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「中小のベア、大手を上回る」は誤解を招く偏向報道
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178931
2016年4月7日 日刊ゲンダイ 文字お越し
だから大新聞はどうにもならない(C)日刊ゲンダイ
一体、日本のメディアは誰のために報道しているのか。国民のためなのか。政権のためなのか。
大手紙が一斉に報じた「ベア中小が大手逆転」「ベア中小が大手上回る」という記事は、疑問だらけだ。
こうした見出しを見たら、普通の国民は「今年の春闘は良かったらしい」「賃上げの恩恵は中小にも及んだようだ」と素直に受け取るだろう。
しかし、それが本当に春闘の実態を表しているのか。確かに組合によっては、中小が大手を上回っている。たとえば、金属労協の3月末の集計によると、中小企業のベアは1281円と、大企業の1122円を上回った。中小企業が上回ったのは統計開始以来、初めてのことだという。
大企業と中小企業の“格差”が是正されるのは結構なことだ。しかし、今年の春闘のポイントは、そこではないはずである。一番のポイントは、中小企業のベアも、大手企業のベアも、昨年より下がったことのはずだ。
金属労協の場合、中小企業のベアは1631円→1281円へとダウンし、大手企業は2265円→1122円へと半減している。中小のベアと大手のベアが逆転したのは、大手企業のベアがあまりにも急減した結果に過ぎない。
なのに、どうして中小企業にもベアの恩恵が行き渡ったかのような記事になるのか。これでは、国民をミスリードするだけだろう。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「昨年に続けて中小企業がベアを実施したのは、儲かっているからではありません。人手不足のため、仕方なく賃上げに踏み切ったのです。
でも、人件費の総額を増やす余裕がないから、ボーナスを減額しているのが実態です。しかも、まだ中小企業全体の6割以上が妥結前の上、残された企業はより規模が小さいため、どこまで賃上げされるか分からない。大手紙の経済記者なら、そうした実態を熟知しているはずなのに、なぜ『中小が大手上回る』といった見出しが躍るのか理解できません」
中小企業にもベアの恩恵が及んでいるかのような景気のいい記事は、「アベノミクスは成功している」と喧伝している安倍首相を喜ばせるだけだ。まさか大新聞は、アベノミクスが成功していると印象付けるために記事を載せたのか。
円高で潮目が変わった日本経済
失敗に終わった黒田バズーカ(C)日刊ゲンダイ
「春闘」の実態さえ伝えようとしない大新聞とテレビは、日本経済の足元がどうなっているのか、この先、どうなりそうなのか、分かっていないのではないか。
東京市場が7日連続、下落したように、日本経済の足元は一気に悪化し始めている。昨年末、1万9033円だった株価は、1万5715円まで3300円も急落。下落率は17%だ。安倍首相は二言目には、「世界経済が」「上海市場が」などと、日本経済が上向かない理由を海外のせいにしているが、上海市場の下落率は14%と、東京市場の方が下落幅が大きい。
「『潮目が変わった』というトヨタ自動車の豊田章男社長の発言は実感だと思う。外国人投資家が、年明けから12週続けて株を売り越しているのも、日本経済の潮目が変わったと判断しているからでしょう。いよいよ、アベノミクスの限界がハッキリしてきたのだと思う。大きな原因は、1ドル=109円まで急激に進んでいる円高です。アベノミクスは結局、為替を円安にすることで輸出企業の収益をアップさせただけでした。為替が円高に逆回転すれば、潮目が変わるのは当然です」(斎藤満氏=前出)
しかも、日本経済には嵐が待ち受けている。
「この先、日本経済は要注意です。世界経済が大きく落ち込む恐れがあるからです。IMFのラガルド専務理事は『世界経済の見通しは一段と悪化した』と、2016年の世界全体の成長率を下方修正する方針を示している。ラガルド専務理事が懸念を表明したのは、中国や産油国だけでなく、唯一、元気だったアメリカ経済までおかしくなっているからです。最悪なのは、世界経済が悪化したら、安全資産である日本円が買われ、さらに円高が進むことです。1ドル=105円、1ドル=100円と円高が進行したら、日本経済は大不況に陥ってしまいます」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
日本企業の16年度の想定為替レートは、1ドル=117円46銭である。すでに1ドル=109円と大きく円高が進み、想定レートを上回っている。大手企業のベアが昨年の半額になったのは、もう収益を上げるのは難しいと分かっているからだ。大新聞はなぜ、そこに注目しないのか。
■なぜ、アベノミクスの真相を伝えない
いい加減、大新聞とテレビは、アベノミクスの真相を正確に伝えるべきだ。安倍首相にゴマをするかのように、「ベア中小が大手上回る」と大々的に報じているようでは、どうしようもない。報じるべきは、なぜ大企業のベアが半減したのか、その深刻な理由だろう。
異次元の金融緩和がスタートしてから3年。アベノミクスが失敗に終わったことは、もはや明らかなはずだ。
アベノミクスを評価していたニューヨーク市立大のクルーグマン教授でさえ、「アベノミクスは金融政策に重きを置き過ぎた」と、失敗に終わったことを認めている。
そもそも、安倍政権発足後、「円安」と「株高」が進んだ原因が、アベノミクスの効果だったのかも怪しいものだ。政権が発足した12年末は、ちょうど世界経済が回復し始めた時期だったからだ。アメリカ経済が上向き、ヨーロッパの金融危機が落ち着き、株が上昇するタイミングだった。ドル高・円安も始まっていた。もしあの時、野田首相が解散しなかったら、民主党政権下でも「円安」と「株高」は進んでいたのではないか。
なのに大新聞は、異次元緩和が4年目に突入した当日だけ、アリバイ的に批判的な報道をしただけだから、話にならない。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言う。
「なぜ、消費税増税の再延期が浮上しているのか。なぜ、補正予算の可能性が囁かれているのか。すべてアベノミクスが失敗し、大不況に突入する恐れが強まっているからでしょう。なのに、大手メディアは安倍政権に甘過ぎます。しかも、安倍首相は株価を上げるために国民の年金資産を株式市場にブチ込み、5兆円も大損している。どうして、大手メディアは抗議しないのか。言うに事欠いて、安倍首相は、年金資金に穴があいたら年金支給額を減らすと言い放っています。黙認しているメディアは、どうかしています」
一体、日本の大新聞テレビは誰の味方なのか。いずれ国民から見放されると覚悟すべきだ。
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