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2016/03/29 05:13
<集団的自衛権行使の根拠になる安全保障関連法が29日午前0時に施行され、戦後日本の平和主義が転換点を迎えた。「専守防衛」が旗印だった自衛隊に入隊した自衛官たちは、任務が拡大し、危険性も増すとみられる安保法施行に「覚悟」を語りつつ、いらだちや揺れる胸中も明かした。
法施行を踏まえ、ある自衛隊幹部は取材に表情を曇らせた。「自衛隊の仕事は、いつまでに何をするかをまず決めて仕事にとりかかるが、安保法に関してはあいまいだ」。実際、安保法が成立した昨年、部隊幹部から「何を準備すればいいのか」と電話で戸惑いを打ち明けられたという。
別の幹部は「安保法で世間の注目を集めるような動きはするなと言われるが、早く訓練したい。それが周到な準備につながるのに」と不満を口にした。
自衛隊の任務が拡大する懸念について、将官クラスの幹部はこう表現する。「選択肢が増える分、自衛隊はこれからまさに政治的に利用される。軍事的に不合理な場合、いかに政治に利用されないか。『やらない』ではなく『今はできない』こととその理由を説明できるか」>(以上「毎日新聞」より引用)
米国の世界戦略は中東での「民社化策」が破綻して、世界警察の看板を下ろし友好国に肩代わりを露骨に要請しだした。その流れから安倍自公政権は自衛隊を米軍の肩代わりに差し出そうと策したのが「戦争法」だ。
安倍自公政権は「戦争法」をレッテル貼りだと批判しているが、「新安保法」は「日米安保法」とは全く異なる概念で、しかも「日米」がないため自衛隊は単独の判断で世界の何処へでも何時でも「出撃」できるようになった。これが「戦争法」でなくして一体なんだろうか。
日本は着々と「戦争法」を実施可能な「攻撃的兵器」の整備を進めている。長距離輸送のオスプレイ購入もそうだが、大型ヘリ空母の相次ぐ完成は紛れもなく周辺事態を想定した限定的な艦船ではない。
日本の自衛隊が世界の何処へでも出かけて戦争できる、というのは日本国民が感じている「漠然とした不安」よりも周辺諸国が感じている軍事的脅威の方が大きいだろう。それは日本国内にいる国民の想像を超えるものに違いない。
なぜなら、日本は70年前に敗戦したものの、国力や工業力それに科学技術力の高さでは米国に次ぐもので、日本が「戦争法」を盾にして軍備増強を進めるなら世界に冠たる軍事力を保持するにはそれほど時間はかからない。
当時最強の戦闘機・ゼロ戦を製造した記憶は日本国民よりも国際的な記憶の方が強く残っている。日本国民の匠ともいえる工業技術力を駆使すれば巡航ミサイルでも米国製を凌駕するモノが簡単に製造できるだろう。核兵器の製造にはネックとなるものは何もない。決断さえすれば半年もかからないで北朝鮮が保持している核兵器を凌駕する程度のものは造作なく製造できる。
産業界が目論む「武器輸出」も日本が自ら嵌めている箍を外せば、世界に冠たる武器輸出国になるのは間違いないし、世界の武器の制度を桁違いで簡単に達成するだろう。武器は戦場で消費されるとの思想から耐久性や完成度は日本の工業製品の精度と比べれば極めて雑で故障しやすいのが当たり前だ。
世界で最も故障の少ない自動車が日本の自動車だということを世界は知っている。その日本が戦闘機やミサイルなどの製造に乗り出せば、世界の兵器市場を席巻するのは目に見える。しかし日本は自らに箍を嵌めて、武器製造に乗り出さず、武器開発にも自己規制してきた。
戦史はいつも勝者の歴史だ。戦場モノの映画や文学作品も「生者」の手によるものだ。敗者や戦死者による物語は圧倒的に少ない。しかし勝者と同じ数だけの敗者がいて、生者よりも圧倒的に戦死者の数の方が多いのが現実だ。
私の父の世代・大正九年生まれの戦場からの帰還者割合は3割にしか満たなかった。同級生の7割は戦場で戦死した。そうした事実を日本国民は忘れたのだろうか。幸いにして私の父親は戦場から生還したが、生きて祖国に帰れなかった者の方が多かったという事実を忘れてはならない。
自衛隊が海外へ出兵して敵を銃で撃つということは、自衛隊員も敵に銃で撃たれる、ということだ。悲劇を伴わない戦争はない。何を好き好んで求めて戦場へ赴く必要があるのだろうか。
日本に外国が攻めて来るのなら、私は銃を手にして戦う覚悟はある。しかし外国へ出かけて外国人を殺害するのは御免だ。米国の戦争を日本の自衛隊が肩代わりするのには反対だ。
米国が世界の正義だという幻想は持たない方が良い、米国は米国の国益のために行動しているに過ぎない。国連が世界平和のための機関だという幻想も捨てなければならない。国連は「戦勝国クラブ」の利害調整機関に過ぎない。第二次大戦以後の世界の戦乱で国連安保理常任理事国五ヶ国が関わらないモノがどれだけあったか。世界の平和を乱している元凶が常任理事国だという事実を国連至上主義者たちは如何に説明できるだろうか。安倍自公政権は「戦争法」を制定して、日本国民の命を危機にさらそうとしている。自衛隊員もまた日本国民だ。
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