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TPP批准阻止で次世代に負の遺産を遺さないー(植草一秀氏)
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17th Feb 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
TPP(環太平洋経済連携協定)は、交渉内容が国民に伝えられることなく、
2月4日にニュージーランドで最終合意文書への署名が行われた。
そして、このTPPにはISDS条項が盛り込まれている。
ISDSとは投資家対国家の紛争解決条項のことである。
日本に投資した外国の企業が、日本の法律、裁判、行政によって被害を受けたと判断して、
日本の司法にではなく、国際仲裁裁判所に訴えるという制度である。
この際、国際仲裁裁判所の判断は、企業に害を与えたかどうかだけによることになる。
食の安全・安心について、日本の安全基準は、国際基準以上の厳しい措置を採用しているケースが多い。
この現実に対して、米国は、
「科学的根拠に基づかない国際基準以上の厳しい措置を採用している現状を、国際基準に合わさせる」
意向を示している。
よく論議される
「遺伝子組み換え(GM)でない」
という表示について、
米国はこの表示が消費者を誤認させるものだとして批判している。
このため、
「GMが安全でない」
という科学的根拠が示せないなら、
そのような表示義務を課すことをやめろ、と日本に言ってくる可能性がある。
そして、ISDS条項を活用して日本に損害賠償させることを示唆してくる可能性がある。
こうした状況のなかで、日本政府が「自主的に」GMの表示義務を撤廃に進んでしまうことも想定される。
「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」
は、昨年5月15日に、
1.TPP交渉を差止めること
2.TPP交渉は違憲であることを確認すること
3.TPPによって受けている不利益や被害、損害、不安や苦痛、権利侵害に対して国家賠償すること
の三つを求めて、
1063名の原告による訴えを東京地方裁判所に起こした(現在の原告数は1582名)。
この裁判の口頭弁論は、すでに昨年9月7日、11月16日に行われ、
日本のTPP参加に反対する多数の主権者が裁判所に参集した。
その第3回口頭弁論期日が
2月22日(月)に到来する。
すでにTPPは交渉の段階を終えて、批准手続きに移行しつつあるから、
現段階では、批准阻止に運動の重点が移行しているが、
憲法違反のTPP参加を阻止するためには、主権者の積極的な行動参加が不可欠である。
2月22日(月)の第3回口頭弁論期日は14時30分に開廷予定である。
この期日に合わせて、
2月22日(月)13時30分より、東京地方裁判所正門入口前で門前集会が開催される。
そして、14時から抽選券が配付され、その後当選者に傍聴券が交付される予定である。
「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」では、
「口頭弁論では、弁護団を激励し裁判官の反動的な対応を抑止するためにも、
多くの傍聴者参加が必要です。
これまで二回の期日は、傍聴席が全て満席となりましたが、
今回も傍聴席を満席にするよう多くの原告、会員、一般の方にお集りいただけるよう、
よろしくお願い申し上げます。」
と訴えている。
当日のスケジュールは以下のとおり
13時30分 東京地方裁判所門前集会(東京地方裁判所正門付近)
14時00分 抽選券・傍聴券配付開始(東京地方裁判所入口付近(正門側))
※抽選に漏れた方のために、衆議院第1議員会館大会議室にて14時30分より下記イベントが同時開催される。
14時30分 第3回口頭弁論期日開始(東京地方裁判所103法廷)
17時30分 報告集会(衆議院第1議員会館大会議室及び多目的ホール)
同時開催イベント
〜TPPフォーラム 基調講演&パネルディスカッション〜
日 時:2月22日(月)14時30分〜17時25分
場 所:衆議院第1議員会館大会議室
