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「「日本は人類史に対し、核を否定するという特別な責務を負っている。」太田氏インタビュー:岩上安身氏」
http://www.asyura2.com/16/senkyo199/msg/932.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 22 日 00:01:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「「日本は人類史に対し、核を否定するという特別な責務を負っている。」太田氏インタビュー:岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/19319.html
2016/1/22 晴耕雨読


https://twitter.com/iwakamiyasumi

これより、2016年1月8日に行なわれた、岩上安身による共同通信社編集委員・太田昌克氏インタビューの模様を報告ツイートします。

岩上安身(以下、岩上)「核問題にとても詳しい太田さんに、まず(1月6日に実施された)北朝鮮『水爆実験』からおうかがいします。水爆にしては地震の規模が小さいと聞きます。また、核兵器の種類まで見極められるのでしょうか?」

太田昌克氏(以下、太田氏)「核非拡散で有名な米モントレー国際問題研究所の北朝鮮・中国の核の専門家ジェフリー・ルイス氏などは、水爆実験に疑問的です。地震波でわかるのは威力だけ。放出された放射性核種で水爆かどうかを調べます」

太田氏「しかし、放射性物質から判断するのは極めて困難です。今回は地下の核実験で、北朝鮮は環境への影響がないよう厳重に対処したと豪語している。事実なら放射性物質を含むガスが放出されるまで、時間がかかるのではないでしょうか」

岩上「日本は福島原発事故の際、SPEEDIの情報は国民に明かさず、米軍には真っ先に知らせました。そして、今後はSPEEDI情報は使わないと言いながら、今回すぐに使用しました。でも、SPEEDI情報では即断はできないんですね」

太田氏「できません。今回使ったのはワイド(W)SPEEDIと言い、東アジアを網羅し、大気の動きから核種がどのように飛散するかを推測するもの。ワイドSPEEDIでは水爆かどうかはわからず、実測するしかありません」

太田氏「2013年(2月12日)の北朝鮮の核実験では、2ヵ月後、高崎の観測所でキセノンが見つかった。山中の地下で実験をし、のちに扉を開け換気した時、飛散したのを捕らえたのではないか。今回も、すぐに扉を開けるかはわかりません」

太田氏「北朝鮮は分析をかく乱するトリックも考えている。即断するのは危険です」

岩上「やはり専門家の話は聞くべきだ。最初に水爆か、と。その後、米・韓から水爆を疑う意見が出て、否定的な流れになっているが、まだ決められない」

岩上「韓国気象庁は北朝鮮北部、咸鏡北道吉州郡の北方約50キロで、1月6日午前10時半頃、マグニチュード4.8の人工地震を感知。同日午後、北朝鮮は初の水素爆弾実験を成功させたと発表。2013年2月以来、4回目の核実験。狙いは何か」

岩上「北朝鮮は『水爆実験は、米国をはじめ敵対勢力の核脅威と恐喝から国の自主権と民族の生存権を守り、朝鮮半島の平和と地域の安全を保証するための自衛的措置だ』と声明を出した。朝鮮戦争は休戦中、ということも忘れてはいけない」

太田氏「北朝鮮は、すでに1960年代からソ連や東欧の科学者と核開発の議論をしているんです。米ウィルソン・センターが冷戦後、東欧などの外交文書を検証して明らかになりました」

太田氏「金日成が韓国に攻め入る時、ソ連はすぐ動かず、裏切られた印象を持った。そこを中国が助けた。中国も多くの市民が戦争で傷つき、1953年に停戦。その後、ソ連が核ミサイルをキューバに持ち込む『キューバ危機』が勃発した」

太田氏「核戦争の危険が迫った。辛うじて収まるが、金日成はそれを見て、どう思ったか。もし、親分同士の米ソが手を握ったらキューバのような小国は見捨てられる、と。だから北朝鮮も、1960年代後半から核開発を本格的に始めたのです」

岩上「朝鮮戦争は忘れられた戦争とも言います。朝鮮半島の専門家ブルース・カミングス氏は、第二次大戦で日本人は310万人の戦死者を出したが、朝鮮戦争は朝鮮人300万人、韓国・中国100万人、米軍人5万2000人が死亡した大戦争だった、と」

