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痛快にブラックぶりを描く〜「ガイアの夜明け・密着!会社と闘う者たち」(レイバーネット日本)
幸野 真
http://www.labornetjp.org/news/2016/0212gaia
昨日(2/9)の「ガイアの夜明け・密着!会社と闘う者たち」(テレビ東京)は面白かったなぁ。アリさんマークの「引越社」との闘いに関わっている友人からの情報で知ったのだが、正直、実際に視るまでは、どの程度しっかり扱ってくれるのか、数ある事例のワンオブゼムで終わるんじゃないか、と半信半疑だった。しかし実際に視てみると、番組の後半が、ほとんど引越社への密着取材で構成されているではないか! しかも、ちゃんと労働者側の主張を真摯に伝えている。これは番組側の良心というだけでなく、それだけ引越社のブラックぶりが「絵になる」からでもあるんだろうなぁ。
それでもやはりマスメディアなので、企業側の言い分も伝えなければいけないと見えて、副社長がとうとうと冷徹に自分らの正当性を主張する場面もあった。ところが次の場面になると、本社前での組合の抗議行動に対し、同じ副社長が、ヤクザ顔負けの口調で凄んでいる。このコントラストが絶妙で、YouTube動画で見慣れた副社長の恫喝ぶりが、よりいっそう新鮮に見えてくる。何だか、マスメディアにつきまとう両論併記主義を逆利用しているようで、まことに痛快無比であった。
惜しむらくは和解協議の中味がはっきり伝わってこなかったが、これは訴訟になる可能性がある以上、致し方ないんだろうな。実際には、裁判をやったら企業側が負ける可能性がきわめて高い主張を、引越社が頑として譲らなかったために、和解が決裂せざるをえなかったらしい。それによって、これから引越繁忙期に入るという時に、引越社はテレビで無様な姿をさらけ出して、経営的にもそうとう痛手を負うことになるだろう。間抜けな話だ。
ブラック企業問題が広く共有されるようになり、今や企業のブラックぶりやコンプライアンス違反が明らかになることは、その企業の社会的信用を失わせ、顧客や市場の離反を招き、経営的にもマイナスになるという認識が、企業社会に広まりつつある。ところが世の中には、いまだにそういう認識を持たず、ブラックな労使関係に固執して開き直る企業も、まだまだ存在しているということだ。そのような企業には、もはや痛い目に遭ってもらうしかあるまい。引越社の闘い、これからも注目し続けようと思う。
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