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[永田町インサイド]民主保守派の思い 前原・細野・長島氏語る
「安倍1強」といわれる与野党情勢で、民主党が逆境から抜け出せない。対決姿勢にかじを切り政権との違いをみせる中、外交や安全保障政策で現実路線を標榜する保守派はどう考えるのか。代表格の前原誠司元代表、細野豪志政調会長、長島昭久元防衛副大臣に鼎談(ていだん)で聞いた。(飯塚遼、宮坂正太郎、永沢毅)
■政策路線
前原氏「安保は現実的対応」
細野氏「国民合意なら改憲」
――民主党での保守派の位置付けをどう考えるか。
前原氏「民主党はかくあるべきだと考えるとき、政府・与党と内政で違いをしっかり示すべきだが、外交・安全保障政策はそれほど違いがなくていい。現実的な対応をベースに考える。何でも反対ではなく反対であれば対案を示す。責任政党としての矜持(きょうじ)を示すのが大事だ」
――内政でどのような対立軸を示すべきか。
細野氏「安倍政権の内政は本来あるべき保守から離れている。国家先導主義で、設備投資や賃金、携帯電話代にまで関与するという。民主党政権で打ち出した『新しい公共』は民の力を信用し、政府はそっと後押しするという考え方だ。本来のあるべき内政を打ち出していければいい」
長島氏「イデオロギーで外交や安保を語る時代は過ぎ去っている。8割は一緒でよく、ニュアンスやアプローチの2割の違いを競い合えばいい。保守二大政党の一方が制度疲労を起こしたとき、さっと代われる受け皿を常に用意しておくのが大事だろう。自民党は政権保守で、我々はチャレンジャーの改革保守だ」
――憲法改正には異論がないのか。
細野氏「20年ほど前から護憲か改憲かという時代ではなくなっている。国民的合意ができるものは改正すべきだ」
長島氏「改正すればいい。改正の条文ややり方で違いが出てくる」
前原氏「民主党はがちがちの護憲ではないので議論を積み重ねればまとまる。安倍晋三首相は野党分断の政局論で憲法改正と言っている。改憲は選挙の争点ではない。数年かけてやらないといけない議論だ」
――安倍政権の経済政策、アベノミクスは結果も出している。
前原氏「二極化が進んでいる。ワーキングプア層や低年金受給者を救うには分配政策だ。一方で成長戦略の一部は民主党政権でやろうとしたもので(民主党も)アンチビジネスではない。バランスが必要で、中間層がしっかりと支える社会にどう作り直していくかが目指すべき社会像だ」
細野氏「長期政権の強みを感じる。1年ごとに首相が代わった民主党政権は長期的視点の改革を準備できなかった。民主党は改革政党だったはずだが、政権を経験しやや物わかりが良くなり積極性がなくなった。子育て支援、若い人に元気に働いて消費してもらうため、人生前半の社会保障にかじを切るのが経済の屋台骨を支えるのにつながる」
長島氏「自民党はまさに『現世御利益』政党だ。野党は10年、20年先の構想から逆算し、社会保障や財政、教育制度を持続可能な形にする改革を提案する必要がある」
■野党再編
細野氏「新党立ち上げを」
長島氏「共産と協力反対」
――夏の参院選をにらみ、野党再編の入り口となる維新の党との合流構想をどう考えるか。
細野氏「新党をきちんとつくり結集した方がいい。安保の旗にはできれば現実主義を入れたい。共産党は別だができるだけ幅広くまとまるのが望ましい」
前原氏「いったん解党した方がいい。吸収合併は選挙目当てと捉えられかねない。自公政権にどう対峙するかという見せ方が大事だ。ほかの会派や無所属も入り大きな塊になるのが望ましい。民主党が分裂したらだめで、参院選前に新党を立ち上げるのが大事だ」
長島氏「今の民主党が膨らんでいき、そこにもともと民主党だった人が入ってくる、というのは国民の評価に値しないと思う」