太田氏「毛沢東の息子も戦死した。朝鮮戦争は中国の核開発にも結びついていると思う。東アジアの冷戦構造の起因と捉えることができる」

岩上「マッカーサーは、半島北部一帯に核爆弾を50発落として放射能ベルトを作ればいいと言った」

岩上「そうすれば放射能汚染で、60年間は北から陸路で朝鮮半島へ侵攻できなくなる、と。米軍も賛同していた。こんな無茶な計画が実行されかかっていた」

太田氏「トルーマンは、広島・長崎の原爆投下から核使用には慎重になりました」

太田氏「側近に『核は普通の爆弾とは違う。女・子どもに使ってはいけない』と漏らし、呵責の念があったと言われる。マッカーサーも、当初は核爆弾の使用には消極的だった。戦争が長引き、戦費がかさむので意見が変わっていったのです」

岩上「朝鮮戦争ではナパーム弾の激しい空爆で、2年間で膨大な人命を奪いました」

太田氏「ナパーム弾は、東京大空襲でも使いました。マンハッタン計画を検証し直したら、ナパーム弾は原爆投下の序曲だったのです」

太田氏「ジョージ・マーシャル陸軍参謀総長は、戦争とはプロの軍人同士が闘うもので非戦闘員を巻き込むのは邪道だと、原爆に否定的だったといいます。当初、アメリカは原爆をドイツに使い、失敗したら日本にと決めていた」

太田氏「または、どこかで原爆実験をして見せて降参を促すという議論もあった。そうならなかったのは、東京大空襲で、すでに大勢の民間人の死者が出たので、さらに原爆を落としても変わらないだろうと。軍のモラルが崩壊してしまった」

太田氏「マーシャルは悩み、戦後も言い訳をしなかったが、トルーマンやスティムソン陸軍長官は(原爆投下で)100万人を救ったなどと弁明。東京大空襲でナパーム弾を濫用したことが、原爆使用への心理的な抵抗を取払ってしまった」

岩上「朝鮮戦争で北朝鮮の国土はナパーム弾で焦土と化し、核投下の気配もあった。その恐怖感を抱いているから、北朝鮮は建国から専軍政治を維持し、『今もアメリカから脅し続けられているから、核武装をする』というロジックを持つ」

太田氏「北朝鮮の核保有、核実験は言語道断で、こんなことに金を浪費しなければ、国民が飢えで苦しむこともない。しかし、彼らのロジックや歴史をちゃんと理解した上で外交交渉をしなければ、解決の糸口は見つけられないでしょう」

岩上「イスラム過激派などは、アメリカの帝国主義が介入するごとに各地で生まれた抵抗勢力です。同じように、大日本帝国の支配とアメリカの徹底的な殺戮が、北朝鮮をモンスターに育て上げたことを忘れてはいけません」

岩上「朴槿恵大統領は『強力に糾弾する。安保理決議の規定通りにあらゆるプログラムを検証可能な形で廃棄することを要求する。国際社会と緊密に協力して〜』と発表。韓国軍や情報当局は、水爆にしては規模が小さすぎると懐疑的です」

太田氏「水爆なら、この程度では収まりません。従来の水爆ではなく、プルトニウムに重水素、三重水素を入れて核融合の威力を増大させるブースター型の原爆で、核融合で核分裂の爆発力を増大させた『水爆と原爆の中間的なもの』ではないか」

太田氏「だから、金正恩は誇張して『水素爆弾だ』と言うのでは。ただ、原爆を起爆剤に使う水爆ではないが、北朝鮮は核融合の技術はクリアーしていると見なければならないので、予断は許しません」

太田氏「水爆は原爆よりTMT火薬換算で2桁、破壊力が違う。広島原爆は16キロトンで半径2キロ強は壊滅しました。1954年のビキニ環礁の水爆は約1000倍。現在の原爆でも100キロトン。水爆が東京に落ちたら静岡まで死の灰が降ります」

太田氏「冷戦時代の公文書によれば、(狙いは)まず相手の核施設、次に軍事施設、それを支える工業施設、首都の中枢機能を破壊、と無差別攻撃に等しい。もし、横田基地や国会が核攻撃されたら、東京周辺はほとんど壊滅します」

太田氏「さらに念入りな核攻撃も検討している。1960年代は命中率も低いので、広島規模の都市を攻撃するには、不発弾も考慮して広島型原爆を3発落とさないとダメだ、と空恐ろしい核戦争を描いていた。軍とはそういうものです」

