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保育所も特養も不足 安倍政権の弱者切り捨て 熱心なのは「改憲」だけ
http://hunter-investigate.jp/news/2016/03/post-849.html
2016年3月16日 08:35 HUNTER
「保育園落ちた日本死ね!!!」――保育園の入所選考に落ちた母親が書いたブログ記事への反響は凄まじく、安倍首相もタジタジ。一人の母親の怒りが、「一強」を揺るがした格好だ。
前代未聞の現象は、子育て環境の改善が喫緊の課題であることの証明。一方、憲法改正を訴える声がここまで大きな反響を巻き起こしたことはなく、改憲が最優先の政策課題ではないということを示しているとも言えよう。
周知の通り、アベノミクスの恩恵を受けたのは一部の大企業と株式投資家だけ。子育て世代や高齢者の暮らしは、年々苦しくなるばかりなのだ。
安倍政権下、「美しい国」を目指すこの国の社会福祉はどのような状況になっているのか――。
(右が、「保育園落ちた」のブログの画面)
子育て新制度スタートから1年、増加した待機児童
政府は、平成24年8月に成立した「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」に基づき、平成27年4月から『子ども・子育て支援新制度』をスタートさせた。財源は、消費税率引き上げを見込んでの約7,000億円。10%への引き上げが前提という、あやしい制度ながら、開始されれば子育て支援の幅が大きく広がり、待機児童も減る――はずだった。実態はどうか。
下は、平成22年度から27年度までの「待機児童数」の推移。新制度がスタートした平成27年度になって待機児童数は23,167人となり、5年ぶりに増加という皮肉な結果になっている。
一方、下は厚生労働省がホームページ上で公表している『保育所関連状況取りまとめ(平成27年4月1日)』の資料。新制度には、認定こども園の拡充や小規模保育の促進など待機児童解消に効果のある施策が盛り込まれており、保育施設の数は増えている。
【特定地域型保育事業】
◇小規模保育:利用定員6人以上19人以下
◇家庭的保育:利用定員5人以下
◇居宅訪問型保育
◇事業所内保育:主として従業員の子どものほか、地域で保育を必要とする子どもにも保育を提供
【幼稚園型認定こども園】
◇認可幼稚園が、保育が必要な子どものための保育時間を確保するなど、保育所的な機能を備えて認定こども園としての機能を果たすタイプ
【幼保連携型認定こども園】
◇幼稚園的機能と保育所的機能の両方の機能をあわせ持つ単一の施設として、認定こども園としての機能を果たすタイプ
ご覧のように、保育施設は4,300か所以上増えているのに、待機児度は減るどころか1,800人の増加。保育所を求める国民の声に、応えきれていないのが実情だ。しかも、国が保育の必要性があると認めているのは「待機児童」のみ。保育所に入りたくても入れないという子どもはその何倍にもなるはずだが、厚生労働省はその総数を「把握していない」のだという。
国が言うところの「待機児童」とは、保育所への入所を望みながら定員等の関係で入所がかなわない子どもの総数(未入所数)ではなく、未入所総数から、事情があって特定の保育所だけへの入所を待つ子どもの数を差し引いたもの。分かりやすく言えば、“どこでもいいから入所させたいが入れない”というケースだけを「待機児童」と呼んでいるのである。やむなく認可外保育所に子どもを預けている場合もカウント外。国が定義した「待機児童」とは、保育が必要なケースの数を過小にしたお役所用語なのである。従って、保育所を求めている人の実数は、待機児度の数倍もしくは数十倍。つまり数十万人規模なのだ。役所の都合で切り捨てられた子どもはもちろん、無理やり少なくした要保育のニーズにさえ、安倍政権は応えることができていない。
増加する特老入所待ち 高齢者対策は自治体任せ
子育て支援も不十分なら、高齢者対策も追いついていない。厚生労働省が公表した数字を拾ってみたが、確認できた「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(入所待ちの状況)は、次のような数字となっている。
◇平成21年12月公表 421,259人
◇平成26年3月公表 523,584人
調査が4年ごとのため途中の数字が分からないが、特老の入所待ちは10万人も増えている。介護保険制度がスタートしたことで、かつての「ゴールドプラン」のような国主導の施策がなくなり、高齢者対策が都道府県や政令市に丸投げされた状態。このため、国が高齢者向けの施策について関与する機会が減っているのが現状だ。高齢者は自民党支持が多いと言われてきたが、安倍政権になって高齢者向けの施策で目立ったものは皆無。年金生活者は苦しくなるばかりなのに、何も手が打てていない。首相の提唱する「美しい国」とは、弱者を切り捨て、戦争への道を歩む全体主義国家なのである。
夏の参院選を前に、憲法改正への意欲を剝き出しにする安倍首相。衆参ダブル選挙が確実視される中、改めて子どやお年寄りに冷たい政権の姿勢を見つめ直すべきだろう。この国とって、憲法改正が喫緊の課題でないことだけは確かだ。
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