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対談:志位和夫×小林節 「連合政府構想」には必然性がある
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172894
2016年1月11日 日刊ゲンダイ 文字お越し
志位和夫氏と小林節氏(C)日刊ゲンダイ
野蛮人に「野合」と言われる筋合いはない(小林)
安倍暴走政権のやりたい放題を見ていると、今度の参院選で鉄槌を下さないと、とんでもないことになりそうだ。その際、カギを握るのは野党共闘の成否である。共産党の志位和夫委員長は「国民連合政府」構想を打ち出し、野党党首と本格的な話し合いを始めようとしている。現状はどうか。問題点はどこにあるのか。憲法学者、小林節氏の党首対談第2弾――。
小林 志位さんが掲げた連合政府構想、今は合意に向けて、いろいろ努力されていると思いますが、私はさまざまな意味で、このタイミングで、こういう構想が出てきたのは必然的だし、いい機会だと思っています。
志位 「これしかない」と思うんです。今度の戦争法(安保法制)には自衛隊の海外での武力行使の仕掛けがたくさん盛り込まれています。やり方も乱暴極まりない。60年余の政府の憲法解釈が一晩でひっくり返され、立憲主義が破壊された。それに対して、国民の間から激しい怒りの声とともに、「野党は共闘」という声が広がった。こうした国民の声にどうこたえ、どうやって野党としての責任を果たすか。この法律を廃止にするにはどうしたらいいか。突き詰めた結果、「国民連合政府」の提案となりました。
小林 日米では政府間でガイドラインを結んでいるのですから、単に新安保法の廃止法案を出して、可決すればいいってもんじゃありませんね。閣議決定を撤回させなければいけないし、米国も説得しなければいけない。
志位 そうです。米国との緊張を恐れず、日本が独裁国家になってもいいのか、民主主義国家であることが大切でしょうと説得し、納得させる覚悟が必要です。
小林 米国のチャンネルは実は複数あるので、十分可能だと思います。そういうところまで考えた結果、単なる勝ち負けの戦略的な選挙協力ではなく、連合政府構想に行き着いたのでしょう。私も戦略論ではなく本質論で、この話をグイグイ推し進めるべきだと思います。他党はいきなり連合政府構想が出てきて戸惑いがあるかもしれないけれど、非常事態ですからね、今の日本は。安倍政権は硬直化し、違う意見を封じ込め、まともな議論すらせずに、多数派の横暴で憲法9条を殺した。国会の多数があれば何をやってもいいと思っているのか、選挙で勝って安倍首相は王様と化した。これに対して、野党はまず、民主主義の土俵を取り戻さなければいけません。
志位 野党には大義がありますよ。戦争法強行で、日本は、法の支配から人の支配――安倍さんの支配になっている。立憲主義・民主主義を取り戻す。独裁政治のエスカレートを止める。それを最優先させて、政策が違っても結束しなければいけない。憲政上、これ以上の大義はありません。
小林 与党サイドからは連合政府構想に対しては野合との批判も出ていますが、民主主義を壊した野蛮人に「野合」と言われる筋合いはありませんよ。実は沖縄も同じことだったと思うんですね。衆院選では野党が選挙協力をして、すべての小選挙区で勝ちましたが、これは戦略的な選挙協力と言うより、まず沖縄では憲法も民主主義もないがしろにされたんですよ。米国と日本の共通の植民地にされてしまった。
志位 そうです。だから、辺野古新基地を許さないという一点の大義でまとまった。大切なことは、新基地反対の大義でまとまると、他の政策でも一致してくるんですよ。反TPP、反集団的自衛権と広がっていった。
小林 根っこは、米国の一握りのジャパンハンドラー(日本を操る人々)に日本を売り渡すようなことはするな、ということですからね。
志位 ですから、戦争法廃止でまとまれば、その他の各論でも一致してくる部分が出てくるんじゃないかと思っています。先の国会では5野党が結束して、安倍政権不信任案を出したわけです。暴走を止め、転換する。そこでは一致できるはずなんです。
小林 だからといって、一つの党になる必要はない。人間はさまざまな要素でつながっている。人脈、思想、宗教、組合とそれぞれで、結社の自由があるわけですから、それぞれに好きな人々とグループをつくればいい。
志位 政党はそれぞれ、理念も目標も違うわけですからね。違いはお互いに尊重し合って、一致できる部分で協力していく。当たり前のことです。
共産党を知ってもらういいチャンスです(志位)
小林 冒頭にさまざまな意味でこの連合政府構想はいいタイミングだし、必然的であると言ったのは、共産党アレルギーを払拭するチャンスでもあると思います。民主党の蓮舫さんは「革命政党とは一緒になれない」と言っていたし、長島昭久衆院議員は「一緒になれば、健全な保守票が逃げる」と言った。おかしなことを言うなあと思います。
