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日韓合意の不平等性を喝破した五味東京新聞編集委員
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2016年1月12日 天木直人のブログ 新党憲法9条
きょう1月12日の東京新聞「こちら編集委員室」で、五味洋治編集委員が「『力の外交』の限界」と題して、極めて重要な指摘をしていた。
すなわち慰安婦問題に関する今回の日韓合意と、1965年の日韓国交正常化の合意(日韓基本条約および付随協定)の背景は、「力の外交」の限界を示す点で全く同じ構図であると喝破している。
あの時も今回も、日本は本気で過去の反省を行わず、力で押し切った。
50年前の日韓合意においては、安保と経済協力を優先した結果、日韓の不幸な歴史の清算についての言及は条約文の中にはひとこともなく、韓国内で激しい反対運動が起きた。
今回の合意では、たしかに見せかけのおわびと反省は表明したが「問題は1965年に解決済み」との高圧的な姿勢は変えず、安保と経済(慰安婦基金)を優先して「最終的かつ不可逆的」として、やはり韓国内で反発が起きた。
そう書いた上で、五味編集委員はこう締めくくっている。
力の外交を基調とする限り、(安倍首相が強調する)「未来志向の日韓新時代」が来るとは思えない。当時(1965年)も今も、欠けているのは「相手の心に直接訴える行動」ではなかったのかと。
五味編集委員の記事はここで終わっている。
しかし、五味編集委員の記事にはもっと深い歴史的意味がある。
なぜ自民党政権(民主党政権になってもそうだったが)は「1965年に解決済み」にこだわったのか。
なぜ朴大統領は、1965年の合意の見直しまで踏み込もうとせず、最後は、未来永劫、二度とこの問題は持ち出さないと言わんばかりの、不可逆的合意を受け入れたのか。
それは自民党政権と父親の朴正熙大統領の「密約」だった日韓基本条約に触れたくなかったからだ。
朴正熙大統領の軍事政権下の韓国には、民主政治はなかった。その時代に米国と日本の力の外交で合意された日韓条約を再交渉することは、娘である朴槿恵大統領にはパンドラの箱を開くことになる。
今度の不可逆的な合意は、オバマ大統領はもとより、安倍首相にとっても朴槿恵大統領にとっても利害が見事に一致したということだ。
もしこのまま今度の日韓合意がそのまま不可逆的な合意になるのなら、日韓関係は将来にわたって非民主的な関係であり続けることになる。
それでいいのかという事である(了)
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