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2016年03月18日
今夜は思考能力が、いつも以上に低下しているので、英・経済誌エコノミストと田原総一朗氏のコラムを引用しておく。前者は、衆議院の参議院同日選か前倒し解散を示唆している。最近、めっきり耳にすることがなくなった「アベノミクス」は、成功しているとは言えず、時間が経つにつれて、安倍政権は追い込まれるリスクが増えると、中々の着眼点がある。筆者も、衆参W選よりも、解散総選挙は前倒しで打つのではないかと予測している。プーチン会談で、領土問題の一歩前進くらいしか、安倍が得点を挙げられそうなものが見当たらないのだから、このプーチン会談の結果次第で、解散を早める段取りは決めてあるだろう。
シリアに潜入したジャーナリスト安田純平氏の拘束問題が浮上しているが、昨年の7月に拘束された情報が流れていたが、「自己責任論」を振りかざし、アルカイダ系の武装組織「ヌスラ戦線」に拘束されているとされている。動画では「私の国に何かを言わなければなりません。痛みで苦しみながら暗い部屋に座っている間、誰も反応しない。誰も気にとめていない。気づかれもしない。存在せず、誰も世話をしない」と組織に言わされているが、官邸は相当前から知っていて、後藤健二氏同様に、見殺し戦法に徹しているようだが、選挙間近となれば、身代金支払いに応じるものと推量する。
田原氏の“期待されていない民進党”は、田原氏の指摘以前から、日本人なら判っていることだ。岡田・枝野・前原・細野・江田・松野の民進党で何が変わるのか、まったく判らない。田原氏は、判っていながら、共産党・生活・社民党3党の連携協力を確実なものにする為に、その受け皿的存在が必要だったと云う「便法」と云う点を語っていない。逆に岡田は、敢えて“民主”となることを忌避したと筆者は読んでいる。菅・野田で「民主」は地に落ちたのだから、いまさら「民主」では戦えないと、腹を括ったのだろう。
安倍が期せずして「自公対民共」だと、レッテルを貼ったわけだが、実は、その通りなのである。実は、民進党の誕生は、一層、日本共産党の協力が得やすくなるお膳立てに過ぎない。そこまでのシナリオを描いたのは小沢一郎だろう。演じる連中の顔ぶれが、いささかお粗末だが、「オリーブの木構想」(小沢一郎)、「国民連合政府構想」(志位和夫)、の変形バージョンだ。安倍自公政権にとって、民進党なんてのは怖くはない。ただ、民進党のバックボーン、揺れることのない信念を持っている小沢と志位が存在するゆえの怖さなのだ。バーニー・サンダースがクリントンを慌てさせた世界の流れは確実にある。今どき、更なる経済成長などと世迷言に逃げ込むくらいなら、「増税する前にやることがある」原点回帰がタイムリーなのだ。
≪ 同時選勝利を目論む安倍首相、障害は首相自身
安倍晋三首相が前回、総選挙に踏み切ったのは、2012年に首相に就任してからわずか2年後のことだった。即座に解散総選挙を決めた安倍首相の目は、野党陣営の混乱ぶりと、議席数を増やすチャンスをとらえていた。
それでも安倍首相は「公約の重大な変更について国民の信を問う」という大義名分のもとにこの選挙を進めた。経済が停滞するのに鑑み、以前から決まっていた消費税引き上げを延期すると決断したからだ。選挙は自民党の圧勝に終わった。そして今、国民の信を問う必要がある重要政策が再び浮上すると思われる。
日本経済が一向に回復の兆しを見せない中、安倍首相がまたしても消費増税を先送りする可能性があるのだ(現時点では2017年4月に8%から10%に引き 上げることが予定されている)。決断のタイミングは、日本が議長国を務める5月のG7(先進国首脳会議)を終えてからになるだろう。前例に従うならば、この問題に関して解散総選挙を行わないわけにはいかない。6月か7月には参議院選挙が予定されている(参院議員の半数が改選される)。安倍首相はおそらくこれに合わせて総選挙の日程を決めるだろう。
■原発、安全保障、スキャンダル