岩上「(朝鮮戦争で)米軍は北朝鮮を通常爆弾で空爆。田植え直後、巨大ダムの爆撃で下流は濁流に飲まれ飢饉も招いた。明らかな国際法違法です。今回、朴槿恵大統領が進めていた朝鮮半島の信頼プロセスが破綻したのではないですか」

太田氏「アメリカが本気でやらないと、北朝鮮の核問題は解決できません。北朝鮮はアメリカと戦争したという意識が強く、アメリカを特に敵視しているからです。韓国の路線を実現するには、日米の協調がなければ達成できません」

岩上「昨年末、慰安婦問題で日韓とも譲歩した。慰安婦像の撤去など着地点がまだ見えませんが、そこにアメリカの強力な要望があったことは、アーミテージ・レポートでも明らかです。今回の核実験で、日韓関係は変わるのでしょうか」

太田氏「オバマ政権は早期から、歴史問題、慰安婦問題はアメリカの極東戦略に影響すると懸念していました。2014年3月、オランダ・ハーグで核セキュリティ・サミットがあり、オバマ、朴槿恵、安倍首相が首脳会談をやりました」

太田氏「だから、年末の慰安婦問題の進展には、ホワイトハウスが一番喜んだのではないでしょうか。北朝鮮に核問題で交渉するには、日韓米が強力にタッグを組んで臨まなければならず、タイミングとしてはよかったと思います」

岩上「ミサイルにしろ核実験にしろ、いいタイミングでやりますね」

太田氏「北朝鮮も日韓が手を結んだので焦ったのかも。10月の弾道ミサイルは中国の圧力で止めた。モランボン公演のキャンセル、水爆保有宣言、そして水爆実験と」

岩上「日本政府は、国連安保理で米国共同での緊急会合招集を要請。北京の大使館を通じて厳重に抗議。安倍総理は『北朝鮮の核実験は我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認することはできない』とし日本独自の制裁を検討」

岩上「日本は、いつも足並みを揃えるのが好きな国ですが、今回は日本独自だと。これでは北朝鮮に、アメリカが相手なのに、日本が対象だと思わせてしまうのではないか。なぜ、そんなことを言う必要があるのでしょうか」

太田氏「日本には拉致問題がある。ストックホルム合意もあり、制裁も緩和している。独自カードを使いプレッシャーをかけることは考えられる。制裁には送金停止、輸出入禁止などがあるが、北朝鮮にダメージを与えられるかは疑問です」

太田氏「イランは、日本、韓国、インドなど石油の買い手をアメリカの圧力に封じられて対話に転じた。日本は2006年の核実験から北朝鮮に経済制裁をしているが、石油などの戦略物資で実行しないと、本当の効果がないと思います」

岩上「北朝鮮の輸出入ルートは中国。中国は『情勢を悪化させるいかなる行動も停止するように求める。朝鮮半島の安定は6ヵ国協議が唯一の実現可能な道筋だ』と。今回は事前通知がない点に不満も表明。2013年2月以降、冷えた関係です」

太田氏「中国はこれまで制裁には拒否権を発動、北朝鮮を守っていた。今回、通知しなかったのは中国からの制止が嫌だったか、本当に関係が冷えたか。モランボン楽団の北京公演のドタキャンも、中国当局が演目に不満を示したからです」

岩上「今後、中国も制裁に加わる可能性はあるのでしょうか?」

太田氏「中国と北朝鮮の関係は、遼寧省など地方政府との実体経済があるので政府ではコントロールできない。北朝鮮も、自分らがコケて困るのは中国だろうとの思惑もある」

太田氏「韓国と併合されたら米軍が間近に来る、と。2003年の6ヵ国協議では、北朝鮮の完全非核化、日韓との国交正常化、日本は70年前の戦争賠償、拉致の解決などを目標にしたがうまくいかない。米国は中国の目論みが読めないと苦慮」

太田氏「議長国の中国は北朝鮮の核開発を停止させ、国を潰さず、ある程度、中国の統制が効く状態にしたい。もしかすると北朝鮮が核を放棄するかもしれない。だが、6ヵ国協議は8年近く開かれず、その間に北朝鮮は核開発を進めてしまった」

