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【市民連合シンポ詳報】安倍政権への“過激”な批判相次ぐ 「ナチスの手口をまっしぐらに進んでいる」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160131/dms1601311145005-n1.htm
2016.01.31 夕刊フジ
市民連合のシンポジウムで掲げられた「アベ政治を許さない」と書かれたメッセージ=23日午後、東京都北区
市民連合のシンポジウムで、パネルディスカッションする(左から)森達也さん、青井未帆さん、三浦まりさん、諏訪原健さん=23日午後、東京都北区
夏の参院選で野党共闘を実現、支援するために学者や学生グループ「SEALDs(シールズ)」などが結成した組織「市民連合」が23日、東京北区のホールで初めてのシンポジウムを開催した。主催者発表で1300人が参加し、民主、共産、維新、社民の各党幹部が駆け付けた。民主党幹部は安倍晋三首相をヒトラーになぞらえるなど、参加した政党幹部や学者らからは夏の参院選に向けて安倍政権に対する“過激”な批判が相次いだ。出席者の主な発言は次の通り。
◇
【戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会・高田健氏】
「なんとしても安保法制、戦争法(注:安全保障関連法)を止めたかったが、安倍政権は強行した。安倍政権の暴走は止まっていない。参院選で(憲法改正の発議に必要な議席の)3分の2をとって憲法を改正すると言い続けている。3月末には戦争法制が施行される。戦争法制を廃止する、立憲主義を取り戻す、人権を尊重する社会にしたいという申し合わせで行動し、実現することを目指している。特に参院選で何としても安倍政権の暴走にストップをかけ、戦争法制を打ち破りたいということで野党の共闘を呼び掛けている。なかなか難しいことだが、私たちが野党共闘を諦めたら終わりだ。難しいからといって絶対諦めてはいけない。市民の皆さんにお願いしたい。粘り強く諦めずに最後の最後まで野党の共闘を実現し、参院選で安倍政権を打ち破るために力を尽くしていただきたい」
【民主党・小川敏夫参院幹事長】
「本当に日本の平和を守るために頑張っている皆さんに深く敬意を表す。きょうは民主党からは会場にいる神本美恵子参院議員ともども連帯のあいさつに来た。昨日、国会で安倍首相の代表演説(ママ)を聴いた。だんだんヒトラーに似てきた。中身がなくて、ただ言葉だけ美しい。ヒトラーといえば、(麻生太郎)財務相が言った。『ナチスの手口を学べ。ワイマール憲法からナチス憲法に変わった手口を学べ』。全くその手口を学んで、今度は実行している。ひどい話だ」
「ナチスのやり方、手口に、こういうのがある。『どんな嘘でも、どんなバカなことでも繰り返し繰り返し自信をもって言え。そうすると、だんだん国民がついてくる』。これがナチスの手口の一つだ。安倍首相は全くその手口をまっしぐらに進んでいるなと。本当に危険を感じる。(内閣)法制局はもう傀儡(かいらい)になり、NHKはじめとしてマスコミもコントロールされている。日銀もコントロールされて。あれ大本営発表ですから。全然生活が良くならないのに、景気がいいと。だんだん気がつかないうちに憲法も変えられちゃうんではないか。これはやっぱりストップさせなくちゃいけない」
「でも安倍首相は選挙さえ勝てばいいんだと。こんな思いでやっているから、じゃあ私たちがはっきり選挙で国民の声、『安倍さんは辞めなさい』というのを示さなくちゃいけない。暴走政治を許さない。これに力を結集して、みんなで力を合わせて、しっかりと勝てる選挙を勝ち抜いて安倍さんにストップの声を結集しようではありませんか」
【共産党・小池晃政策委員長】
「2016年、いよいよ決戦の年となった。安倍政治を許さない、安倍政権を倒す、戦争法を廃止するために頑張り抜こうではないか。戦争法の具体化が進んでいる。全国各地で米軍基地と自衛隊基地の強化が広がっている。日米共同訓練が実行されつつある。この戦争法は国会ではなかったかのような顔をしているが、実は着々と具体化されている。南スーダンのPKO、ISに対する軍事支援、こんなこと絶対許してはいけないのではないか。必ず廃止に追い込んでいくための戦いを進めていこうではないか」
