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政治的なツイートへの反応は…(※イメージ)
「サラリーマン志望」の学生を変えた3.11、奥田愛基との出会い〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160311-00000009-sasahi-soci
AERA 2016年3月14日号より抜粋
3.11はあらゆる災いが詰まるパンドラの箱を開けた。だが、底には希望があった。それは、あの震災で、生き方や考え方を揺さぶられた若者たちの姿だ。
ツイッターのタイムラインに、「僕」のことが流れてきた。
「あいつがデモをやっている」「過激派になった」「政府がやっていることに反対するのか」
フォローした友人たちが、ネットに散らばる心ない言葉をリツイートしていた。そのことが、千葉泰真(24)の胸に刺さった。
「おかしいと思ったことに、おかしいと声を上げるまでは簡単だった。言っていることに学問的根拠もある。だけど、わかってもらえない。旅行に行ったと書いたら『いいね!』が100個つくのに、政治的なツイートに、友達は反応してくれない」
ある日、アパートから出られなくなった。ベッドに腰掛け、時間が流れるのをただ見ていた。同級生は就職活動を始めていた。みんなと同じであるべきか、もっと勉強して、理不尽でも、社会に向き合うべきじゃないのか。2014年3月のことだった。
その少し前に、特定秘密保護法に反対する学生団体SASPL(サスプル)の立ち上げに加わった。初めて街頭で声を上げた感触に興奮した一方、SNSでつながる友人たちとの意識の断層に戸惑った。
震災の日、母と宮城県から上京して、一人暮らしのための部屋を探す予定だった。大学進学を決めた希望の春は一転し、不安が覆った。収束が見通せない原発事故。経済は、雇用は、就職は──。
「普通のサラリーマンになりたかったんですよ。ビシッとスーツを着て丸の内を歩くみたいな」
両親とも教師。ホームドラマのサラリーマンが非日常に映った。“普通”に憧れたのは、そのせいかもしれない。
「あの揺れで、地面の下にあった問題が、地表に出てきた」
震災後の光景が違って見えたのは、がれきのせいだけではなかった。もし地元の女川原発が爆発していたら、自分や家族はどうなっていたのか。
「いかに今までそういうリスクを知らずにいたのか、知ろうとしなかったのか、知らされてこなかったのか。見ようとすれば見えたかもしれない問題を見てこなかったのは、自分だけじゃない。社会もそうじゃないのか」
もたげた疑問に共感する仲間が、大学にいた。平和について考える勉強会を企画したことがある。カントも参考に根源的に考えた。議論をリードしていた同級生、奥田愛基(あき)(23)だ。
なぜか気が合った。沖縄の基地問題から核兵器、中絶のことや哲学まで。夜を徹して話した。その一部の仲間で、SASPLや安全保障関連法制に抗議するSEALDs(シールズ)の活動を始めていく。
千葉の前には2本の道があった。一方が、社会への感受性を高め、考えを主張することにためらわない道。もう一方は、面倒な問題は視界の外に置き、いまを楽しむ道。クラブで音楽に体を任せ、飲み会に出かけ、「楽しい」と言って笑顔をつくってみたこともあった。感じたのは「後ろめたさ」だった。
「愛基たちがデモを始めていた。目の前に問題が見えているのに、何もしないことのほうがつらい。だから僕は声を上げて生きる。行動して迎える明日と、何もしないで迎える明日は、絶対に違うはずだから」
(アエラ編集部)
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