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安倍首相官邸が裏で糸引く共産排除野党共闘構想ー(植草一秀氏)
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6th Apr 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
安倍首相は衆参ダブル選の風を自ら巻き起こしてきた。
参院選の投開票日を7月10日に設定する可能性が高いことを踏まえて、
7月10日に衆参ダブル選を実施できるように通常国会の日程を設定した。
通常国会は1月4日に召集され、6月1日に会期末を迎える。
この6月1日に衆院を解散する場合、日本国憲法の規定により、
総選挙を40日以内に実施しなければならない。
その40日目が7月10日である。
つまり、6月1日の通常国会会期末に衆院を解散すると、
7月10日を投開票日とする衆参ダブル選が実施されることになる。
安倍首相は、衆参ダブル選を実施することを決めているわけではないと思われるが、
衆参ダブル選を実施できる条件は整えているということになる。
2012年12月に発足した第2次安倍政権は3年を超える長期政権になった。
長期政権になっている最大の背景を三つ挙げることができる。
第一は、2013年7月の参院選で衆参ねじれを解消したことだ。
衆参ねじれ解消を推進したのは日本のマスメディアである。
政権与党が参院で少数政党である場合、閣僚はいつでも問責決議を可決される状況に陥る。
これが政権を短命化させる主因になる。
米官業政電の利権複合体の一角を占める電=電波産業=マスメディアは
利権複合体による支配を強化するために、
安倍政権与党による衆参両院支配を全面的に推進したのである。
安倍政権の長期化を支えた第二の要因として指摘できるのは株価の上昇だ。
2012年11月に8600円だった日経平均株価は2015年6月に20800円にまで上昇した。
円安=株高の進行が安倍政権の経済政策=アベノミクスを喧伝する格好の環境を形成したのである。
安倍首相はこの流れを維持して2016年の政局に臨み、衆参ダブル選を効果的に演出して、
さらに政権長期化を狙う姿勢を示している。
5月には伊勢志摩サミットも予定されている。
外交、経済政策で得点を稼ぎ、国政選挙に勝利して、
さらに暴走を加速させる目論見を有していると見られるのだ。
しかし、この目論見とは裏腹に、現実の推移は「事態の逆流」の気配を示し始めている。
政権を支えてきた最大の背景である「円安=株高」の基本環境に重大な変化が観察されている。
2012年11月から2015年6月までは、金融変動の基本図式が、
円安=株高
であったが、これが、2015年6月以降は、
円高=株安
に転換しているのだ。
そして、第三の要因として指摘できるのが、野党陣営の結束のなさだった。
2014年12月の総選挙での安倍自民党の得票は主権者全体の17.4%に過ぎなかった(比例代表選挙)。
主権者全体では6人に1人しか安倍自民党に投票していない。
公明党を合わせても得票率は24.7%だった。
主権者の4人に1人しか安倍政権与党に投票していないのだ。
2009年8月総選挙で鳩山由紀夫民主党の得票率は29.1%だった。
この時の鳩山民主党の約半分の支持しか安倍自民党は得ていない。
それにもかかわらず、安倍政権与党が衆参両院を支配してしまっている最大の要因は、
安倍政権対峙勢力が結束していないことにある。
現在の選挙制度では、野党陣営が結束しないと、自公陣営が圧倒的に有利になる。
野党の結束のなさが、安倍政権与党の暴走を招く最大の要因になっているのだ。
この点を踏まえると、非自公陣営で、安倍政権に対峙する勢力が結束することが何よりも重要になる。
2016年の国政選挙では、この点が最重要の焦点になる。
そして、今年の政局を左右する最重要のイベントが4月24日に実施される。
北海道5区、京都3区の衆院補選である。
結論を言えば、
共産党を含む野党共闘を成立させることが最大の焦点だ。
野党共闘のカギを握るのは共産党の参画である。
共産党を含む野党共闘が形成され、安倍自公と対峙する図式が形成される場合、完全な互角の勝負になる。
