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民主党は「ブラックな政党」を目指しているのか?〜国会での論争を聞いていると、ブラック企業と発想が似ているので驚いた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47325
2016年01月11日(月) 高橋 洋一「ニュースの深層」 現代ビジネス
■わざわざ国会で恥をさらさなくとも…
4日からの株式市場は波乱の幕開けだった。結局、5日連続の下落となった(5連敗は戦後初らしい)。海外に目を転じれば、中国経済の先行き不安、北朝鮮の水爆実験、サウジアラビアとイランの中東情勢などなど話題に事欠かない一週間だった。
「騒ぐ申年」という株の世界の格言に引っかけて、波乱という人もいる。データ主義の筆者は、初日5日間の株価は年間の株価にさほど影響ないことを知っている(下図)。プロ野球の開幕戦でペナントレースの行方が占えるはずないので、波乱かもしれないが、そうでもないかもしれない、まだ何もわからないとしか言えない。
さて、同じく4日から国会が開かれている。8日の衆院予算委員会から本格的な論戦が始まったが、早速民主党が賃金と就業者数について、経済の不勉強を晒してしまった。
筆者としては、こうしたことがないようにと、昨年12月21日の本コラム(民主党は雇用政策のキホンすら知らないのか…安倍政権批判のつもりが、自らの経済オンチっぷりを露呈 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47022)で指摘したつもりなのだが、どうも民主党の方は学習能力に欠けているようだ。
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そのコラムの要点を簡単に記せば、以下の通りだ。
名目賃金は労使間の交渉で決まるが、物価より硬直的だ。一方、金融政策は物価に影響を与えられる。このため、金融緩和すると実質賃金を低下させることができる。すると、就業者数を増加させることができる。
さらに金融緩和を継続すると、ほぼ失業がなくなる状態となる。そうなると今度は実質賃金も上昇に転じてくる。そして、経済の拡大によって就業者数も増加する・・・。こうした状況は、下の図でのAからCへのシフト、CからDへのシフトとして描かれる。
逆に金融引き締めを行うと、実質賃金が高くなるが、これは上図のAからBへのシフトであるから、この場合、就業者数が減少する。
こうした教科書的なモデルの具体例が、民主党政権と安倍政権の比較である。民主党時代はAからBへのシフト、安倍政権はAからCへのシフトである。これは、以下の実質賃金と就業者数のデータを見ればわかる。
民主党の枝野氏は、上のコラムを読んでいなかったのだろう。今国会で見事に墓穴を掘ってしまった。安倍政権を批判したいがために、就業者数のことを無視して、実質賃金を持ち出してしまったのだ。
上の図は、枝野氏が8日衆院予算委員会で示した実質賃金の推移を示したものだ。筆者の昨年の本コラムの図と同じデータである。筆者のものは傾向線を書いているので、実質賃金について、民主党時代に高止まりしているが、安倍政権では一時的に下がり、最近では反転しつつあるのがわかる。
雇用の経済学の図でいえば、これまでの安倍政権はAからCへのシフトだったが、そろそろCからDへシフトする状態となっているわけだ。
■民主党は、国際的に言えば「右派」 である
政権時代に就業者数の減少を招いたにもかかわらず、民主党が実質賃金の高さを言っているのは、かなり滑稽である。就業者数が減り、実質賃金がよくなることで喜ぶのは、「既得権雇用者」たちだ。つまり、既得権者保護の政治を民主党は公言していることになる。新卒者や失業者という「非既得権雇用者」の利益は考えていない、ということだ。
枝野氏は「安倍政権の政策は雇用政策に反している」と発言したが、民主党の方が雇用政策としては完全な誤りである。この点に気がつかなくては、雇用政策の幹部としては失格である。もし筆者のいうことが間違っていると思うなら、欧州の左派政党に意見照会してみればいい。
国際的な基準からみれば、安倍政権のほうが、民主党政権より「左派」で、労働者に優しい、ということが分かるはずだ。枝野氏は、以前から経済政策で雇用の党らしからぬことを言ってきた。その方向感のずれは、国際基準から見れば「右派」みたいだ。
たとえば、金融緩和に反対する人は、デフレ経済で失業が多い方の経済を好む人だ。マクロ経済から見れば誤りであるが、ブラック企業の経営者の観点から見れば正しい、失業が多ければ、賃金を安く設定して買い叩けるので、多少のデフレには対応できる。
枝野氏は気がついていないだろうが、枝野氏の考えでは、デフレを指向して既得権雇用者の実質賃金を高める一方、非既得権雇用者の雇用を奪い、仮に職を得てもブラック企業に搾取される、ということになる。この意味で枝野氏の価値観は、ブラック企業の経営者と同じ経済観になっているということだ。
また、かつて枝野氏は、テレビ朝日の『朝まで生テレビ』で筆者と一緒に出演したことがある。そのとき、金利を上げれば景気がよくなるという珍説を披露したので、驚いたことがある。
さすがに、全国放送なので、そうしたでたらめな経済理論は不味いと思って、やめた方がいいと忠告したが、信じ込んでいるようだった。
教科書としては、子供向けに日銀が解説したもので、「日銀キッズ」という教材がある(https://www.boj.or.jp/z/kids/matome/resume10.html)。そこにも、景気が悪い時には、お金を増やして金利を下げるようにすると書いてある。これは、中高校生向けのどんな教科書でも同じである。
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■ブラック企業の経営者と同じ考え?
まあ、この金利を上げれば景気がよくなるという話の間違いは、上の雇用に関する間違いと本質的には同じである。テレビでは金利といったが、実質金利の意味だろう。
経済理論では、雇用と設備投資はヒトとモノとの違いはあるが、生産手段としては同じ範疇である。しかも、両方とも実質賃金、実質金利が下がれば増加するという点で同じだ。そして、経済成長を促すという共通点もある。そのうち、労働力や設備力の制約が出始めると、実質賃金や実質金利が高くなっていく。
雇用について、金融緩和でまず実質賃金を下げなければ雇用量が増加しないのと同じで、設備投資についても、金融緩和でまず実質金利を下げないと設備投資は増加しない。
つまり「実質金利をまず高めろ」と言った枝野氏は、雇用と同じ間違いを設備投資でも犯したわけだ。
ブラック企業の経営者が、労働者を買いたたいたことで手元の余裕資金を膨らませているために、その金利収入を増やそうとして「実質金利を引き上げよ」と主張するのと、枝野氏の「実質金利を高めよ」という主張には驚くほどの類似性がある。
枝野氏は、実質賃金も実質金利も引き上げよといっている点で、皮肉にも見事に整合性がとれている。ただし、残念ながら、二つともに経済成長のためには誤りである。さらに、二つともに、既得権雇用者、資産家に有利な政策となっている。非既得権雇用者や資金を持たない挑戦者には優しくない。
■このままではまた大敗する
安倍首相は、雇用とともに倒産件数のことも答弁した(下図)。
雇用確保と倒産予防は、ともに政府の最も重要な仕事だ。この二つを提示されると、枝野氏は「都合のいい数字を出す」と厳しく追及するが、この二つが国民にとって重要であることを知らないのだろうか。
この重要な施策について、民主党は完全に安倍政権に負けている。それは、金融政策を正しく理解しているかいないか、という問題である。民主党が自民党に正しく対抗するための策は、安倍政権が掲げるインフレ目標2%ではなく、当面インフレ目標4%の金融緩和を行い、雇用確保と倒産予防をもっと強化してやっていく、というものであるべきはずだ。
この基本がわからないようでは、今年7月の参院選(場合によってダブル選)でも民主党はまた負けるだろう。
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