「そして安倍政権は立憲主義を破壊するのみならず、憲法そのものを破壊する野望もむき出しにしている。緊急事態条項は、基本的人権、地方自治、平和主義、憲法の効力を停止する条項を憲法の中に盛り込むものだ。まさに立憲主義に自爆装置を、憲法の中にするようなものではないか。立憲主義を破壊し、憲法そのものの破壊をたくらむ安倍政権を許すわけにいかない。だとすれば、来たるべき参院選は安倍政権に対し国民の痛打を与える選挙にしなければいけない。必ず参院で少数派に追い込んでいこうではないか」
「そのためには、野党がなんとしてもこの選挙で力を合わせる必要がある。私たちは絶対諦めない。野党が共闘してこの選挙に勝利するために最後の最後までがんばりぬく決意だ。いま共産党は戦争法に反対した全ての野党に真剣な協議をしようと呼び掛けている。必ずこれを実らせようではないか。(安保関連法反対の)2000万人署名を日本中に広げて、知らない人がいないぐらいの運動に広げ、野党は共闘という皆さんの声が頼りだ。そして必ず野党が力を合わせて参院選を戦い、安倍政権の打倒までこの戦いを進めるために力をあわせようと呼び掛けたい」
【維新の党・初鹿明博国対委員長代理】
「子供に言われる。『パパ、戦争に行かないといけなくなるのかなあ』。そんなことを自分の子供に言われるのは本当に寂しい。しかも私は国会議員だ。恥ずかしい、はっきりいって。皆さん、(昨年)9月19日の採決、覚えていますよね。あれ、採決ですか。採決じゃないですよ。少なくとも今まで強行採決、私は民主党にいたこともあるが、民主党もやった。その前もやった。でも採決の形はとれていた。一応。でも9月19日、あれなんですか。採決の形、とれていない。何回立ったのか、たぶんあの場にいた議員、だれも分かっていない。そんなことがまかり通っている今の日本は民主国家ではない。だから私は細かい違いは置いておいて、とにかく安倍政権を倒すために一致団結しなければならない。ずっと主張してきた」
「昨日の安倍首相の施政方針演説を聴いたか。冒頭から吹き出してしまった。どうにかなるではなく、どうにかするのが国会議員だと言ったが、きっと甘利(明経済再生担当相)さんもそういって50万円もらったんでしょうね。きっとそうだ。『おれがどうにかする』。つまり自民党はもうおごりだしている。野党が弱いから。昔の金権体質の自民党になってきた。こんな民主主義も憲法も全て否定するような政権は倒さなければならない。安倍首相、参院選に勝ったら憲法改正だって? じゃあ本当にカイケンしてもらおう。でも、そのカイケンは憲法改正の改憲ではない。参院選にわれわれが勝利して、退陣会見をしてもらおうではないか。ぜひ皆さんの力をもっともっと結集して、われわれ野党のケツをたたいてください。市民の皆さんが市民連合をつくった。これからわれわれ政治家が野党連合をつくっていく。引き続き連帯して頑張っていこう」
【俳人・金子兜太氏】
「今の安倍政権を許さない気持ちでいる。こんなに野党が痛ましい状況は耐えられない。こんなはずはない。野党の人の顔を見ると、そんなバカはいない。賢い顔をしている。元気もある。国会を見ると痛ましい状態だ。なすすべがないという状態で、歯がゆくてしようがない。ここに来て一言、頑張ってくださいと言いたくて参上した次第だ」
【哲学者・柄谷行人氏の講演】
「安倍首相はじめ彼らの多くは何代にもわたる世襲だ。こんな議会に主権者としての人民が存在するはずがない。あるのはデモ、集会だ。議会が全く人民主権に反するわけではない。選挙で決まったことをデモで変えてしまうのは民主主義に反するというたぐいの発言をした政治家がいるが、民主主義を考えたことがないと思う。選挙で決めたことをデモで修正することがあり得る」
「反原発の国会前の集会、それ以後の国会前デモ、集会ではおもしろいことが起きた。私たちのアセンドリーが直面した。デモ側から国会に行くことはないが、国会側からデモに来た。政治家が来た。デモが本当のアセンドリーだからだ」
《「イヤな時代をどう押し返すか」とのテーマでパネルディスカッション》
【山口二郎・法政大教授】