これに対する警戒を最大限に強めているのがいまの安倍政権の動きだ。
「さくらの木」なる新たな野党共闘の提案が浮上してきているが、
この野党共闘が共産党を含まないものであるなら、この構想に爆発力は生まれない。
逆に考えれば、共産党を含む野党共闘成立を阻止するために、
安倍首相官邸が裏から手をまわして、共産党抜きの野党共闘構想を浮上させ、
野党陣営の足並みを乱れさせることが目論まれている可能性もある。
「安倍政治を許さない!」
主権者の想いを現実のものにするためには、
共産党を含む野党共闘体制を構築することが最重要のポイントになる。
野党共闘成立を妨害しようとするさまざまな動きを排除して、
共産党を含む野党共闘を成立させ、安倍政権与党を退潮させること。
これがいま何よりも求められている政治の対応である。
与野党の対立はすっきりしない。
野党の結束を乱すいくつかの要因がある。
大きな要因は二つだ。
ひとつは、民進党の一部が自公と同質であること。
原発、集団的自衛権、TPP、辺野古基地、格差、緊急事態条項、消費税
の7大問題について、民進党の一部議員の主張は自公政権と同一である。
民進党の他の一部は、安倍政権与党と明確に対峙する。
つまり、民進党は水と油の混合物で、主権者は民進党を党全体として大きな塊として捉えることができない。
そもそも、2009年に誕生した鳩山由紀夫政権を破壊した主因が、民主党内の背徳分子だった。
この背徳分子=悪徳民主党が辺野古基地建設推進、消費税増税推進、TPP推進に走り、
民主党政権崩壊を誘導した。
この悪徳民主党が現在の民進党の中核に居座っている。
だからこそ、新たに発足した民進党に主権者の期待がまったく寄せられていないのである。
そして、この悪徳民主党分子が、共産党を含む野党共闘成立を妨害している。
野党共闘成立を妨げているもうひとつの要因がこの部分だ。
つまり、自公勢力に真っ向勝負できるのは、
「共産党を含む野党共闘」
しかあり得ない。
自民に公明がくっついているのだから、
こちら側に共産党が参画しなければ勝負にならない。
共産党を含む野党共闘が成立して、初めて自公陣営を真っ向勝負できるのだ。
この
「共産党を含む野党共闘」
成立を妨害しようとする勢力が存在することが、野党の結束を成立させない最大の要因になっている。
そして、重要なことは、
安倍政権の選挙に向けての最重要の戦術が、
「共産党を含む野党共闘成立の阻止」
になっていることだ。
安倍首相は、
「選挙のためなら何でもする」
「自公対民共の戦い」
「民共合作」
などの言葉を使って、共産党を含む野党共闘成立を誹謗中傷する。
この、「死にもの狂い」とも言える安倍政権の反応に、勝利の方程式を解きほぐすカギが隠されている。
つまり、安倍首相は、
共産党を含む野党共闘成立を
心の底から恐れているのだ。
新しく浮上している
「さくらの木」
なる構想を見る際の最大のポイントは、
この構想が
「共産党を含む野党共闘の枠組み」であるのかどうか
である。
もし、この構想が、
「共産党を含まない野党共闘の枠組み」
であるなら、この構想の出自を疑う必要がある。
安倍首相官邸は、共産党を含む野党共闘成立に、最大の警戒を払っており、
共産党と他の野党勢力の分断を狙っていると考えられるからだ。
つまり、安倍首相官邸が
「共産党を排除する野党連合」
の構想を、裏から手をまわして画策する可能性あるのだ。
北海道では、鈴木宗男氏が
「安倍政治を許さない!」
陣営から
「安倍政治を絶賛する!」
勢力への寝返りを演じた。
ポイントは「共産党攻撃」である。
これも、安倍首相官邸の意向を受けた行動であると読み取れる。
安倍政権与党を後退させるために必要な最重要のポイントは、
「共産党を含む野党共闘」の樹立である。
野党共闘樹立から共産党を外す画策は、基本的にすべて、安倍首相官邸の意向を受けた
「野党共闘阻止=妨害工作」
である疑いが濃厚である。
この妨害工作を完全排除して、共産党を含む野党共闘を成立させることが、
安倍政権与党を後退させる最大の条件になることを改めて確認しておきたい。
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