見ると、全40面のうち全面広告が17面を占めている。さらに、多くの紙面で記事下に5段広告や3段広告が掲載されているため、トータルで見れば5割を下回っているかどうかは微妙であり、約半分は広告を読まされていることになる。
この第三種郵便物問題については、以前からさまざまなところで疑問が呈されてきた。しかし、新聞社をはじめとする大手メディアが取り上げることは皆無だったため、広く知られることはなかったのである。
■日本郵政が新聞社を詐欺で訴えることも可能か
また、郵政民営化以前の郵便局は総務省の管轄下にあったが、同省もこの問題に対して積極的に取り組むことはなかった。だからこそ、うやむやにされたままで、大きな問題にならなかったわけだ。しかし、2015年11月に日本郵政グループ3社(日本郵政、かんぽ生命、ゆうちょ銀行)は東京証券取引所第1部に株式上場を果たした。
上場企業になったということは、多くの一般の株主が生まれたことを意味し、当然ながら株主総会を行う必要もある。仮に、株主総会で「第三種郵便物の承認について、調査・是正をするべきだ」という要望が株主提案として出て決議された場合、日本郵政はそれに従わざるを得ない。問題を放置すれば、株主に対する背任行為になるからだ。
今回お伝えした第三種郵便物認可の問題において、日本郵政は被害者であり、不正を働いているのは新聞社である。場合によっては、新聞社は日本郵政に対する詐欺行為が成立する可能性もあるだろう。いずれにせよ、日本郵政が新聞社を訴えるような事態になった場合、新聞社の幹部や関係者は処罰を免れないものと思われる。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
【※1】(第三種郵便物 承認条件についてhttp://www.post.japanpost.jp/service/standard/three_four/syounin.html)
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