自民党の中にはより早い時期の総選挙を望む者もいる。安倍首相の運が尽き果てないうちに、急いで済ましてしまいたいのだ。現在、安倍政権の前には 様々な困難が立ちはだかっている。最大の懸念は経済だ。個人消費の冷え込みを受け、2015年10〜12月期の日本経済は年率換算で1.1%縮小した。日 本銀行(日銀)は1月、マイナス金利政策を打ち出して需要の喚起を図ったが、その狙いとは裏腹に株価は下落し、円高が進んだ。
遅かれ早かれ日本の有権者は、停滞する経済への不満を安倍首相にぶつけることになる。同首相は経済建て直しを約束していたのだから。
国民の支持を得られていない政策は他にもある。安倍首相はそれらに対する制裁をまだ受けていない。原子力発電所の再稼働はその一つだ。5年前のこの時期に発生した福島第1原発のメルトダウンという最悪の事態を受け、日本の原発はすべて運転を停止していた。
昨年成立した新たな安全保障関連法について、多くの専門家がこれを違憲だとしている。この法律は海外でこれまでより幅のある行動を日本に許すもので、多くの日本人が不快に感じている。
ただでさえこうした不満が渦巻いているところに複数の与党議員が不祥事を起こした。1月には安倍首相の側近だった甘利明経済再生担当相 が政治献金疑惑をめぐって辞任した。また、男性国会議員として初めて育児休暇をとると宣言して話題を集めていた議員が、妻の妊娠中に他の女性と不倫関係に あったことが発覚。それ以来、安倍政権の支持率は50%を下回っている。
■安倍首相が進める改革は十分か
消費税に関しては、2014年に行われた最初の増税(5%から8%)が個人消費に打撃を与えた。安倍首相の経済アドバイザーを務める本田悦朗氏 は、安倍首相が経済を回復させるべく広く取り組んでいる政策について国民の信頼を失いたくないなら、今度の引き上げを延期することが不可欠だと話す。
3年間にわたって大がかりな金融緩和を行った今でもコアインフレ率はゼロに近く、日銀が目標に掲げる2%には程遠い。労働組合の幹部たちでさえ、 大幅な賃上げを要求してはいない。そして銀行が貸出によって得られる利ざやは相変わらず圧迫されている。こうした状況はすべて、安倍首相が約束する「賃 金・消費・投資の増加による好循環」を脅かすものだ。こうした状況下で夏の選挙に臨んだ場合、有権者が安倍政権に投票するかどうかは疑問だ。
日本経済の自由化を進めるべく安倍首相は一層努力すべきだ、と考える人は多い。例えば、労働市場を徹底的に改革する。非正規労働者は低賃金に甘ん じており、個人消費の足かせとなっている。これを改善するためのもっと強力な政策を打ち出すこともできる。だがある政府官僚によると、踏み込んだ改革計画が発表される予定は当面ないという。
■冴えない民主党
一方、中道左派政党の野党・民主党は総選挙に向け候補者の擁立に奔走している。だが確固とした足掛かりは築けそうにない。世論調査によれば民主党の支持率はわずか10%にすぎず、哀れなほどの水準にとどまっている。これに対して自民党の支持率は4割にのぼる。
民主党は消費増税の2度目の延期を取り上げ、アベノミクスの失敗がその原因であると追求する構えだ。だが普通世帯を取り巻く困難な状況を考慮し、増税の延期そのものには反対しないと思われる。
■確かな憲法を求める安倍首相
衆参ダブル選挙を実施することの是非を考えるにあたり、安倍首相は自らの夢の実現につながる大勝利が可能かどうかを検討することになる。安倍首相の夢、それは憲法改正だ。その中心にあるのは、1940年代後半に進駐軍が策定した平和憲法を書き換えたいという思いである。
安倍首相はこうした改正が必要となる理由について、次のように説明している。あの悲惨な戦争から70年が過ぎた今、日本はもはや、時代遅れの平和主義によってがんじがらめにされる必要はない。日本を取り巻く環境は日増しに危険度を増しているのだから――。
日本で憲法を改正するためには、衆参両院のそれぞれで議員の3分の2以上が賛成し、国民投票で半数以上の賛成票を得る必要がある。自民党とその連 立相手である公明党は、衆議院では議席の3分の2以上を確保している(475議席中325議席)が、参議院においてはかろうじて過半数を超える程度である (242議席中136議席)。
