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参院選まで爆騰狙うも 安倍政権の「官製相場」に余力なし
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/173624
2016年1月20日 日刊ゲンダイ
大発会から歯止めがかからず(C)日刊ゲンダイ
今年夏の参院選に向けて安倍政権は“官製相場”を仕掛け、株高になる。年初からの暴落は仕込みの好機だ――そうあおるメディアもチラホラあるが、そもそも官製相場を演出するだけの余力が残っているのか、はなはだ疑問だ。もし不発に終わったら……個人投資家はまたぞろ大損させられる羽目になる。
「大した根拠もないのに株高を演出できたのは、日銀とGPIFの買い支えだけが理由じゃない。株価が下落しても『買い支えがあるから安心だ』と買いに走る投資家がいればこそ。そういう幻想の上に成り立っていたのが官製相場というわけで、日銀に対する信頼が失われ、投資家の心理が冷え込んだらジ・エンド。年初からの暴落が、それを象徴しています」と大手証券会社関係者はタメ息をつく。
日銀は年3兆円だったETF(上場投資信託)の買い入れ枠を、今年から3.3兆円に増額。大発会(4日)に369億円、6、7、12、14日にそれぞれ352億円と計1777億円を投じ、せっせと買い入れたものの、暴落に歯止めがかからない。まさに焼け石に水の状態だ。
さすがに日銀の黒田東彦総裁も焦ったのか、18日の支店長会議で「リスク要因を点検し、必要な調整を行う」などと追加緩和を排除しない姿勢を強調してみせた。ところが、18日の平均株価は3営業日続落で、3カ月半ぶりに終値で1万7000円を割り込んだ。ざまあない。
「ETFを3000億円増額といっても、日銀は02〜10年の金融不安で銀行から買い取った株式を4月から年3000億円ペースで売却するので、行って来いです。そもそも次で最後とされる“黒田バズーカ”も、市場では『それほど効果は期待できない』ともっぱら。日銀に対する信頼はとっくに失われています」(日銀番記者)
135兆円の年金資産を運用しているGPIFにしたって、それほど余力は残っていない。
「昨年9月末時点で国内株式は22%、30兆円運用していますが、基本ポートフォリオは25%。官製相場の演出に使える額は単純計算で差し引き残り3ポイント、約4兆円です。参院選に向けて株高を演出しようと、仮に40営業日かけて突っ込んだとして1日1000億円。1日の売買金額2兆数千億円の東証で、売買の約6割を占める外国人投資家に売り浴びせられたら、とても太刀打ちできませんよ」(前出の大手証券会社関係者)
安倍政権が躍起になって笛を吹き、日銀とGPIFが買い支えようとしても、投資家が踊らなければ官製相場は成立しないのだ。株式評論家の倉多慎之助氏が言う。
「株価の底値と天井をつけるのは、個人投資家です。株高を後押しする投資家の信頼を失えば、いくら“官”がお金を突っ込んでも、相場は動きません。日銀にもGPIFにも、もはや“神通力”はない。やれ参院選相場だ何だと騒いだところで、不発に終わる可能性が高いでしょう」
政権の思惑だけで市場を動かし、投資家をないがしろにしてきたツケが回ってきそうだ。
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