「私たちは今、不本意だが、安倍時代に生きている。安倍時代とは今までの時代と全然違う。憲法違反が当たり前だ。政治で言葉が意味を失うとか、政治家が人間としての品位、品性、常識を一切失うとか、めちゃくちゃな状況だ。しかもその状況に怒らない人が国民の半分ぐらいいるという大変嫌な状況だ。これをなんとかしないといけないという思いで議論したい」
「私たちの自由を浸食していく、個人の多様性や個人の自己決定を押しつぶしていく動きが進んでいる。夏の参院選で自民党の楽勝を許したら、ポイント・オブ・ノーリターン、後戻りできないところを過ぎてしまうのではないか。過ぎたら、どんなにあがいても自由と民主主義と憲法は取り返せないという状況に来ているのではないか。2016年は決戦だということでテーマを掲げた。イヤな時代をどう押し返すかについて話してほしい」
【映画監督・森達也氏】
「1995年のサリン事件の後をみていると、ほぼ予想できた。言い方を過激にすれば、オウム(真理教)の中で起きていたことが、この国、社会全体に起きている。言葉にすれば集団化だ。全員がまとまろうとする。依拠しようとする傾向がとても強い。その過程の中で、そうした動きに同調しない者はドンドン排除する。集団化したら、外部に敵を作りたくなる。敵を作った瞬間に全体が連帯できる。そういう状況が今進んでいる」
「特に表現やメディアだ。先日、知り合いのドキュメンタリー映画のプロデューサーが文部科学省に助成金の申請に行った。ある方のドキュメンタリーだ。文科省の対応は『この方は国会デモに参加していませんでしたか』『反原発のデモにも行ったのでは』と。『それだと厳しいですね』と。そのあとに『オフレコですけど』と言って、『いまそういった雰囲気が文科省の中でとても強い』と言われたそうだ。オフレコなのに言っちゃったが。これも1つの集団だ。文科省の中で、誰かが指示をしているわけでもないが、まずいのではないかと。言葉にしなくてもみんなが忖度(そんたく)して自主的に規制している」
「きっかけは『靖国』というドキュメンタリー映画だ。あのときも文科省が助成金を出したということで、自民党から激しく反日映画だという声が出た。反日映画なら『ザ・コーヴ』や『アンブロークン』もあるが、もっともっと反日的な映画はたくさんある。僕もつくっている。なぜ問題にならないか。さっきの3本は全部監督が日本人ではないからだ。だから反日だという本当に恥ずかしいぐらいに浅薄な理由でどんどん排除されてしまう」
「それに対してだれもものを言わない。言ってもいいのに、何か言うとまずいのではないかと。テレビもそうだ。反体制的なこと、反政権的なことを口にしたキャスターがどんどん外されている。別に安倍政権から圧力があったからではない。局内での自主規制だ。あるいは過剰な忖度だ。自主規制と言ったが、自主じゃない。他律だ。つまり危ない橋は渡らない。火中の栗は拾わない。これはジャーナリズムの自殺だ。何よりも権力を監視すべきだ。原因は圧力ではなく、自分たちの過剰な忖度であり、他律的で一応自主的な自制。みんな思い込んでいる。とても恥ずかしい状態だ。こうした形でどんどん時代が進んでいる」
【山口氏】
「今年の冒頭から安倍首相は憲法改正を目指す、3分の2を目指すと明言し、施政方針演説でも具体的に憲法改正を言い出した状況について反撃ののろしを上げてほしい」
【青井美帆・学習院大法科大学院教授】
「ここへきて改憲について議論しようとの機運を高めようという雰囲気が強くなっている。最近、私は『とりま改憲』と呼んでいる。『とりあえず改憲』という雰囲気をつくろうとしているのではないか。例えば21日の参院決算委員会で安倍首相は『いよいよどの条項について改正すべきかという新たな現実的な段階に移ってきた』と言ったり、『反対派は反対するだけじゃダメだ』という言い方をする。これはおかしいと思う。だって、ここを変えたい、ここが問題だからこう変えなくちゃいけないというのは改憲を提案する側こそが説明しなくちゃいけない」
「とりあえず改憲しようというような問題では、そもそもない。ところが空気がそういう言説を許すようになってきたのではないか。とりあえず改憲という言葉は絶対言っちゃいけないはずだ。だって、これからどうなっていくのかというのを示さないで、自分の命を預けるようなことをしてくださいと言っているようなものだ。この雰囲気にこそ、まず戦いを挑むべきなのではないか。変えるなら、どこを変えたらいいのかをまず政治が煮詰めてから提案するという正攻法を踏むべきだ」
