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「政府は高齢者偏重で若い世代や子供たちを軽視する」と駒崎氏(C)日刊ゲンダイ
注目の人 直撃インタビュー NPO代表・駒崎弘樹さん「保育所増設こそ最強の成長戦略」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178421
2016年4月4日 日刊ゲンダイ
「保育園落ちた日本死ね!!!」――匿名の投稿者の叫びに、自身のブログでいち早く“返答”したのが認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏。「政府が待機児童対策で困っているようなので、具体策を出してみた」と的確な政策提言ができるのは、かねて待機児童問題に取り組み、内閣府で政策調査員を務めた経験に裏打ちされている。柔らかな語り口だが、その舌鋒は鋭い。保育所不足問題の本質とは――。
■ブログ閲覧数は約500万回に
――匿名ブログをきっかけに母親たちが声を上げたことで、保育所不足問題は今や、政治を動かす事態にまで発展しています。現状をどう見ていますか。
政策の“扉”が開いたと感じています。私たちはこれまで何度も政治に働きかけてきましたが、なかなか声が届きませんでした。今のチャンスを生かし、具体的に問題を改善できるような提言をしていきたい。政府は、高齢者約1250万人に1人当たり3万円の「臨時給付金」を支給することを決めました。一方で、子育て中の若い世代は子どもすら預けられない。高齢者偏重で、若い世代や子どもたちを軽視する。保育園の問題だけにとどまらず、日本の社会保障、政治の在り方をさらけだしたと見ています。
――「保育園落ちた」のブログが投稿された2日後に、いち早くご自身のブログに「『保育園落ちた日本死ね』と叫んだ人に伝えたい、保育園が増えない理由」と書いていましたね。
あの匿名ブログを見た時に、「ああ、そうだよな」と胸の奥底を打たれる思いでした。子どもが待機児童になってしまって困っている方々を近くで見ているので、「分かるよ」という感想を持ちました。そこで、もうちょっと課題をオープンにしようと思い、ブログを書いたんです。ここまで話が大きくなるとは思っていませんでしたが、ブログの閲覧回数は約500万回にも上った。これは、多くの人が待機児童問題で困っていることの表れです。それだけ、“土壌”があったということでしょう。
――安倍政権は待機児童の解消に向け28日、緊急対策をまとめました。事の大きさに慌てているようにも見えます。
私たちは、「子ども・子育て支援新制度」には1兆円強の財源が必要だと約3年にわたって言い続けてきました。にもかかわらず、消費税増税分から7000億円は確保されたものの、残りの3000億円について、政府はずっと手当てしてこなかった。そんな中、政府関係者から「これまでの対策で十分だと思っていたが、そうではないことが分かりました」との発言を聞き、驚愕しました。太平洋戦争じゃないですけど、資源も物資もロジスティクスも足りない中で、「気合で戦おう」と言っているようなもの。実情が分かっていない。正直、「そんなレベルなんだ」と呆れてしまいます。ただ、慌ててくれただけマシ。政策を前に進めようとしてくれたところは、評価できるかなと思っています。
参院選までに政府に約束させる
7月の選挙までにどれだけ政府に約束させられるかが重要(C)日刊ゲンダイ
――最重要課題は、やはり保育士の「待遇改善」なのでしょうか。
もちろんそうです。ただ、政府から出てくるアイデアは、厚労省ベースで考えられているから、既存の枠組みから出ていない。自公両党は、保育士の給与を4%改善する案を提言しました。しかし、保育士の平均給与を元に計算すると、4%は月額で8000円。日給なら400円、時給でいうとたった50円ですよ。これで保育士不足が解消できると本当に思っているんでしょうか。あり得ません。保育士の給与は全産業平均から月額約11万円も低い。ちょっと桁が違うでしょう。
――保育士の待遇改善に、もっと財源を積み増すべきだと。
16年度予算の一般会計は100兆円に迫る規模です。保育士の待遇改善に必要な3000億円など微々たるもの。毎年やっている景気対策の補正予算は同程度の金額か、それ以上ありますよね。高齢者への3万円のバラマキだって総額3600億円です。優先順位の問題であり、いくらでも工面できるハズです。実際、田中角栄は高度経済成長時代の1974年に「人材確保法」を制定し、民間に比べ待遇の低かった小中学校の教職員の給与水準を約25%引き上げた。以降、一度たりとも教職員は減っていないんです。今まさに「平成の人材確保法」が求められています。官邸主導で財務省や厚労省の壁を打ち破り、大胆な決定を下してほしいものです。
――保育士の処遇が改善され、定員枠が拡大すれば、保育所も増える。多くの母親が仕事に就くことができ、「女性の活躍」にもつながります。
女性が働けるようになれば、税収が上がり、将来の労働力率も改善できるんです。以前、テレビ番組でIMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルドさんとお話しする機会がありました。彼女は「私は日本がよく理解できない」「女性の就業率を高めれば、日本のGDP成長率が約2%に向上する可能性がある。なぜ対処しないのか」と言っていました。私は、保育所の増設は効率のいい投資であり、最強の成長戦略だと考えています。しかし、自民党は「投資」ではなく、「消費」としか捉えていないのです。
■自治体のナンセンスな過剰規制
――待機児童が解消しない原因として、保育士の処遇改善の他に何がありますか。
大きな問題は自治体の「過剰規制」です。例えば、東京都の「バリアフリー条例」。「多数の者」が利用する施設には、車椅子でも利用できるようにスロープや「誰でもトイレ」を設置することを義務付けています。東京都はこの条例の順守を小規模認可保育所にも求めているのです。車椅子の方がたくさん来る図書館とか公民館なら分かりますが、小規模認可保育所は基本的に10人程度の0〜2歳児と保育士さんしかいません。とても「多数の者」が利用する施設ではないでしょう。小規模認可保育所は、一般的にマンションの一室で運営しています。どうやってマンションにスロープや「誰でもトイレ」を造るのでしょうか。現実にそぐわない、ナンセンスなことが起きています。
――従来、2万3167人と公表されていた待機児童数ですが、18日には潜在待機児童数が約4・9万人いることが分かりました。自治体によってカウント方法がバラバラになっていて、実態が掴みづらくなっていることも問題です。
首長が選挙の悪影響も考え、待機児童数を過少報告するケースがあります。厚労省も「地方分権」の名の下に、必要以上に介入しないのです。正確な待機児童数が把握できなければ、対策が不十分になるのは当たり前。カウント方法を全国で統一する必要があります。最大の問題は育休延長者がカウントされていないことです。保育園に子どもを入れられず保活を諦めて育休延長する。どう見ても待機児童でしょう。一番いいのは、保育所に「申し込みした人数」から「入園できた人数」を引き算することです。それこそが“保育所難民”の数だからです。4・9万人ではとても済まないと思います。
――安倍政権の待機児童対策は、どうしても参院選向けの人気取りに見える。選挙が終われば、今の“熱気”は冷めてしまうかもしれません。
その可能性は高いでしょうね。ですから、選挙までにどれだけ政府に約束させられるかが重要だと考えています。さすがに公約化すれば反故にはできないでしょう。7月まで今の空気をしぼませないように取り組んでいきたい。メディアにもしっかりアピールしていきます。
▽こまざき・ひろき 1979年、東京都江東区生まれ。慶応大総合政策学部卒。2004年4月、認定NPO法人フローレンス設立。10年1月、内閣府非常勤国家公務員(政策調査員)に任命され、11年2月、政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」委員に就任。現在は一般財団法人・日本病児保育協会理事長、NPO法人・全国小規模保育協議会理事長も務める。
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