岩上「水爆も完成し、潜水艦からミサイルも発射でき、北京も核を撃ち込まれるかも知れません」

太田氏「中国にとっても安全保障上の脅威になり得る。今後、中国が戦略物資に関わるイラン型の経済制裁を実行する覚悟があるかどうかだ」

太田氏「金融も遮断しないと制裁も効かないので、対話のテーブルに出て来ないでしょう。安全保障上の危惧には理解を示し、不可侵の約束をする。貿易を増やす相互依存関係を結べれば、ウインウインで決着する。楽観的かもしれないが」

太田氏「日本も和解したい姿勢を真摯に示せば、拉致問題も解決するのでは」

岩上「米国が日韓を早く和解させたいのは、日韓が仲良く東アジアで(対中)戦争をし、アメリカは後方支援するオフショア・バランシング戦略のため、とも」

太田氏「日米安保の歴史を見ると、アメリカも簡単に日本から手を引かないでしょう。それは、決して日本を守るためでなく、戦略的に都合がいいからです。オバマ大統領の提唱した『アジア・ピボット戦略』というものがあります」

太田氏「それは東南アジアからインド洋にシーレーンを築くためで、相手を牽制しアメリカの権益はしっかり守る戦略です」

岩上「日本がロシアや中国と和解したら日米同盟の価値が下がる。ユーラシア大陸の融和は、米国には迷惑なのでは」

太田氏「米国は、鳩山元首相の東アジア友愛路線に懸念を抱いた。日本の地政学的な宿命です。米露中と上手く間合いを取りながら、地域や世界の安定、日本国民の幸福のために何が利益になるかをトータルに考えていく視点が必要です」

岩上「安倍総理はオバマ大統領との電話会談で、国連安保理で北朝鮮への新たな制裁の議論を日米が主導すると確認。7日の参院本会議で『米国があらゆる手段を用いて日本を防衛するコミットメントを再確認した』と発言。本当でしょうか」

太田氏「確かに米国は『揺るぎないコミットメント』と、より強い意味で言っていました。抑止力を高めることで、北朝鮮を牽制する基本戦略は変わらない。そして昔から、北が核武装したら核のドミノが倒れる、との議論がある」

太田氏「韓国の国会議員がさっそく核武装に触れた。米国は、それを防ぐ意味でも私たちが守る、と」

岩上「与党セヌリ党の元裕哲院内代表ですね。『北の恐怖と破壊の核に対し我々も自衛レベルの平和的な核を持つ時が来た』と発言した」

岩上「セヌリ党元代表の鄭夢準氏も『核を持つべきだ』と。韓民求国防相は、半島非核化が政府の立場だと強調しました」

太田氏「鄭夢準氏は、現代財閥一族で巨大なシンクタンクのトップ。大統領候補にもなった人です」

太田氏「彼は筋金入りの核武装論者で『韓国が核を持たないと北朝鮮は諦めない』と。韓国は使用済み燃料を再処理する技術を独自に開発しました。昨年、韓米原子力協定が改定され、使用済み燃料の処理は研究開発レベルではOKになった」

太田氏「電離分解でウランを取り出し再利用するという。それはプルトニウム精製技術に繋がり、自前の核も妄想ではない」

岩上「国連は6日午前11時、日米の要請を受け安保理緊急会合を開催。中国も非難を表明し、進展が注目されます」

太田氏「中国の動向は制裁内容による。ミサイルと核開発の封じ込め、関係者たちの資産凍結など、従来通りの制裁には賛成するでしょう。金融制裁が大きなポイントになるのでは。いきなり、戦略資源まではいかないと思います」

岩上「元NYタイムズ東京支局長のファクラー氏は『日本が核武装に踏み切ればアメリカは容認する』と。米戦略家クリストファー・レイン氏は『東アジアで中国の封じ込めに、日米安保を破棄して日本が核抑止力を持つべきだ』としている」

太田氏「最近、アメリカは南沙諸島に強い懸念を示すなど、オバマ政権では米中G2体制が主流ではないようです。ですから、『米中が手を握るから、日本は独自路線でがんばれ』という考え方になるかどうか、懐疑的に思っています」

太田氏「1960年代、米ジョンソン大統領が米ソ、イギリスでNPT体制を始めた。インド、西独、日本の核武装を懸念したからで、日本が核を持てばNPTの基本理念が瓦解する。ジョンソン大統領は民主党。核不拡散を重要視している政党です」

岩上「次に、発射寸前だった沖縄の核について。20年前の政府核武装論と浮かび上がる戦後史について、お聞きします。これらの記事は、共同通信47ニュース『核70年の黙示録』核問題連載企画に掲載されています」

