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米軍の輸送機オスプレイ (c)朝日新聞社
NOと言えない安倍政権 米国に食われる血税、防衛費が過去最高5兆円に〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160309-00000001-sasahi-pol
週刊朝日 2016年3月18日号より抜粋
安保法制の3月末施行を控え、安倍首相の口から、とうとう本音が漏れた。3月1日の衆議院予算委員会で、改憲して集団的自衛権の行使を全面的に認める必要性に言及したのである。
「(改憲発議に必要な)3分の2が可能となったものから、憲法改正に取り組んでいきたい」
そのうえで、野党議員から「すべての自衛権を行使すべきか」と認識を問われると、こう強調した。
「憲法上の制約があって、限定的な行使になっている。私どもの憲法草案は国際法上持っている権利は行使できるという考え方を示している」
安倍首相の答弁が象徴するように、2016年度予算案で防衛費は5兆541億円に上り、初めて5兆円を超えることになった。しかし、安倍首相の意気込みとは裏腹に、この国の“防衛力”は、実にお寒い事情を呈しているのである。
沖縄の青い空に爆音を響かせ、MV22オスプレイが飛来する。在日米軍・普天間飛行場から次々と飛び立つ姿は、もはや日常の光景となってしまった。
オスプレイを見ながら、現職自衛官の一人が苦虫を噛み潰したように言う。
「自衛隊でもオスプレイを配備する。多額の税金を使って最新兵器を購入しながら、実はいつ使えなくなるかわからないのです」
米国が開発したオスプレイは、最新鋭の垂直離着陸型輸送機だ。
日本の防衛省は15年度、オスプレイ5機を機体単価約80億円で購入。14〜18年度の「中期防衛力整備計画」で計17機を、関連装備も含めて約3600億円で導入する。
「オスプレイは当時の防衛相がボタン一つでヘリの羽根が閉じることに感動したという理由で、米国の言い値で大量購入を決めました」(防衛省関係者)
そのオスプレイが使えなくなる可能性があるとは、どういうことなのか。この現職自衛官が呟く。
「FMSだからですよ」
FMS(Foreign Military Sales)とは「有償軍事援助」と呼ばれ、日米の政府間での防衛装備の調達方法のことだ。日本企業のライセンス生産や、商社を通じて調達する方法もあるが、FMSならば、日本で開発されていない防衛装備や部品を同盟国として、米国から買い付けることができる。政府間の取引なので、コミッションも不要で、信用もおけるとされている。
だが、問題は多々ある。軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が指摘する。
「もともとアメリカが冷戦のさなか、同盟国の軍事能力を向上させるため無償軍事援助したのが始まりです。その名残があるから、今では買ってもらう立場になっても高姿勢で臨んでくる。兵器の代金や技術訓練の費用なども米国の言い値でしかありません。自国軍より高く売りつけて儲ける制度になっている」
代金は原則、前払いなのに、米国から提示される価格、納期はあくまで見積もりに過ぎず、都合で変更も可能だ。精算は納入後に行われるが、米国側の事情で途中で契約解除することもでき、取引完了までの道のりは長いのだ。民主党の大野元裕参議院議員が言う。
「政府が武器の購入を決定するまでに、どれほど価格交渉をしているかが問題です。すべて米国から最終計算書が送られてくるまでは、本当に納入されるかどうかもわからない。スペアパーツなども保証されていないので、製造中止と言われれば終わりです」
つまり、FMSとは米国の主導権で、好き勝手にできる不平等な仕組みなのだ。(今西憲之、本誌・亀井洋志)
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