安倍首相が参議院で議席数を増やすことは可能かもしれないし、右派の小政党、おおさか維新の会の協力も期待できる。それでも憲法を改正しようとす れば、日本の平和主義を誇りに思う国民の多くが大きな警戒心を抱くだろう。つまり、選挙での勝利を願う安倍首相にとって、憲法改正の取り組みについて嬉々 として話すその性向が最大のリスクとなるのだ。
© 2016 The Economist Newspaper Limited. Mar 12th 2016 | TOKYO | From the print edition, All rights reserved. 英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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≪ 「民進党」は果たして参院選で勝負できるのか
民主党と維新の党が合流して結成された新党は、「民進党」という名前に決まった。民主党は「立憲民主党」、維新の党は「民進党」を提案し、どちらがふさわしいか世論調査を行った。2つの調査会社に依頼したが、いずれも「民進党」が上回り、この名称に決定した。
■民主党にとって党名決定は意外な結果
「立憲民主党」という名前ならば、略称では従来と同じ「民主」となるため、比例代表選挙で「民主」と投票すれば有効になるはずだった。ところが、「民進党」では略称が「民進」になり、「民主」では無効となる可能性がある。 こうしたことや党名の一部に「民主」が入ることで、民主党は「立憲民主党」になることを強く願っていたところがある。それが叶わず、「民進党」に決まった。
この決定について、民主党のほとんどの人間は「意外だった。こうなるとは思わなかった」と述べている。
彼らの多くは、「立憲民主党」に決まると思っていた。民主党は「民意だと受け止めるしかない」と言いながらも、「民進党」という名称には大いに不満を抱いている。
民主党内では、世論調査で党名を決める方式を決めた岡田克也代表への不満も非常に高まっている。「岡田は、肝心なときに思惑違いをやる」と漏らしているのだ。
■安全保障政策は一致しているが経済政策が問題
民主党と維新の党は選挙を戦うために合流したが、果たして政策面で両党は合致しているのか。
実は、民主党と維新の党は、安全保障に関してはそれほど大きな政策の違いはない。安保関連法や集団的自衛権の問題については、ほとんど意見が一致しているのだ。
例えば、安保関連法について、両党は「後方支援はするが、周辺事態法の枠だ」と主張している。周辺事態法とは、日本周辺の地域で、日本の平和や安全に大きな影響を与える事態が起こった場合、自衛隊が米軍に行える後方支援の内容を定めたものだ。
安倍内閣は周辺事態法を改正し、「周辺」を外して、地球の裏側まで行けるようにした。しかし、民主党と維新の党は、「周辺」に留めるべきだと主張している。
それから集団的自衛権の行使についても、今のところ、民主・維新は「米艦防護」は認める方向で考えている。朝鮮半島で戦争が起こった場合、参加した米艦が北朝鮮や中国から攻撃されたときに、日本は防護するというものだ。
これが唯一の「集団的自衛権の行使」だと言っている。つまり、ホルムズ海峡での機雷掃海などは認めないというのだ。
ただ、問題は経済政策だ。維新よりも民主内部の方で意見が割れているからだ。
■民主党内で経済政策の意見は割れている
民主党内部にはアベノミクスの失敗は、貧富の格差を広げたことだという意見がある。だから次の選挙では、政策に「経済の成長」ではなく、「格差是正」を入れ込むべきだというのだ。
エコノミストの水野和夫氏は、「もはや日本に成長はない。資本主義は終わりだ」と述べているが、こうした考えに賛同する勢力は民主党には少なからずいるのだ。成長は厳しいのだから、格差是正や資源の分配を重点的に考えるべきだというわけだ。