太田氏「1962年夏、ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設。同年10月16日、ケネディ大統領は核ミサイルが米国を狙っていると知る。それ以前から、沖縄の米軍基地では緊張が高まっていた。沖縄には返還前、1300発の核兵器があった」

太田氏「当時、沖縄には核搭載の巡航ミサイル・メースBを8発配備した基地が4ヵ所あった。10月28日未明、読谷村のミサイル基地に発射命令の暗号が届き、指揮官など3人が確認した。だが、防衛レベルが2で核ミサイル発射かと疑問を持った」

太田氏「4発のミサイルはソ連に1発、残り3発は別の国へ、距離から見て中国でしょう。結局、指揮官が嘉手納司令部に確認し発射命令は誤報だと判明した。これは現場にいた元技官のボードン氏に、2014年8月に取材してわかりました」

太田氏「当時を知る他の隊員を捜し出し、ボードン氏の証言の裏取りをすると、やはり事実だった。ヒューマン・エラーです。ゆえに、インドやパキスタンなど、新しく核を持った国の指揮統制が心配です。近年はハッカーも脅威になりますし」

太田氏「米ワイオミング州の基地にICBM(大陸間弾道弾)が50基ある。2010年、PCの不具合でクルーとの通信が30分以上途絶えた。こういう場合、機械は人間が死んだと判断し、大統領の暗号でミサイルが操作できるシステムになっている」

太田氏「怖いのは、暗号を知り得た内通者とハッカーが手を組めば、ICBM発射が可能なこと。前述の不具合は回復したが、これをオバマ大統領は数日後のニュースで知り、怒って徹底調査を命じた。だから、偶発事故はいつ起こるかわからない」

岩上「第3次世界大戦勃発の危機ですね。沖縄にとって、この報道はたまらない。翁長雄志知事はインタビューで『沖縄は2〜3発のミサイルで壊滅する。だから基地に反対なのだ』と強く訴えました。横田基地や横須賀基地も標的になるでしょう」

太田氏「冷戦時代と違い、今は空母に核兵器は搭載していません。父ブッシュ大統領が現場から引き上げさせた。マクナマラ元国防長官は、核戦争が防げたのは運だったと言う。岩上「1950年代、原爆共有構想が日米で議論されました」

太田氏「当時は、ソ連が侵攻して核を米国が使い、自衛隊はどう行動するかという訓練があったと言います。今、日本には原発がすでにあるので、日本に敵対する国は(原発を狙えばよく)わざわざ核兵器を持つ必要はありません」

太田氏「オバマ政権は、核施設の防護、PP(フィジカル・プロテクション)を重視する。日本の原発施設内に武装警備員がいないのを心配しています。原発再稼働の議論でも、PPを含め、原発作業員の身元確認などの検討は必要です」

太田氏「1960年代、佐藤政権でNPTに加盟するか議論し、1970年代初頭、中曽根防衛大臣は核武装の研究をし、『日本は能力も金もあるが、核実験場がない。大都市数ヵ所を攻撃されたら終わり。そんな国で核が抑止力になるのか』と」

太田氏「核は、広大な領土があり都市が分散した国で、報復できる余裕があれば抑止力になると帰結した。1995年、NPT見直しの際、アメリカは無期限延長を提案。防衛省も核武装を議論したが封印し、NPT無期限延長に賛成しました」

岩上「先の太田さんの大スクープに、星条旗新聞が反論しました。2015年12月23日、『キューバ危機の時、ボーデン(=ゴードン)と共に沖縄ミサイル施設で任務に就いた他の6人の元航空兵は異論を唱えた』と」

太田氏「年末に星条旗新聞から『事実を否定する人がいる。それを伝えないのはまずいのでは。メディアとしていかがなものか』と取材があった。しかし、6人のうちの1人が暗号文の解読書が開いてあったと答えたことは揺るぎない証言です」

太田氏「ゴードンさんは『彼らは見ていなかったのに、どうして『ない』と言えるのか。自分は現場で見た』と。他の隊員も解読書が開いているのをはっきり見ている。否定した隊員にも記事の下書きは見せている(反論がなかった)」

太田氏「否定した隊員らは現場にいた人たちではないし、そもそも機密事項です。でも、星条旗新聞には感謝しています。これで多くの人に注目される。これを記事にすることにはとても不安があったが、記者の矜持を持って書きました」

