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【慰安婦合意から半月】安倍政権はこうして「強硬保守」の怒りを抑えこんだ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47324
2016年01月11日(月) 田崎 史郎「ニュースの深層」 現代ビジネス
■安倍は反応を読み切っていた
慰安婦をめぐる昨年末の日韓合意後、強硬保守の人たちが合意に反発するかと思いきや、案外、その怒りが高まっていない。首相官邸前で集会が開かれたり、ネットで書き込んだりという動きは続いてはいる。しかし、「うねり」と言えるほどではない。
韓国に対して厳しい態度を取る産経新聞は、首相・安倍晋三が決断した理由の説明に重点を置く。強硬保守の人たちは合意を批判するよりも安倍政権の存続を重視したようだ。彼らがこうせざるを得ないことを、安倍は読み切っていたのではないか。
日韓関係の難しさは、相手国の動きに対して両国の国民感情が高ぶりやすいことにある。とくに強硬保守の人たちには韓国に対して厳しい見方をする人が多い。強硬保守をあえて「右」と表現しないのは、左右を分ける分水嶺がはっきりしないからだ。
安倍は強硬保守を「母体」と呼ぶ。安倍が1回目の首相を辞めた後、再登板を求める声を上げ、安倍を励まし続けたのは彼らだった。日韓関係の打開に当たり、安倍がもっとも気がかりだったのは彼らであり、それに共鳴する人たちの「嫌韓感情」の高まりだった。
昨年11月2日午前に行われた日韓首脳会談は約1時間45分間に及んだ。このうち、冒頭の約1時間は双方4人ずつの少人数で行われ、かつほとんどが慰安婦問題についてだった。日本側から安倍、外相・岸田文雄、官房副長官・萩生田光一、国家安全保障局長・谷内正太郎、韓国側から大統領・朴槿恵、外相・尹炳世(ユンビョンセ)、大統領府秘書室長・李丙h(イビョンギ)らが出席した。
この席で、安倍は率直に日本の国民感情の変化を説明した。
「一般国民が韓国を嫌いになっている。かつては、日本も(日韓併合を)やったんだから、という人たちがいたが、『ここまで来ると…』ということになっている。日本の世論も大きく変わったんです。(嫌韓は)保守派だけではなくなりました」
しかし、朴は慰安婦問題を最優先で解決するよう求め、会談は平行線に終わった。このため、安倍は帰国後、「焦らずにやっていく」と語り、年内妥結を目指すという合意とは裏腹に、実際には難しいと読んでいた。
■安倍の背中を押した「二つの判決」
韓国に対する安倍の見立てが大きく変わってきたのは、12月後半に韓国で下された2つの判決がきっかけだった。ソウル中央地裁は17日午後、朴槿恵への名誉毀損(きそん)で在宅起訴された産経新聞前ソウル支局長に対し、無罪判決を言い渡した。ソウル中央地検は22日、控訴を断念し、無罪が確定した。
続いて、韓国憲法裁判所は23日、日本統治時代の朝鮮半島からの徴用に対する請求権問題が、完全かつ最終的に解決されたと規定した日韓請求権協定について「審判対象にならない」と結論付け、訴えを却下した。
安倍はこう振り返る。
「あの判決がなければやらないつもりだった。蒸し返さないという約束をとれるのであれば、合意を目指す考えだった」
11月の日韓首脳会談に同席した谷内と李丙hとの極秘会談も何度となく行われ、その過程で韓国側は「最終的かつ不可逆的に解決」という表現を受け入れた。これらの動きを受けて、安倍は24日夕、岸田に訪韓を指示した。
岸田は28日訪韓し、尹炳世と間で、最終的かつ不可逆的解決を確認するとともに、元慰安婦支援のため、韓国政府が設置する財団に、日本政府が10億円を基金として一括拠出することなどで合意した。
安倍は岸田に指示した直後、自民党幹事長・谷垣禎一と会って日韓合意の見通しを説明した。また、強硬保守と目される政調会長・稲田朋美、首相補佐官・衛藤晟一らに事前に連絡した。自民党側で合意に対する反発がほとんど起きないのは、安倍の用意周到な根回しがあったからだ。
同時に、強硬保守にとって、安倍以外に思いを託せる政治家が現時点で存在しないことを安倍は熟知している。安倍の後継に目される地方創生担当相・石破茂、谷垣、岸田はいずれも中道だ。この現実を誰よりも冷静に分析しているのが安倍だ。
■決め手は安全保障
安倍がゴーサインを出した、もう一つの理由は安全保障である。北朝鮮や中国に対抗するために、日米韓の協力関係を強固なものにすることが安倍にとって大きな懸案であり、米国はかねて日韓両国に強く働き掛けてきた。安倍は日韓合意後、周辺にこう漏らした。
「安全保障上、大きな効果がある。一般の人にはなかなか分かりにくいが、安全保障が一番、最大の問題です」
日韓合意から年末年始をはさんで9日後の今月6日、北朝鮮は「初の水素爆弾実験を成功させた」と発表した。安倍はこのことを予測していたわけではないが、「水爆実験」後の日米韓の連携はうまく行っている。合意されなかった場合と比較すると雲泥の差に違いない。
日韓合意の実現には、ソウル大使館前の少女像撤去という難題が横たわっている。日本側は少女像が撤去されない限り、10億円を支出しないと構えだ。この問題はあっても、強硬保守が支持する安倍だからこそ、今回の合意に対する反発が限定的になっているのではないか。(敬称略)
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