「また、災害時の緊急事態条項の新設ということがここへ来て強調されるようになっている。自民党の憲法改正草案が平成24年につくられ、緊急事態の98条から99条にかけてのものがその条項だが、どれぐらいこれについて踏み込んだ研究、批判がなされてきているのかというと、まだまだ進んでいない。最近では信頼性の薄いというか、一見極めて明白な嘘というものがよく政治の場面で言われている。例えば、解散中に何か起こったらどうするんだとか。こういうような明らか嘘を言ってはいけないわけだ」
「災害時の国会議員任期の扱いなど、緊急時に国民の安全を守るためだというような言い方をするが、参院の緊急集会というものがなぜあるのかと言えば、憲法をつくるときに設置された説明が、日本は災害が多いからということだった。これは恐らく知っていて、災害時に国会議員がいなくなったらどうするのかというようなことを言っている。本当はそんなことにならないと分かっていながら言っている。でも正々堂々と嘘を何回も言っていると、だんだん嘘ではなくなるという話もあったが、それでも行われようとしているのが緊急事態条項だ。私たち市民、国民、緊急事態条項がどんなものなのかということをこれからもっともっと勉強しなければならない」
「嘘があまりにも政治の言説空間の中であふれている。明白な嘘であるとぱっと見抜けるくらいまで勉強しないといけない状況に私もなっている。緊急事態条項については、申し上げておきたいが、よくこんな恥ずかしげもなくこんなことを言うなと思う。なぜならば、3.11の後、そのときは自民党政権ではなかったが、仮に何らかの問題が生じたとするならば、あのとき国会は開会していたわけだから、国会で法律をつくればよかったわけだし、既存の法律を的確に使えなかった政治家の力量を何ら反省することなく、憲法にないからいけないんだということを言ってはいけない」
【山口氏】
「こんだけいろいろ問題があって、安保法制や原発再稼働も、個別に聴くと反対だという人が過半数なのに、のほほんと安倍政権が支持を維持している状況をどう説明すればいいのか。私も答えられないが、聴きたい」
【三浦まり・上智大教授】
「8、9月と大変な政治状況だったが、皆さんと街頭で会ったり、勇気をもらえる夏の2カ月間だった。ところが10月になって私は元気な感じで大学に戻ったが、大学の授業の何とも言えないアウェー感。こういった会場で話すと拍手をもらえるが、授業で『みんな、シールズのスピーチ聴いた?』というと、シーンとなり、なんだそりゃ、と。みんな大学生、シールズに入っているんじゃなかったんだと知っていたが、甘い心で言ったら、全然違った。それが社会の縮図だと思う」
「いったいどうやってこの学生たちにもっと考えてもらえることができるのか試行錯誤してきたが、無関心ではない。関心はある。なければ私の授業はとらない。あまり聴きたくないことを言うと、耳をふさいでしまう。うつむいて聴きたくない雰囲気が出てくる。知りたいことは知るが、知りたくないことは知りたくない。安倍政治は危険だというのはあまり知りたくない。ある種の安全神話、政治の中にあり、安全神話を信じていたほうが自分が楽になれるから、あえて不都合な真実に目を向けなくていいんだから、今は。『なんでわざと向けさせようとするのか、この先生は。非常に嫌なことだ』という感じが伝わってくる」
「学生と話していると、政府の批判をするのはよくないとよく言われる。『自民党を批判するのは中立的ではないから良くない。そういうことを言う先生はとても偏っていると思います』とよく言われるが。ある種、国家への一体感を求めている。集団化だと思うが、今の国家の流れ、そちらの側にいたら安全神話の中で生きていられる。常に攻撃対象をつくっているので、悪いのはあいつらだと。対立をそこに帰着させることで自分を安心させることができる。そうした雰囲気が流れている」
「これは雰囲気の問題だ。私たちが戦おうとしているのは言葉による意識の世界だけではなくて、無意識の世界の安全を求めたい人たちとどうやってちゃんと語り合うかと。一見明白な嘘がこれだけ政治や言論の場にあるにも関わらず、戦えないのは本当に不思議なことだ」
