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2012年衆院選投開票日の安倍首相(C)日刊ゲンダイ
「1票の格差」が映し出す問題から目をそらしてはいけない 日本経済一歩先の真相 高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/173761
2016年1月22日 日刊ゲンダイ
「理念なき数合わせ」は地方切り捨て策
総選挙のたび、最高裁に「違憲状態」と指摘されてきた「1票の格差」の問題。その是正のため、衆院選挙制度のあり方を検討してきた有識者調査会が、大島理森議長に答申を提出した。
問題は小選挙区の新たな区割りである。「7増13減」の割り当てのうち、削減されるのは青森、滋賀、愛媛、熊本など田舎の選挙区ばかり。逆に選挙区が増えるのは、東京・千葉・神奈川など大都市圏に限られる。
人口の少ない田舎の議席を減らし、人口の多い都市部の議席を増やさなければ、1票の格差は縮まらない。こうした発想はともすれば、理にかなっているように思われがちだ。ただ、この是正プランが実現したところで、1票の格差が生じる根本的な要因は絶対に取り除けない。
1票の格差の最大の元凶とは、東京一極集中に伴った地方の人口流出である。この先も地方の人口減少が進めば、1票の格差はどんどん拡大していく。その都度、区割りを改めていくのは単なるイタチごっこだ。“オラが国のセンセイ”を失う有権者は戸惑うだけである。
東京一極化と地方の衰退を黙認するような格差是正のアイデアは、とても納得できない。疲弊する地方を見捨て、「東京栄えて国滅ぶ」を促進するようなプランは絶対に是認すべきではない。
耕作放棄地に空き家の問題など、地方や農村の荒廃は加速度的に進行している。都市部に生きる人々が地方に活躍の場を見つけ、田畑を耕し、新たな生活の基盤を築いていく。高度成長期から続く3大都市圏への人口集中を是正し、都市を離れて地方に根ざした暮らしを模索する人々を国を挙げて後押しする。
政府が一体となって、こうした方向に切り替わらなければ、1票の格差は永久になくすことなどできないのである。
ましてや、安倍政権は「地方創生」というスローガンを掲げていたはずではなかったか。1票の格差の是正と地方創生はイコールであり、内閣に担当大臣を据え、交付金のバラマキだけで解決するような小さな問題ではない。言うまでもなく、文化庁や消費者庁などの行政機能をどこかの地方に移せば、片づくという単純な問題でもない。
ぜひとも安倍政権には大きな視点に立って、1票の格差から見えてくる「ニッポンの大問題」の解決に取り組んでもらいたいものだ。
仮に1票の格差だけを考慮し、都市部の選挙区を増やし、田舎の選挙区を減らすのなら、「地方創生」の看板を下ろすべきである。「理念なき数合わせ」は、地方と農村の荒廃から目をそらし、これを切り捨てるも同然である。
高橋乗宣
エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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