だが一方で同じ民主党内で、「経済の成長」を入れ込むべきだという意見もある。経済は生き物だから、成長を考えなければ格差是正もできない。さらには、「格差是正」を強調し、「資本主義は終わり」という考え方は、左翼的過ぎるというのだ。
このように、民主党内部では「経済政策」という点で完全に二つに割れている。果たしてこの状態で、維新の党と合流した民進党として、経済政策をまとめることができるのか。
■民進党に対する国民の期待値は低い
民主党が維新の党と合流して民進党に生まれ変わった最大の理由は、7月に控える参議院選挙だ。衆議院選挙とのダブル選挙にならないとしても、少なくとも参議院選挙は行われる。今回、維新の党と合流したのも、できる限り選挙を有利に戦うためだ。では、民進党になって果たして次の選挙に勝てるのか。
次の選挙の民主党の改選議席は42。これは、6年前の菅直人内閣時に獲得した議席数だ。そして、3年前の野党時代の海江田万里代表時に行われた参議院選挙では、民主党は改選議席44に対し、獲得した議席はわずか17議席だった。
このことから、民主党の執行部からは、「次の選挙では、改選議席42のうち30取ることができれば上出来だが、実際は20も取れないのではないか」という声も上がっている。民主党は民進党となっても、次の選挙で、大幅に議席を落とす恐れがあるのだ。
第一、先ほどの述べたように、次の参議院選挙では民主党がそのまま戦っても、大幅に議席を落とす可能性があった。維新の党と合流して「民進党」になっても、この状況は変わらないだろう。
朝日新聞社が3月12〜13日に実施した世論調査によると、民進党に「期待する」は31%、「期待しない」は57%だった。読売新聞社が3月4〜6日に実施した世論調査でも、「期待する」は31%、「期待しない」は60%だった。
要するに、国民から見れば、「民主党と維新の党が合流しても、日本の状況が変わるとは思えない」というわけだ。その点では、非常に苦しい合流だと思う。これから国民が納得する政策を打ち出せるかどうかが焦点となるだろう。
■参院選後に「一波乱」が起こる可能性も
20議席にも届かないとなると、参議院選挙の後で岡田代表が辞任するなどの「一波乱」が民進党に起こる可能性があると思う。
政党に求心力がないのだ。これは容易に解決しない問題だろう。 僕は、今の民主党の一番大きな問題は、仙谷由人という人物がいなくなったことだと思う。
仙谷氏はかつて民主党代表代行などを歴任した人物で、党内を二分する原発再稼働問題にもけりをつけた。仙谷氏は、前原誠司、細野豪志、枝野幸男といった党内の論客をうまくまとめることができた。 今は三人の意見が全く異なってバラバラな状態だ。例えば、経済に関して言えば、前原氏と細野氏は政策に「経済成長」を入れるべきだと言っているが、枝野氏は「格差是正」を強く主張している。
だから、もし一波乱が起きてしまうと、再びまとまるのが非常に難しい。下手をすると、分裂の可能性もある。
■次の選挙で民進党は厳しいが自民党の圧勝もない
おそらく、自民党は今年、参議院選挙のみならず衆議院選挙もやると思う。ダブル選挙にはならなかったとしても、二つの選挙を行うだろう。
この二つの選挙をやる前に、おそらく自民党は、来年に控える消費税2%の増税を先送りにすると発表するのではないかと思う。
それでも自民党は圧勝しないのではないか。最近の内閣支持率は、東京新聞46.7%、毎日新聞42%など、総じて40%台半ばで推移している。安倍政権に期待する人は、ほとんどいない。「他に投票する政党がない」とう理由で、自民党に投票する人が多いのだ。
ただ、民進党にも「これで何かが変わる」と思えるようなビジョンがない。新しい要素がないのだ。これから国民の支持を得られるような政策を打ち出せるかどうかが、参議院選を戦う上での焦点になるだろう。 ≫(日経Bizアカデミー:田原総一朗の「ここだけの話」)
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