「政治参加というと、この夏に目撃したのは、今までの社会からは想像もできないぐらい多くの方々が主権者意識を持ち、覚醒し、政治参加が高まった。私たちが民主主義を取り戻し、再び民主国家になるためには政治参加をどうやって高めていくかが課題だ」
【山口氏】
「シールズとこの夏戦った。おじさんとしてはうれしい限りだ。親がなくても子は育つ。教師がダメでも学生は育つ。シールズは注目を集め大きなインパクトを与えたが、その後はどうしているのか。皆さんは学生の中でどのような存在なのか」
【シールズメンバー・諏訪原健氏】
「山口さんが振った話は難しい。2016年をどう戦い抜くか。いま僕たち若者を取り巻く環境は厳しいと言われている。補正予算の委員会を見ていて、若者に関連して、選挙に向けて高齢者に3万円ずつお金を出そうと安倍さんは言っているが、野党議員から、そうならば奨学金とかに回した方がいいと。安倍さんは高齢者のほうが消費が活発だと。いったい何の話をしているのか。政治もそういう認識でしかない。少子高齢化社会と言われるが、私たち若者はどう生きていくか。なかなかそこに目が向かない。若者自身が声を上げていかないといけない。若者が声を上げることをもっともっとスタンダードにしていかないといけないと強く感じている」
「安倍さんや今の与党の人たちについては、この社会をどうしていきたいんだという長期的なビジョンが全くない。さっきの高齢者への3万円は明らかに選挙対策だ。選挙のときに一時的にお金をばらまいておけば、とりあえず選挙に勝つことができるからいいんだと。あるいは安保法案の話なら、集団的自衛権の閣議決定をして、安保法案を通した。明らかに違憲だ。政策としても法的に不当な部分がたくさんある。でも、それによって誰かの命が失われたり、いろんな被害を被ることがあったとしても、そんなのはどうでもいいわけだ。彼らにとっては憲法を改正できればなんでもいいと。そういうことにしか志向が向いていない。長期的なビジョンをきちんと持って政治を見ていくことを私自身がしなければならない。そういうことができない政治家には、あなたたちにこの国のカジ取りは任せられませんときちんと突きつけていかなければならない」
「ある自民党議員が、戦争行きたくないのは利己的だと言っていたが、まさに彼らこそ自己中心的だ。彼らの都合のいい形で誰かの権利や自由が侵害される、ないがしろにされるような社会には徹底的に対抗していかないといけない。2016年をどう戦い抜くかは、立憲主義という長期的なビジョンを話し合う前提が崩れているので、皆さん手を取り合って戦い抜かなければならない」
【山口氏】
「95年のオウムの時代からこんにちの安倍時代が予想できたというが、当時は自民党も含め戦争の反省やNPO法など割とリベラルな雰囲気があった時代だ。安倍さんは20年前は当選1回の新人だった。この20年で日本は何が変わったのか」
【森氏】
「端的に言っちゃえば、不安と恐怖だ。オウムという異物によって攻撃された不安と恐怖が激しくあのとき喚起され、それに対してこうした異物を排除するためには、あらゆる手段を使う形になった。たとえて言えば、今のISに対しての世界の対応と極めて近い。不安と恐怖をもったときにどうするかというと、1人だと怖いので、みんなでまとまりたくなる。その結果として集団化が進む。集団は異物排除だ。集団は外部に敵を探したくなる。それはまさしくオウムが地下鉄サリン事件を起こすまでの過程で起こしてきた現象ではあるが」
「オウムの映画を撮ったが、とても普通の人たちが残虐なことをする。普通でありながら、ああいった残虐をする。人間はそういう属性がある。不安と恐怖を持って1つになろうというときに起こる。それがまさしくオウムによってこの社会に充填(じゅうてん)された。ちなみに95年は自社さ政権で村山政権。自民党は下野していた(注:下野はしていない)。そのときに阪神大震災とオウム真理教事件が起きる。あるいは、最近の不安と恐怖は2011年3月11日。このときは民主党政権だ。なぜかこの国は自民党が下野するたびに、こうしたとんでもないことが起きて自民党がしゃしゃり出てくる構図がある」
【山口氏】
「嫌な時代をはね返す、安倍政治を許さない、この嫌な状況を展開するにはどうしたらいいか」
【森氏】
