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自民党農林部会長に就任した小泉進次郎氏(左)と、西川公也元農相 (c)朝日新聞社
「農林中金不要論」をぶち上げた小泉進次郎に大ブーイング〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160302-00000002-sasahi-pol
週刊朝日 2016年3月11日号
今の政界で最も有名な世襲政治家といえば、昨年10月に34歳の若さで自民党の農林部会長に就任した4代目政治家の小泉進次郎衆院議員だろう。
自民党幹部は「進次郎のおかげで助かっている。補佐役のベテランの西川公也(元農水相)の助言もよく聞き、コンビもまずまず」と褒める。しかし、農業関係者からはブーイングの声が出始めている。
進次郎氏は総資産100兆円という農林中央金庫を突然、やり玉にあげた。
「融資のうち農業に回っている金額は0.1%しかない。農家のためにならないのならいらない」(1月)
農林中金は、地域のJAバンクや各都道府県にあるJA信連から資金を預かり、その運用益を組合員に還元している。これは、中小企業向けの融資をしている信用金庫が、その資金を運用する信金中央金庫を持つのと同じだ。経済評論家の三橋貴明氏は言う。
「農協の主な業務には、農産物の販売や農業経営に必要な資材を提供する経済事業と、保険や金融を担う信用・共済事業があります。経済事業は赤字で、金融サービスの黒字で穴埋めしている。金融を切り離す規制改革をすれば、農協マネーを狙う米国、企業、投資家は喜ぶでしょう。しかし、農業資材は値上がりし、特に赤字事業の多い地方のガソリンスタンドや金融業務は閉鎖せざるをえない。結局は、地方に住む人々が打撃を受けることになる」
これだけではない。政府の規制改革会議は、一般企業による農地売買自由化を繰り返し提言している。これについても進次郎氏は、経済誌「エコノミスト」のインタビューで、「選択肢のひとつとして持っていい」(2月2日号)と、前向きな発言をしている。
この発言にも自民党のベテラン議員が反発している。
「企業による農業への参入は、農地をリース契約することで何の問題もない。農業大国の米国だって企業の農地売買は厳しく規制しているのに、なぜ、必要なのか。食糧安全保障の視点が欠落している」
経済界の意向も見え隠れする。国家戦略特別区域諮問会議で農地売買の自由化を熱心に提言しているのが、人材派遣大手パソナグループ会長の竹中平蔵慶大教授だからだ。自民党の農林議員は言う。
「農地売買の一部自由化は、兵庫県養父(やぶ)市で特区として認められている。養父市では、オリックスの子会社が農業に参入しているが、竹中氏はオリックスの社外取締役。自らの会社への利益誘導のためではないか。特区の旗振り役は菅官房長官で、進次郎氏は官邸と経済界の操り人形だよ」
農林部会長には、官邸の急進的な農政改革のブレーキ役も求められているが、その存在感は薄い。
「進次郎さんは、印象的なキーワードを拾って人を巻き込むのがうまいが、討論はできない。数字の間違いもあるから」(官僚)
本誌は、進次郎氏に農業政策についてのインタビューを申し込んだが、「ビジネス誌や農業専門紙以外の取材はお断りしています」とのことだった。(本誌取材班 西岡千史、亀井洋志/上垣喜寛)
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