http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/260.html
Tweet |
さまざまテレビ番組にも出演する萱野氏(C)日刊ゲンダイ
誰がテレビを殺すのか <第2回>萱野稔人氏 「共感メディアとしての役割は終わり」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/177737
2016.03.21 日刊ゲンダイ 文字お越し
思想誌への寄稿、NHK討論番組への出演などさまざまなメディアに登場し活躍中の萱野稔人・津田塾大学国際関係学科教授は、テレビ局に対し「もっと工夫しなければ」と警鐘を鳴らします。
◇ ◇ ◇
高市総務大臣の「停波発言」は実はヘタを打ったと思っています。もし、私が政権で総務担当だったらテレビで気に障る番組があったとしても「こんな番組は作るな、キャスターを辞めさせろ」とは絶対に言わない。言質を取られて大問題になるからです。高市大臣がまさにそう。権力者の振る舞いとしては失態で、放送法に書いてあることをわざわざ国会の場で持ち出さなくても、テレビ局幹部との食事の時とかに「あの番組はどうなのかな」「放送法もあるしね」とボソッとつぶやいた方がはるかに効果的だし空気は伝わる。権力者にとってはこの方がはるかに安全。つまり、通常は今回のような政権から直接的で明示的な言論統制が行われることはないと思った方がいい。普段からそういう見方をすることで逆に権力の手の内が読めるのです。
政府の言論やメディアへの介入をどう考えるかは非常に難しく、一律にダメともいえません。近年はヘイトスピーチの問題もあるからです。ヘイトを規制すべきか、表現の自由のもとに放任するべきか。政府のメディア介入を一律にダメだというならヘイト規制もダメになる。
フランスでは今、表現の自由を訴えているのはヘイトスピーチをしたい側です。フランスはFMラジオが自由化されていて放送内容はかなりアナーキー。郊外で警察がギャングとの銃撃戦で撃たれて死んだ時にDJが「こんないいニュースはない」と発言して放送禁止になった事例もあります。移民社会だけにヘイト問題は深刻で、「なんでもっと黒人、アラブ人が多い地域に警察を増やさないのか」というと大喝采。ヘイトスピーチ自体もギャグを盛り込んだりどんどん洗練されているから、ますます線引きが難しい。
また、ドイツでは海外派兵したときのデモ活動で「ドイツ軍は人殺しだ」と言ったら検挙された事例もあります。反戦の政府批判が政府の介入を招いたのです。この流れでいくと平沢議員が問題視した「保育園落ちた日本死ね」も取り締まりの対象になる可能性がある。ヘイトスピーチの野放しはもちろんよくありませんが、では「自衛隊員は人殺しだ」「安倍死ね」「中国人、韓国人死ね」の境界線はどこで引くのか。
だからこそ、テレビはもっと工夫しないとさらに権力につけ込まれる隙を与えることになる。テレビは共感のメディアともいわれますが、「こんな法案を通していいんですか」「反対しましょう」と声高に叫ぶやり方はもう視聴者の共感を呼びません。共感に関してはよりエッジの利いたネットに代替されてしまった。北朝鮮のミサイル発射ニュースを見て「ふざけんな、あのデブ」と思ってもテレビでは言えませんがネットでは言えてしまう。
テレビは今後、速報性、情報性、分析性にシフトして映像でしか見られないものを追求し、批判しながら人々の共感をどう乗せていくかを模索しないと、ますます視聴者離れが進むことになるでしょう。
▼かやの・としひと 1970年、愛知県生まれ。早大卒業後、フリーター生活を経て渡仏。03年、パリ第10大学大学院哲学科博士課程修了。哲学博士。07年に津田塾大学准教授、13年から同教授。専門は哲学、社会理論。著書に「国家とはなにか」「権力の読みかた─状況と理論」「成長なき時代のナショナリズム」など。「サンデーモーニング」(TBS系)、「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)にも出演。
誰がテレビを殺すのか
http://bacteria.jp/pdf/t20160320-2.pdf
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK203掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。