「日本死ね」で名を売った弱者の見方! 民進党「政調会長」に大抜擢! 500万円の架空資金!?「山尾志桜里代議士」の奇妙な政治資金 民主と維新が合流して誕生した民進党。政調会長に大抜擢されたのは山尾志桜里代議士(41)である。「日本死ね!!!」と物騒なタイトルのブログを手に安倍首相へ詰め寄った国会の最注目株。そのカネに注目すると、架空資金など奇妙な実態が浮かび上がるのだった。 昔の人は、春の陽気にうとうとすることを蛙のせいにして、「蛙の目借り時」と名付けた。眠いのは蛙に目を借りられたためだと。 目借りは妻(め)狩り、つまり蛙が配偶者を求める行動から転じたもの。相手を求めてしきりに鳴くこの季節は「蛙の妻狩り時」でもあると、『季語集』(岩波新書)が教えてくれる。 民主党と維新の党。年明けから両党は、くっつくのくっつかないのと喧しいやり取りを続けてきた。その妻狩り時を経て、「民進党結党大会」という結婚披露宴を開いたのは、去る2016年3月27日のことである。 言うまでもなく、辷り出しというものは大切なはずだが、 「覚悟を持って新進党・・・・・。民進党をスタートさせましょう。失礼しました」 自らの立ち位置を見失ったか。のっけから挨拶でしくじった新党代表の岡田克也氏は、その後の執行部人事を読み上げる際にもチョンボ。 「失礼しました。一番大事な人を忘れておりました」 そんな風に、きまり悪そうにごまかすのがやっとだった。 この忘れられた人物こそ、山尾志桜里代議士に他ならない。2016年2月半ばに登場した「保育園落ちた日本死ね!!!」なる匿名ブログ。これを待機児童問題として今国会で取り上げ、安倍首相に質した女史は、論功行賞として”幕閣入り”を果たしたのだった。 もっとも、旧民主党のさる幹部が、 「山尾の人事はあくまでも7月の参院選を見据えたもの。実際、最高幹部会へ常に出席するわけじゃなく、必要な時に呼べばいいってところだよ」 そう言うのだから、名前の読み飛ばしもさもありなん。ともあれ、日の当たる場所へ突如飛躍した新政調会長の来し方をざっと振り返っておきたい。 少女時代にミュージカル「アニー」の主役として活動し、東京学芸大附属高を経て東大法学部へ。在学中から法曹界を志し、司法試験に2002年、都合7度目で合格した。2年後に検事として任官し、東京地検、千葉地検、そして名古屋地検岡崎支部に勤務。そんな彼女に目をつけたのが、当時は民主党代表だった小沢一郎氏だ。 「前任の候補は、覚醒剤取締法違反で起訴されて有罪が確定した男。そのイメージを払拭するためには、”清廉な、できれば女がいい”と小沢さんは言っていました」(地元政界関係者) このラブコールに、 「検事として犯罪のない世の中へ変えることに限界を感じ、政治の世界を志した」 と応えた山尾氏は3年強の検事生活に別れを告げる。2009年8月の政権交代選挙で愛知7区から出馬し、初当選。3年後の総選挙では落選するも、2014年総選挙で2期目の当選を飾った。目下、同い年の夫、そして5歳の男の子と暮らしている。 ヤメ検という経歴、民意を汲み取る嗅覚、才走る行動力。様々な能力に恵まれた山尾女史のカネの問題に光を当てることにしよう。 ”不自然な不一致” 山尾志桜里代議士の資金管理団体を「桜友会」という。ここの政治資金収支報告書の2012年分をひもとくと、もともと山尾氏本人から団体への寄付金として、計1144万円の記載がある。それが2016年1月14日になって、「山尾氏からの寄附金920万円、借入金224万円」と訂正されている。 「政治資金規制法では、個人から政治団体への寄附の上限が1000万円と定められている。これに気付いて直したのでしょう」 とは政治部記者。2016年1月14日は、衆院予算委員会で山尾志桜里代議士が質問に立った翌日のことだった。 続いても寄附の話である。同じく2012年、桜友会は彼女自身が長を務める「民主党愛知県第7区総支部」に対して、423万円の寄附をした。にもかかわらず、第7区総支部の方は「899万円を受け取った」旨の記載をしていたのだ。 差額476万円。そのうえ、桜友会には翌年への繰越額、すなわち残高が約273万円しかない。したがって、この差額分を補えないことになる。 さらに詳しく、入出金を日取りと共に追ってみよう。 【桜友会の支出】 2月29日 100万円 3月30日 100万円 4月16日 100万円 5月25日 23万円 7月17日 100万円 【第7区総支部の収入】 1月26日 100万円 2月29日 100万円 3月30日 100万円 4月16日 100万円 4月24日 100万円 5月25日 43万円 7月11日 100万円 7月17日 100万円 7月24日 56万円 12月7日 100万円 ご覧の通り、支出した額と合わない、あるいは支出していない日に収入として記録されているのがわかる。 こうした点について、元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行氏が、 「政治資金規制法の『不記載』あるいは『虚偽記載』に該当し、違法となる可能性があります。ただし、焦点となるのは、外形的な問題といよりはむしろ、会計責任者が故意に行ったか否かというものです」 としたうえで、こう読み筋する。 