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安倍首相に「助言」をしたスティグリッツ氏
菅官房長官から財務省に下された「意外な指示」 〜やっぱり増税延期はナシ?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48241
2016年03月21日(月) 田崎 史郎「ニュースの深層」 現代ビジネス
■解散時の確約は簡単には反故にできない
「消費増税先送り検討 首相 経済減速に配慮」(読売)、「広がる増税延期論」(朝日)、「『増税延期』公然化」(毎日)、「『経済失速、元も子もない』 首相、消費増税延期に含み」――。
18日から19日にかけて新聞各紙に、来年4月に予定される消費税率引き上げを先送りするのではないかという観測記事が相次いだ。だが、延期となった場合、首相・安倍晋三が支払う政治的な代償はかなり大きくなるだろう。
ここに来て、先送り論が広がっているのは、16日からスタートした政府の「国際金融経済分析会合」で、ノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツが「消費税を引き上げる時期ではない」と述べたのがきっかけだった。
安倍自身も従来の「リーマン・ショック級、大震災級の大きな出来事がない限り、引き上げる」との表現を微妙に変えた。「世界経済の大幅な収縮」を条件に挙げたり、「結果として税収が上がらない状況を作るのであればまったく意味がない」と語ったりしている。
安倍の経済ブレーンで内閣官房参与の浜田宏一、本田悦朗が再三、増税凍結を唱えていることも延期観測に拍車を掛けている。
だが、安倍が2014年11月18日、再増税の1年半延期と衆院解散を表明した記者会見の記録を読み直してみよう。
「来年10月の引き上げを18ヵ月延期し、そして18ヵ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年(17年)4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」
「国民生活にとって、そして、国民経済にとって重い重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきである。そう決心いたしました。……税制は国民生活に密接にかかわっています。代表なくして課税なし。アメリカ独立戦争の大義です」
「確実に3年後に私たちは、消費税引き上げの状況をつくり出すことができると考えたわけであります」(首相官邸ホームページの記者会見の記録から引用)
安倍は17年4月からの再増税を「はっきりと断言」した上で、消費増税見送りは国民生活と密接にかかわることなので、衆院を解散して民意を問うと宣言。さらに17年4月までに再増税できる経済状況をつくると確約している。
これらの発言の中に、国際経済の収縮はもちろん、リーマン・ショック級の出来事といった表現もない。
■景気対策が「代案」か
これほどクリアな意思表示はめったにない。かつ、先送りを理由にして衆院議員全員のクビを切り、衆院選を行った。それを覆すのであれば、衆院解散を求められるばかりか、看板政策であるアベノミクスも「失敗」と受けとめられるのは確実だ。
また、安倍が他の政策で年限を区切って約束しても、近づいてきたら先送りするのではないかという不信感を醸成することにもなる。
財政健全化に対する姿勢を問われることになることは言うまでもない。さらに、連立を組む公明党は予定通りの実施を求めており、公明党との信頼関係に傷が付く。
こう考えると、再増税先送りは経済政策として正しくとも、政治的なコストがかなり大きいと言える。それならば、増税による増収見込み分5兆円余をすべて景気対策に当て、増税後の景気の落ち込みを極力押さえ込む方が妥当ではないか。
増収見込み分のうち、約1兆円は生鮮・加工食品等に適用される軽減税率分に当てられる。残りの4兆円を国民の懐に直接届く給付金や各種手当の増額に当てるなど、大胆な景気対策を打つことが考えられる。
政権の参謀、官房長官・菅義偉は財務省にこう指示している。
「14年4月に消費税を5%から8%に上げた際、財務省は4−6月期のGDPは下がるが、7−9月期は上がるという説明だったのに、7−9月期もマイナスだった。なぜそうなったのかを検証し、そうならないような対策を考えてほしい」
(敬称略)
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