――おおさか維新の会は野党再編のパートナーになり得るか。
長島氏「共産党と連携するより、おおさか維新を含む野党と地方分権の徹底で憲法改正を共同提案する方がまともな方向性だと思う。地方分権は民主党の1丁目1番地で野党再編の大きなテーマだ。おおさか維新は改革政党を志向している。政権の側に僕らの方から追いやる必要はない」
前原氏「参院選までは無理だ。是々非々と彼らも言っている。安倍政権が下り坂になってきた場合にスタンスは変わってくると思う。将来的なパートナーという視野で考える」
細野氏「短期的には難しい。参院選は野党側が瀬戸際で残れるかどうかの選挙だ。衆参同日選の可能性もある。ここで野党側が瓦解すれば、政権交代という仕組み自体が一時的に消滅する。今年はそれを守る本当に重要な年だ」
――共産党との選挙協力にはやはり反対か。
細野氏「岡田克也代表も共産党とは『選挙協力』の言葉を使っていない。やっぱり目指す社会像、国家像が違うわけだから」
長島氏「全くあり得ない」
――参院選前に新党が結党される見込みは。
前原氏「最後は岡田さんの決断だが、現状をどう打破するかという問題意識を持っていると思う。信頼して政策理念が一致した野党の大きな塊をつくるためのサポートをしていく」
細野氏「同じ考えだ。危機感を皆が共有できているかにかかっている」
長島氏「今の執行部が新党をつくる可能性は極めて低いと思っている。信じたいけど、相当に突き上げないと……」
■党内運営
長島氏「『ど真ん中』行く」
前原氏「ガバナンス課題」
――党内は寄り合い所帯で政策のとりまとめが難しいと言われ続けてきた。
長島氏「安倍首相は右にぐっと寄っており、ど真ん中のフィールドがガラ空きだ。民主党は国民のサイレントマジョリティーが許容できる議論をすべきなのに、左の方に急カーブを切ってわざわざ真ん中のフィールドを逃している」
前原氏「野党は常に遠心力が働く。反省しなければいけないのは与党の時も同じ感覚でいたことで、党としてのガバナンス(統治)をどう高めるかが課題だ。いろんな議論や発言はするが、最後はまとまっていかなくてはならない」
細野氏「内政では『共生』『多様性』という旗印がある。もう少し良い意味で権力に対する貪欲さを持つべきだ。それぞれ言いたいことを言うだけであれば野党でもいいが、それでは政治家になった意味がない。政権に戻るんだ、という自民党の執念みたいなものは見習わないといけない。それがあれば簡単にバラバラにはならないと思う」
――離党という選択肢はないのか。
長島氏「松本剛明氏の離党は非常にショックだった。彼が行ってしまわないような野党の塊をつくるのは心の中に常にある。議員ひとりひとりが理念の下に結集する姿を見せなかったら国民は納得しない」
――そもそも労働組合の支援を受けるような保守政党はあり得るのか。
前原氏「労組イコール民主党であってはいけない。労組は強力な支持団体で、働く人たちの目線で政治をやっていくことは大事だ。(代表だった)10年前に『脱労組依存』と申し上げた考え方は変わっていない。労組だけに依存するような政党では保守二大政党制にならない。頼り切るなということだ」
まえはら・せいじ 衆院京都2区、当選8回。2005年に43歳で代表に就き対案路線を掲げたが、半年余りで辞任した。政権時代は国土交通相、外相などを歴任。京大で保守派論客の高坂正尭氏に学んだ。53歳
ほその・ごうし 衆院静岡5区、当選6回。政権時代に環境相などとして原発事故対応で知名度を上げた。15年の代表選で岡田氏に決選投票で敗れた。保守派若手も多い派閥「自誓会」を率いる。44歳
ながしま・あきひさ 衆院東京比例、当選5回。米外交問題評議会上席研究員を経て政界入り。日米外交や安保政策の専門家で知られ、政権時代は野田佳彦首相の下で首相補佐官や防衛副大臣を務めた。53歳
[日経新聞1月24日朝刊P.]