「本件のように、両団体の責任者が同一人物であるのに、同じ日付の寄附の金額すら異なるというのは、普通は起こり得ないことです。つまり、”不自然な不一致”があるのは確かなのだから、山尾議員は調査をして国民に説明する義務があります」 仮に同法違反罪で担当者が起訴された場合、 「5年以下の禁錮または100万円以下の罰金に問われることとなる。また、任命・監督責任を怠ったと見なされれば、政治家本人も50万円以下の罰金に処されることになります」(神戸学院大の上脇博之教授) 山尾事務所に聞くと、 「3月22日に訂正済み」 としか答えない。実際には、差額476万円分を山尾氏本人からの寄附として付け替えていた。 次に「第7区総支部」が収支報告書に記載しているガソリン代のミステリーに触れよう。小選挙区で対峙する自民党の鈴木淳司代議士とざっくり比較すると、 【山尾】 2012年 230万円 2013年 82万円 2014年 86万円 【鈴木】 2012年 35万円 2013年 26万円 2014年 26万円 ガソリン代が230万円分とはかなりの量である。2012年時のハイオクガソリン価格を160円/g、燃費を15`/gとして計算すると、約21万`で、これは地球5周分に相当する。 当時のスタッフによると、 「私はかなり走っており、マイカーのフォルクスワーゲンで年間2万`。スタッフは自分も含め最大で3人いましたね。えっ、230万円ですか?」 スタッフが3人でも単純計算で年間6万`。21万`との乖離が際立つばかりだが、ひょっとすると、山尾氏およびスタッフの精励恪勤を物語るエピソードなのかもしれない。 今度は、収支報告書に記載されていないミステリー。 彼女は瀬戸市内の民家を賃借して「さくら館」と名付け、そこで「さくら塾」と称した各種活動を行っている。歯科医や書家など幅広い層を講師として呼び、地元民を聴衆として招き、飲食を提供するのだ。時には1人5000円の会費を取って、「養命酒」の工場にバス旅行へ出かけることもあった。この塾活動および旅行の案内をする際に公開している電話番号は、「第7区総支部」と同一のものだ。 となると、塾主催の催しというものは政治活動と見なしうる。当然のことながら、政治資金収支報告書に事務所の家賃や活動費として計上すべきだが、これが一切見当たらないのだ。高井弁護士に再び尋ねると、 「さくら館の諸経費はともかく、バス旅行についてはホームページなどで広く公衆に参加を呼び掛けている以上、私的な会合や行事とは言えません。それは、政治家である山尾志桜里議員の『地盤培養行為』。すなわち、支援者を獲得するために行われる純粋な政治活動です」 もしそうであるならば、 「政党支部または資金管理団体には、収支を報告する義務があります。でも、『第7区総支部』や桜友会の収支報告書には記載がないんですよね。すると政治資金規制法の不記載に該当し、違法となる可能性があるのです」 謎のショートメール さらなるミステリーはメールについて。 例えば先の総選挙の翌日(2014年12月15日 10:27)には、 <皆様のお蔭で当選致しました.厚く感謝御礼申し上げます.民意を国政へ頑張ります.山尾しおり(以下、事務所電話番号)> といった当選感謝のショートメールが、 2016年2月27日には、 <衆院予算委にて安倍総理に質問します。13:36〜14:12の予定です.NHK放映ぜひご覧ください.山尾しおり事務所> と丁寧な宣伝が届いている。発信元は米国だが、登場する秘書の名や携帯番号は実在するもの。 「正確な数は把握していませんが、選挙区内のかなりの方に送られているのではないか。私の知り合いはもちろん、自民党の県議や市議も受け取っています」 と、先の関係者。 対立する鈴木陣営が県警本部に掛け合ったところ、 「やっていることは違法。ただ、”送信者が海外のサーバーを利用し、番号が誰のものか特定できない”と言われたそうです」 事実、総務省や地元選管の話を総括すると、 <選挙活動および政治活動に関しては公選法で、受信者が送信者に”ここへ送れ”と指定したアドレス以外に送ってはいけないと定められている。さらに、呈示されるような『当選のお礼』もメールでやってはいけません。これらの規定に反した者は、2年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科せられるのです> むろん、発信元が山尾陣営だと裏付けがあるわけではない。しかしながら、試みにこの番号へショートメールを送ると、早速こんな返信があった。 <この番号は送信専用です。恐れ入りますがお電話お願いします> 末尾には、地元の山尾事務所の電話番号が記されている。気味の悪い話である。 一連の疑問に山尾事務所は、「現在事実関係を確認中です」と回答した。 最後に、検事の先輩である高井氏が、 「最大野党で要職に就くような人物は、特に政治資金について万全の配慮をすべきです。新党の船出間もなく、不自然な政治資金の問題が出てきてしまったのは残念」 と苦言を呈し、官邸幹部の1人はこう指摘する。 「政調会長は党の心臓部分。そんな大役を2期目の彼女に任せざるを得ないとは、人材の払底ぶりを露呈していますね」 これでは論戦が白熱せず、永田町では眠い目を擦る日が続きそうである。
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