テーマ:TPPフォーラム「日本の農業と食の安全、協同組合の行方」
4.講 師:サーニャ・リードスミス氏
5.パネルディスカッション
パネラー:トーマス・カトウ氏
主権者の積極的な行動により、日本がTPPに参加する愚行を阻止しなければならない。
このタイミングで良書が出版された。
『TPP反対は次世代への責任
:この国の医・食・農・労働を守る16氏の提言』
(農文協ブックレット)
である。TPPの問題が多角的に、各分野の専門家によって、丁寧に明示されている。
最新の内容が網羅されている点も秀逸である。
TPPの問題点を把握するための格好の書になっている。
出版社サイト
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54015198/
から、
『TPP反対は次世代への責任』
の内容を紹介させていただく。
解説
TPP「大筋合意」という事態を受け、
日本の主権と
国民経済全般および
食料・農業、医療、労働等
を真に守り発展させる途はいかなるものであるか、
およびISDSの危険性を明らかにする。
目次
PART1
<平成の不平等条約>TPP「大筋合意」は日本の長期衰退を加速させる
慶應義塾大学教授 金子 勝
普遍主義の時代の終焉という文脈で読むべきTPP問題
哲学者・思想家 内山節
ISDS条項で主権を売り渡すTPP
――求められる 次世代に指弾されない賢い選択
元外務省国際情報局長・防衛大学校教授 孫崎享
なぜ自民党は田舎を切り捨てることにしたのか
東京大学東洋文化研究所教授 安富 歩
どのような社会を目指すのか
――アメリカ・モデル/アメリカ信仰からの脱却を
千葉大学教授 広井良典
PART2
隠され続ける「TPP合意」の真実
東京大学教授 鈴 木 宣 弘
TPP「国内対策」問題
大妻女子大学教授 田代洋一
改革下の農協はTPP農政といかに対峙すべきか
北海道大学名誉教授 太田原高昭
TPP「大筋合意」と農業現場の受け止め-北海道から-
北海道大学大学院農学研究院講師 東山 寛
TPP「大筋合意」と現場への影響-コメどころから-
(社)農業開発研修センター客員研究員、
元新潟大学教授 青柳 斉
世界の食糧と米、その近未来
――TPPへのやや長期的視野を考える
京都大学名誉教授 渡部 忠世
飼料用米等の活用を通じた日本型畜産構築の歴史的意義
―TPP「大筋合意」に抗して
東京農業大学教授 谷口信和
PART3
いのちと食の土台を脅かすTPP
――食べてはいけない輸入食品、これだけの怖い理由
食政策センター・ビジョン21 安田節子
後世まで安心して生きられるまっとうな社会づくりと医療・社会保障問題
――TPPと医療、公的保険制度
前日本医師会長
TPP阻止国民会議代表
TPP交渉阻止・違憲訴訟の会代表 原中勝征
TPP「大筋合意」で消費者として考えたいこと
生活クラブ連合会会長 加藤好一
たぶん最後の一撃、TPP
――若者の食、労働、医療にみる「一億総活躍社会」の虚妄
作家・活動家 雨宮処凛
ISDS条項の問題点
公的保険医療制度の崩壊
食の安全・安心の崩壊
そして
日本農業の崩壊
食料自給体制の崩壊
普遍主義=グローバリズムの崩壊
などの問題が多面的な角度から、それぞれの分野での第一人者、研究者によって記述されている。
主権者必読の書である。
安倍政権は夏の参院選を前に、TPPの内容も明らかでない段階で、
もちろん、その影響評価がなされる前に、
TPP対策を決定し、予算措置まで講じた。
選挙のための買収工作としか言いようのない対応を示している。
農業に対するTPP対策の内容などは、かなり詳細な事実関係の分析がなされており、
一般の主権者には理解が難しい部分もあるが、
具体的に日本の農業がどのような危機に晒されているのかがよく分かる内容になっている。
安倍政権は目の前に札束を置いて、本当に重要な問題についての論議をしないまま、
なし崩しでTPP参加への道を突進しようとしているが、
こうした本末転倒の対応が将来に重大な災いを起こすことになることは必定である。
日本を崩壊させぬため、主権者はTPP批准阻止に向けて力を振り絞らねばならない。
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