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民主保守派3論客が鼎談 「参院選前に新党を」
(1月24日付朝刊 日曜に考える・政界面関連)
2016/1/24 3:30
保守政党の自民党が安倍政権で「1強」を続ける中、民主党の保守派は現状打開にどう動こうとしているのか。代表格の前原誠司元代表、細野豪志政調会長、長島昭久元防衛副大臣に鼎談(ていだん)形式で聞いた。
■前原氏「外交・安保は現実的対応がベース」
――民主党における保守派の位置付けをどのように考えますか。
前原誠司(まえはら・せいじ) 衆院京都2区、当選8回。2005年、43歳で代表に就き対案路線を掲げたが「偽メール」問題で半年余りで辞任。政権時代は国土交通相、外相などを歴任。京大で保守派論客の故高坂正尭氏に国際政治学を学んだ。53歳
前原氏「民主党はかくあるべきだと考えるとき、政府・与党と内政では違いをしっかり示すべきだが、外交・安保政策はそれほど違いがなくていいと思っている。現実的な対応をベースに考えるべきだ。何でも反対ではなく、反対であれば対案を示す。責任政党としての矜持(きょうじ)を示すことが大事だ」
――内政ではどのような対立軸を示すべきですか。
細野氏「ものすごいイデオロギーの対立があるような状況というのは違和感をおぼえる。安倍政権の今の内政は本来あるべき保守から離れている。国家先導主義で、国が設備投資や賃金、携帯電話代まで関与するという。民主党政権が打ち出した『新しい公共』は、もともと民の力を信用して、政府はそっと後押しするという考え方だ。そういう部分をしっかり進め、本来の社会のあるべき内政を打ち出していければいい」
長島氏「細野さんが言うように、イデオロギーで外交や安保を語る時代は過ぎ去っている。憲法改正か護憲かという話は不毛だ。(与野党の政策は)8割は一緒でよく、ニュアンスやアプローチの2割の違いを競い合えばいい。保守二大政党の一方が制度疲労を起こしたとき、さっと代われる政権の受け皿を常に用意しておくことが大事。自民党は政権保守だが、我々はチャレンジャーだから改革保守だ。民主党が(連携先に)共産党というのは、政権への道をますます遠ざける」
■細野氏「改憲、緊急事態条項は提案していい」
細野豪志(ほその・ごうし) 衆院静岡5区、当選6回。政権時代に環境相などとして東日本大震災の原発事故対応で知名度を上げた。15年の代表選に出馬し、岡田克也氏に決選投票で敗れた。保守派若手の多い党内派閥「自誓会」を率いる。44歳
――憲法改正に異論はないのですか。安倍晋三首相とのアプローチの違いは。
細野氏「20年ほど前から護憲か改憲かという時代ではなくなっている。国民的合意ができるものは改正すべきだ。緊急事態も我々は(政権時代に東日本大震災で)経験した。あのとき衆院も参院も任期がきていたら(議員が失職して)政権を民主的にチェックする仕組みがなくなる。そういったことは提案していいと思う」
長島氏「改正すればいい。改正の条文ややり方で違いが出てくる」
前原氏「堂々と議論したらいい。民主党はがちがちの護憲ではないので、しっかりと積み重ねれば議論としてまとまる。安倍首相は野党分断の政局論で憲法改正と言っている。改憲は選挙の争点ではない。やるんだったら国民的な議論を巻き起こし、数年かけてやらないといけない」
■長島氏「経済政策、自民党との対抗軸は未来」
長島昭久(ながしま・あきひさ) 衆院東京比例、当選5回。米外交問題評議会上席研究員を経て政界入り。日米外交や安保政策の専門家で知られ、野田佳彦首相の下で首相補佐官や防衛副大臣を務めた。慶応大出身で長妻昭代表代行と同級生。53歳
――経済政策でアベノミクスが一定の結果を出しています。
前原氏「二極化が進んでいる。ワーキングプア層や低年金受給者を救っていくには分配政策だ。成長戦略の一部は民主党政権でやろうとしたもので、バランスが必要だと思う。中間層がしっかりと日本社会を支える社会にどうつくり直していくかが、野党第1党たる我々の目指すべき社会像だ」
細野氏「長期政権の強みを感じる。1年ごとに首相が代わった民主党政権は長期的な視点に立った改革は準備できなかった。民主党はもともと改革政党だったはずだが、政権も経験し、やや物わかりが良くなり積極性がなくなった。改革をやりきる政党でなければ、逆に自民党とどう違うのか、ということになる」
長島氏「自民党はまさに現世御利益政党だ。それに対して野党は、10年、20年先の構想から逆算し、社会保障、財政、教育制度を持続可能な形にする改革を提案する必要がある。自民党との対抗軸は未来だ」
■細野氏「権力への貪欲さ持つべき」
――民主党は寄り合い所帯といわれて長いです。
長島氏「安倍首相は右にぐっと寄っており、ど真ん中のフィールドががら空きだ。民主党は国民のサイレントマジョリティーが許容できる議論を立てるべきなのに、左の方に急カーブを切ってわざわざ真ん中のフィールドを逃している」