「ドキュメンタリー系の人が集まったとき、ほぼ間違いなく全員が安倍政権を批判する。映画監督協会もそうだ。ノンフィクションライター、戦場写真家もほぼ全員そうだ。いったい誰が支持しているのだろうか。おれたちは現場を見ているという人がいた。キャタピラーでつぶされた女性の死体や泣き叫ぶ子供や父母を見る、聴く、体験する。その上で、国益だとか集団的安全保障(ママ)の発想が浮かぶはずがない。同業の中でも若干例外がある。カメラマンの宮嶋(茂樹)さんとか桜井よしこさん。桜井さんは現場行かない。だいたい講演会場ばかりだ。賛成している人は要するに現場に行っていない人ばかりだ。もちろんなかなか現場に行けない。だから読んでください、見てくださいといいたい」
「どうすればいいのかという話だが、要するに集団は同調圧力だ。集団はみんな同じ行動をしたくなる。イワシとかムクドリの群れのように、一つの生き物のようなものだ。彼らは本能的に動きを察知して同じように動く。人間はそういった感覚は研ぎ澄まされていない。代わりに言葉を持っている。だから言葉がほしくなる」
「ときおり集団は間違える。集団は大きな間違いをする。それは歴史認識だ。集団化した場合どうするかだ。あんまり派手にやると異物になるが、ささやかに動いて。今日ここに来た人たちは言われるまでもないと思うが、どんどん発信していけばいい。それを変えないことには、たかが安倍(ママ)ごときを降ろしたところで変わらない。また次の安倍が出てくる」
【青井氏】
「1か0かをはかる限界点の9条という意味で言うと、この夏、一昨年の閣議決定の時点で、タガがはずれちゃっている。あれは違憲だった。安保法制は違憲だと言い続けなければならない。理屈の世界の話なのに、これを取り払ってそんなことをしていいわけがない。なんでこういうようなどろっとしたものがずっと続いているのだろうか。瑞穂の国とか、天皇をいただくとか、何か理解できないような…、紀元節とか言い出したりとか、八紘一宇と言ったり、そういうような話は、無意識の世界のうちで無責任の体系ではないが、そういったのがあるのではないか」
「これが私たちが7月までに戦わなくちゃいけないものなんじゃないかという気がする。なんだか分からない、正体のとらえられないものがずっとあって、この壁を越えないと、50%以上にならないような気がする。無意識としての9条という側面もあるかと思うが、文化の中にずっと沈殿してきているような、立憲主義とか民主主義とか、そういうこととは全くベクトルの違うものの正体を暴くぞ!」
【諏訪原氏】
「2点提案したい。1つは参院選だ。いつまでも本気で勝つと言い続けることが必要だ。正直言って、野党で共闘して選挙に勝てるかというと、決してそういうわけではない。今までの得票率を見ても、ここだけの話にしてほしいが、現状は厳しい。言葉をどう発するかで社会はつくられる。夏に本当に止めると言い続けた。止まらなかったかもしれないが、それで終わりではなく、そのあと続いていった。最悪のシナリオしか見えないが、勝つと言い続けていきた」
「もう一つは、あまり選挙に一喜一憂しないことが大事だ。選挙で決めることはもろい側面がある。例えばいま安倍首相が言っていることに対し、いろんな皆さんが本質を見抜いて阻止しようと動いていると思うが、集団化の話は重要だ。選挙で1回勝つかどうかではなく、どう不安や恐怖に対抗していくことだ」
【山口氏】
「安倍政権は結構ピンチだ。大臣のお金の問題もあるし、経済も大混乱、株価が下がっている。そしてあすもし宜野湾市長選で現職が負け、『オール沖縄』が勝てば、官邸にも相当激震が走る。権力者は絶頂に達したら、そこから没落が始まるのが歴史の法則だ。私たちは決して悲観することはない。嫌な時代だが、言うべきことをきちんと言って、動くことで政治は変わる。お互いの確信を改めて共有してパネルディスカッションを閉じたい」
【社民党・吉田忠智党首】
「今日は福島に講演に行き、遅れた。1人で何役もこなさないといけないので。いよいよ憲法が問われる2016年、政治決戦の2016年の幕開けだ。皆さん、ともに粘り強く戦おうではないか。昨日、安倍首相の施政方針を聴いたが、随分挑発的な発言をしていた。建設的議論をしようと。なにが建設的か。憲法53条違反で臨時国会を開かずに逃げ回っていた本人ではないか。1カ所具体的な例で気になったのは、ネパール大地震の災害救援で自衛隊が派遣されて活動したことを挙げて、戦争法を正当化するような話をした。それぐらい戦争法は説明つかないものだということが昨日の首相の演説で明らかになったのではないか」
