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“改憲選挙”に待ったなしの安倍晋三首相と橋下徹前大阪市長
安倍首相「おおさか維新と改憲めざす」宣言の裏…橋下との密約だけでなく日本会議の圧力、公明との裏取引も
http://lite-ra.com/2016/01/post-1879.html
2016.01.11. リテラ
安倍首相がいよいよ危険な野望をむき出しにし始めた。10日、NHKの『日曜討論』に、安倍首相が出演。夏の参院選について「与党だけでは3分の2は大変難しいが、おおさか維新など改憲に前向きな党もある」「自公だけではなく、改憲を考えている責任感の強い人たちと、3分の2を構成していきたい」と、憲法改正に向けた具体的な戦略を語ったのだ。
自民党が改憲を参院選の公約に掲げることはすでに昨年9月の時点で方針が固まっていたが、一方で、自民党内には安保法制が国民の激しい反発を呼んだことで、「改憲を前面に出したら、参院選は勝てない」と、慎重論も広がっており、実際、安倍首相も、安保法制可決後は「経済中心」を強調していた。
それがここにきて、再び改憲に前のめりになっているのは、2つの理由がある。
ひとつめはやはり、安倍首相の支持勢力の中核をなす極右団体・日本会議からのプレッシャーだ。
本サイトでも何度も指摘しているように、昨年秋、日本会議は櫻井よしこ氏と同会の田久保忠衛会長を共同代表に「美しい日本の憲法をつくる国民の会」というダミー団体を使って、改憲のための世論づくりを本格化。同時に、改憲に慎重になっていた安倍首相と自民党に圧力をかけていた。
11月1日には、日本会議・田久保会長がその「美しい日本の憲法〜」が開いた福岡の集会で、こう安倍首相を牽制している。
「安倍さんに多少ぐらつきがあっても、我々がリードして牽引車にならないと日本国は生き延びることができない」
「参院選で勝ったら、次は本当の安倍晋三が出てくるのではないか」
すると、この9日後の11月10日、安倍首相は同会が開いた「今こそ憲法改正を!1万人大会」にビデオメッセージをよせ、改憲への決意を改めて表明。さらに11月28日、自らが会長を務める保守系超党派議連「創生『日本』」の会合で、「憲法改正をはじめ占領時代につくられた仕組みを変えることが(自民党)立党の原点だ」との演説をぶった。
「安倍さんはたまに現実的な顔を見せることがあるが、根っこはゴリゴリの右翼ですからね。これまで自分を支えてくれた右派、歴史修正主義勢力のことは絶対に切れない。とくに日本会議、櫻井よしこさんとの関係は絶対的で、彼らに何かを働きかけられると、すぐにそちらに引っ張られる」(政治評論家)
そして、もうひとつ、安倍首相の背中を押したのは、その発言にも出てきたおおさか維新の会、橋下徹前大阪市長との関係だ。
周知のように、安倍首相と橋下氏、そして松井一郎大阪府知事、菅義偉官房長官は昨年12月19日夜に都内のホテルで慰労会と称して会談をもったが、その際に「自民、公明、おおさか維新で憲法改正発議に必要な3分の2の議席獲得を目指す考えで一致した」ことを松井知事が証言している。実際、この後から橋下氏とおおさか維新は自民党以上に積極的に動き始めた。
年明けには、党内に戦略本部会議を設置し、独自の憲法改正案の策定に着手する方針を打ち出したし、橋下氏も全面協力を表明している。
本サイトは、昨年の大阪都構想住民投票の直前から、安倍、橋下の間で、憲法改正をめぐる密約があるのではないかと指摘していたが、やはりそのとおりに事が動き始めたのだ。
「12月の会談ではむしろ、橋下市長のほうが積極的に改憲の話をもちだしたようです。安倍首相としても、橋下氏がのってくれれば、日本会議的な改憲ではなく、『改革』のイメージで世論づくりができる。会談では、かなり具体的な計画まで踏み込んで話し合われたようですよ」(全国紙政治部記者)
まずは災害時対策として緊急事態条項を加えることをぶちあげ、安保法制と同じ論法で、「災害時の空白をカバーするため」などと主張して国民の支持をとりつける作戦のようだ。
しかし、本サイトで何度も指摘しているように、この緊急事態条項は、政府が緊急事態を宣言すれば、好き勝手に法律をつくり、税金も自由に使えるというとてつもなく危険なシロモノ。「災害時」といっているが、自民党案ではそんなものは二の次で、実際は「武力攻撃」「内乱」時の人権制限を目的にしている、事実上の戒厳令なのだ。
しかも、この緊急事態条項が認められれば、次は憲法9条改正、基本的人権の制限、愛国の義務化などの日本会議的改憲が前面に出てくる。
一部では、公明党が抑止力になるのではないか、という見方があるが、これは甘い。実は公明党とは、昨年末、消費税をめぐる軽減税率適用を自民党がのんだ際、「憲法改正に協力するということですでに裏取引がかわされている」という見方が根強い。
事実、橋下氏も軽減税率の与党合意の後、ツイッターでこれを評価し、「完全に憲法改正のプロセスは詰んだ」とつぶやいている。
もはや、憲法改正は完全に政治日程に乗ったと言っていいだろう。一方、こうした安倍政権と橋下維新の危険な動きに対抗しようという側はどうなのか。
昨年12月には、SEALDsなどの安保法制に反対する市民団体が「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を結成し、参院選で野党統一候補を支援すると表明。野党も1人区で選挙協力を実現しようと共闘に向けて動いているが、安倍政権の動きに比べると、野党側は完全に立ち遅れている感が否めない。
本当に取り返しのつかないことになる前に、野党は一刻も早く共闘を実現させて、安倍政権に対抗する必要がある。
(田部祥太)
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