前原氏「野党は常に遠心力が働く。ただ反省しなければいけないのは、与党のときにも同じ感覚でいたことだ。親小沢・反小沢で最後は党を割ってしまった。常に遠心力が働く野党の中で、党としてのガバナンス(統治)をどう高めるかが今後の課題だ。安保関連法制は対案を出したい細野政調会長が我慢した。いろんな議論や発言はするが、最後はまとまっていかなくてはならない」
長島氏「ざっくばらんに言うと、外交安保の議論が端に追いやられていることは間違いない。昨年1月の代表選では、そういう状況から脱却しようと思って細野氏を擁立したが、左派・中道連合によって今の岡田体制ができた。党内は左派系がかなりのウエートを占め、政権時代にやっていたことの継続すらおぼつかない状況になっている。ここをどう克服するかが、また政権に返り咲くことができるかどうかの分水嶺だ」
細野氏「我々は内政で『共生』『多様性』という旗印がある。野党がバラバラだといわれているが、(党内で)さらに細分化することはすべきではない。あとはもう少し、良い意味での権力に対する貪欲さを皆が持つべきだ。言いたいことを言うだけであれば野党でもいいが、それでは政治家になった意味がない。政権に戻るのだという自民党の執念みたいなものは見習わないといけない。それがあれば簡単にバラバラにはならないと思う」
――離党という選択肢はないのか。
長島氏「松本剛明氏の離党は非常にショックだった。彼が自民党に行ってしまわないような野党の塊をつくるというのは、僕の心の中には常にある。議員ひとりひとりが理念の下に結集する姿を見せなかったら国民は納得しない」
――そもそも労働組合の支援を受けた保守政党はあり得るのか。
前原氏「労組イコール民主党であってはいけない。労組は強力な支持団体であり、我々は働く人たちの目線で政治をやっていくことは大事だ。(代表だった)10年前に『脱労組依存』と申し上げた考え方は変わっていない。労組だけに依存するような政党では保守二大政党にならない。労組に頼り切るなということだ」
■前原氏「民主と維新、無所属で大きな塊に」
――夏の参院選をにらみ、野党再編の入り口となる維新の党との合流構想をどう考えますか。
細野氏「新党をつくってそこに結集した方がいいと思う。安保政策では現実主義の旗を掲げたい。共産党はもちろん別だが、野党全体でできるだけ幅広くまとまっていくのが望ましい」
前原氏「いったん解党した方がいい。仮に維新の党を吸収合併しても選挙目当てと捉えられかねない。自公政権にどう対峙するかという見せ方が大事だ。新党は民主党全体と維新に加え、ほかの会派や無所属も入る大きな塊になってほしい。民主党が分裂したらダメで、参院選前に新党を立ち上げることが大事だ」
――おおさか維新の会は野党再編のパートナーになり得ますか。
長島氏「共産党と連携するより、おおさか維新を含む野党と地方分権の徹底で憲法改正を共同提案する方がまともな方向性だ。地方分権は民主党の『1丁目1番地』で、野党再編の大きなテーマ。おおさか維新は改革政党を指向していることは間違いない。彼らを政権の側に僕らの方から追いやる必要は全然ない」
前原氏「参院選までは無理だ。ただ、安倍政権が下り坂になってきた場合にスタンスは変わってくると思うので、はじめから排除する必要は全くない」
細野氏「短期的には難しいだろう。参院選は野党側が瀬戸際で残れるかどうかの選挙になる。衆参同日選の可能性ももちろんある。野党側が本当に瓦解すれば政権交代という仕組み自体が一時的に消滅する。今年はそれを守る重要な年だ」
■長島氏「共産党の選挙協力、まったくあり得ない」
――共産党との選挙協力にはやはり反対ですか。
細野氏「岡田克也代表も共産党とは『選挙協力』という言葉を使っていない。やっぱり目指す社会像、国家像が違うわけだから」
長島氏「まったくあり得ない。僕に言わせれば最初からフラフラするなと。今や左の(共産党の)方から『裏切った』と言われ、(党内の)右からも批判されている。そんな悪いことはない」
――参院選前に新党が結成される見込みは。
前原氏「最後は岡田さんの決断だが、私はリーダーとして現状をどう打破するかという問題意識を持っていると思う。そこは信頼して、政策理念が一致した野党の大きな塊を作るためのサポートをしていく」
細野氏「全く同じだ。現状に対する危機感を共有できているかにかかっている。岡田代表はその危機感を持っている」
長島氏「私は今の執行部が新党を作る可能性は極めて低いと思っている」
細野氏「それでは身も蓋もない」(一同笑)
長島氏「岡田さんは真剣だと思うけど僕が言ったのは今の執行部。信じたいけど相当突き上げないと……」
(永沢毅、宮坂正太郎、飯塚遼が担当した)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96374960R20C16A1I10000/
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