「そして甘利大臣の問題、私も文春の記事を隅から隅まで読んだが、あれは逃げられませんねえ。あっせん利得処罰法。政治資金規正法の違反。本人はいまダボスに行っている。恐らくいま官邸で一生懸命、日本中のずるがしこい弁護士を集めて何とか切り抜ける持ちはないのか、今やっているのでは。26日〜28日まで衆参で代表質問が行われ、29日から衆院予算委員会が始まる。おそらく28日までに本人は調査の結果、何か自分の記憶について検証すると。わけの分からない。記憶しているかしていないかの話だ。いずれにしても甘利大臣の去就がこれからの政治動向に大きな影響を与えるだろうし、辞任に追い込んで、これは相当、安倍政権の打撃になるから」
「戦争法の廃止法案、今国会でできるだけ早く、野党が少なくとも廃案で行動した野党5党がそろって出したいと思う。いま気になるのは、民主党と維新の2党だけで出そうとしているので、働き掛けて野党5党で出したい。32の1人区の選挙協力、候補者を1人にしぼる努力。全ての政党が悪い。努力が足りない。かなり選対委員長レベルで詰めに入ったので、あるいは党首レベルでこれから1人に絞る努力を最大限していきたいと思う。それと宜野湾市長選はまれに見る大激戦。投票箱が締まるまでの戦いがカギを握る。ぜひ宜野湾市長選当選に向けて直接、間接、声を掛けてください」
【中野晃一・上智大教授】
「いろんなシナリオを描きながら参院選に向かっていかなければいけない。最近もしかしたらと思うのは、安倍さんなしの参院選も考えないといけないのではないかと思っている。安倍退陣が夏の参院選前に起きる可能性はゼロではもはやない。そうなった場合、顔をすげ替えて、なかったかのような顔をして。あの嫌な感じがべったり付いた安倍さんじゃない場合。そんなさわやかな人をもってくるとは思えないが、そういったケースも考えつつ、もちろん安倍さんで(衆参)ダブル選挙を仕掛けてくるケースや衆院選を秋口からかけてくるケースも考えながら、われわれとして戦争法を廃止し、閣議決定の撤回を含む立憲主義の回復、個人の尊厳を守るような政治を実現する市民連合として、皆さんと一緒にやっていきたい」
「市民連合は国会前ではみ出している個性豊かな人々が、おかしいということに声を上げて集まってできたのが原点だ。市民連合は存在することに意義がある。私たちの狙いはただ一つ。国会前に集まったわれわれ市民の声を、その集会を議会に反映させること。議会を正当なわれわれの代表者としてつくり上げることだ。もちろん、そこで終わるわけでなくて、そういった取り組みは選挙を超えてずっと続くが、何よりも大事なのは投票率を上げることだ。直近の2014年12月の衆院選で52.7%まで落ち込んでいる。2000年後の国政選で70%に迫ったのは2回だけだ。小泉(純一郎元首相)さんの劇場型の郵政民営化選挙と2009年の政権交代が実現した選挙。それに匹敵するようなうねりをつくり、野党共闘できちんとわれわれの民意を体現するような野党連合を、皆さんと一緒に作り上げて後押しをして、盛り上げる選挙をつくっていこうではないか」
「取り組みとしては、戦争法廃止法案をこの国会で提出し、野党が協力する形で実現するよう働き掛けたい。そして2000万人署名のように目に見える形でわれわれの声をきちんと示すことをやっていきたい。できるだけ早く、具体的なケースとして1人区で野党統一無党派の候補者を市民連合が協定を結び推薦するんだという形を、例えば熊本のようなところからやっていきたいと考えている。近々そういうことが発表できればいいと思っているのでぜひ応援を。熊本にとどまらず、衆院北海道5区補選があるし、鹿児島や石川などいくつかの県でやろうと思えばできる。きちんと野党が話し合って共闘する枠組みをつくる。そういったことをわれわれ市民社会の後押しで実現していこうではないか」
- 柄谷行人「憲法9条の今日的意義」(2016年1月23日講演のテキスト起こし) :雑談板リンク 烏滸の者 2016/2/03 03:21:48
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