太田氏「さらにゴードンさんは私が取材する前、当時を綴った回想録についてペンタゴンに許諾を求め、許可が届いていた。彼の態度や第2の証言者の存在からも信憑性に揺らぎはありません。否定するのは、現場にいなかった人たちです」

岩上「日本は平和利用で原発導入を進めたが、常に核武装論が見え隠れする。岸信介『自衛だったら原子力を利用できるのでは』、中曽根康弘『憲法は防衛用核兵器を禁止していない』、福田赳夫『核兵器で装備する決定を採択できる』など」

岩上「宮澤喜一『核武装は技術的にも財政的にも難問ではない』、安倍晋三『核兵器使用は違憲ではない。核兵器を持ちたいのなら堂々とそう言うべきだ』、石原慎太郎『経済を蘇生させるには防衛産業が一番いい。核武装も選択肢だ』と」

岩上「石原さんは放言屋と見られるが情報も多いのだろう。意外と的確です。小沢一郎さんは『ネオコンは安倍氏、石原氏、橋下氏をわかっていない。彼らは核武装独立派だ。政府の右が、原発に固執するのは核武装論が背景にある』と」

岩上「日本でも戦前から原爆開発計画があった。1941年、陸軍航空本部が理化学研究所に原爆開発を委託。仁科芳雄博士を中心に『二号研究』を開始。1945年に熱拡散塔が大空襲で消失、研究打ち切り。戦後、GHQは研究施設を破壊しました」

太田氏「仁科さんは現実には不可能だと思い、若い学生を戦場に送らないために研究していたようです。日本は非核保有国で唯一、アメリカから使用済み燃料の再処理を許されている。この特別な地位は国力のおかげだと思っている人がいる」

太田氏「NPT批准国で、核保有を認められた米中ロ仏英のN5。日本はN6と信じている政府高官も。石破茂さんは取材で『核を作れる技術があることが抑止力になる』と言った。しかし、政府や国民のマジョリティは違うと思います」

岩上「190ヵ国加盟、5年に1度開催のNPT運用検討会議は1995年から無期限延長。2015年4月27日〜5月22日に再開。争点は核軍縮の効果的措置と法的枠組み、人道的アプローチ。中東非核地帯構想をめぐる『アラブvsイスラエル+米』」

太田氏「いつもN5が核軍縮を率先しているか、俎上に上がる。それを進める効果的なシステムがないと、オーストラリア、スイス、南ア、メキシコなどから批判が出る。また、放射能汚染の非人道性からも、核廃絶を赤十字主導で訴えている」

太田氏「イスラエルは加盟国ではないのに、中東は核を持っていると騒ぐ。前回、中東を非核、非大量破壊兵器地帯にすると決めたが進まなかった、とアメリカを非難。アラブはすぐに非核化をやろうと提案したが、米国が逃げて決裂した」

太田氏「合意文書には、各国首脳が広島・長崎を訪問する提案を入れようとしたが、日本の被害者の立場ばかりが強調されると中国が反対した。外務省は、被害者の声に耳を傾けようと和らげたが、アラブ問題で合意文書が出ませんでした」

太田氏「北朝鮮はNPTを脱退したと言うが、正式には認められていない。インドはNPTに加盟していないが、安倍総理は原子力協定で合意した。こういう行為が、NPTの空洞化に拍車をかけるのです」

太田氏「伊勢志摩サミットが、オバマ大統領の広島・長崎訪問のラストチャンスです。ケネディ在日米大使は核問題に熱心で、ケリー国務長官も核軍縮派。しかし、当の安倍総理が核軍縮には不透明で、どうなるかわからない」

太田氏「とにかく核兵器を使うことは許されません。被爆国である日本の政治家は、核には慎重にならなければ。日本は人類史に対し、核を否定するという特別な責務を負っている。被爆者の苦悩を主張できるのは、日本だけなのですから」

岩上「被爆国の日本が核兵器を持ったら、核兵器を止めようとする他の国は、どう思うだろうか。日本の核の被害は、広島、長崎、ビキニ、福島と4回もある。これを伝え続けなくてはいけません。その上で、考えなければいけない」

以上で、岩上安身による共同通信社編集委員・太田昌克氏インタビューの報告ツイートを終了します。

動画アーカイブはHPにアップしております→ http://iwj.co.jp/wj/open/archives/281578 … @iwakamiyasumi


 

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