志位 私たちも共産党への拒否感をなくす努力をします。ただ、いまは独裁政治を許していいのかどうかの分かれ道。好き嫌いを言っているときではないでしょう。好き嫌いがあっても、それを乗り越えて大義のもとに手を結ぶべきときではないですか。
小林 「革命」とは何か、健全な保守って、何か。そういうことを問いただしていけばいいと思うんです。革命は悪いことではない。米国の独立戦争、フランス革命、日本の戦後だって革命です。
志位 そうですね。古い枠組みを根底から変えるということですね。IT革命という言葉もある。普通に使っているじゃないですか。
小林 ただし、過去において共産党=悪である。そういう刷り込みがありました。歴史的に見ても共産党政権は暴力を使った。そういうインプットがあるんですね。でも、彼らが革命を起こした相手が先に暴力を使っていたわけですよ。
志位 ロシア革命も、中国革命も、議会制民主主義がないもとでの革命でした。今の日本とはまったく条件が違う。議会で多数を得て革命を進めるというのが、私たちの大方針です。戦前、共産党は非合法下におかれ、アカ、国賊と言われ、悪いことをしたかのように宣伝されたんですが、まったく反対です。命懸けで侵略戦争反対、国民主権を主張した。それは戦後の憲法に実りました。
小林 共産党の名前を変えたらどうかと言うのも失礼な話ですよね。「あなたはあなたであるのをやめなさい、って。そうすれば付き合ってやる」って言うようなものです。結局、共産主義というのは資本の私有を許さない。そういうことでしょう? 資本家は欲望に応じて自分の利益を拡大しようとするので必然的に労働者を搾取する。資本の私有を許さなければ搾取がなくなる。その程度っていったら失礼だけど、そういうことなのに、独占資本、それに連なる族議員、族官僚にしてみれば、共産党の連合政府ができれば、暴利を貪る体制が壊されるのではないかと、怖がっているんでしょう。
志位 いまつくろうといっている「国民連合政府」は、共産主義をすすめる政府じゃない。立憲主義・民主主義を取り戻す。日本国憲法を守り、生かそうということです。ただ、共産党の本当の姿を知ってもらう。そういう努力をしなければいけないと思っています。
小林 注目されている今がチャンスですよ。
志位 歴史を考えますと、戦後、自民党政治の中枢には、侵略戦争を行った勢力がそのまま居座りました。A級戦犯容疑者だった岸信介氏は総理にまでなった。そういうことはヨーロッパでは考えられないことなんですね。戦前を引きずる政権が日本を戦争できる国に逆戻りさせようとしている。これは本当に危ないことです。
小林 終戦直後、冷戦が激しくなって、米国にしてみれば、日本列島をロシアと中国に対する橋頭堡にしなければならなくなった。そこでA級戦犯容疑をかけられた岸さんが総理大臣になった。つまり、米国の傀儡政権ですよ。彼らは戦前の体制が刷り込まれているから、俺たちは悪くないと思っている。そういう人が自民党を担って、改憲をもくろんでいる。自民党の改憲草案を見ると明治憲法に戻ろうとしている。歴史の清算がなされていない自民党政権に引導を渡す。そういう意味でも、連合政府構想はいい機会だと思います。
志位 自民党にもかつては歴史にきちんと向き合おうとした人もいた。河野談話が出されたし、村山談話も自社さ政権のときでした。ところが、そういう動きが出てきた途端に、自虐史観という批判が噴出し、教科書を書き換える動きが活発化した。村山談話は1995年ですが、教科書問題を考える議連ができて安倍さんが事務局長になったのは97年です。歴史修正主義者の中で純粋培養されたような人物が総理に返り咲き、憲法を破壊した。
小林 ますます、このタイミングで止めなければいけません。
野党間で全力で支援しなければ自公に勝てない(志位)
小林 私は実は日本会議に近い人の人脈にいたこともあるんです。徐々に違和感を持つようになりました。彼らは自分たちがやったことが「アジア近隣諸国を独立させた」と本気で言うんですね。「五族協和」とかね。インドネシアなどに行くと、「日本人はオランダ人よりは良かった」などと言ったりする。だから、「悪いことはしてない」とか言うんでしょうが、上から目線で、日本化を植え付けようとしたのは間違いない。歴史の清算ができていないんですね。
志位 かつては自民党にも良識がある保守の方がいたと思います。安保法制に対しても、山崎拓さん、河野洋平さん、野中広務さんらが批判の声を上げられましたが、私が書記局長だったときテレビ討論などでやりあった相手ですよ。
小林 私も学者仲間では異端だったんです。政治的発言をしていたんで。しかし、今はみんなが寄ってくる。同僚の態度がガラリと変わった。安倍首相が本性を現したおかげで、みんな黙っていられなくなった。
志位 2015年は国民が新しい歩みを始めた年となりました。戦後の平和運動を担ってきた潮流が、過去のいきさつを乗り越えて共闘組織をつくった。そのうえに、シールズ、ママの会、学者の会など新しい自発的な政治参加の動きが起こり、戦後かつてない新しい国民運動が広がっています。これは日本の歴史で初めての市民革命的な動きですよ。
小林 今度の選挙がどういう結果になるにせよ、これは革命的な動きで、今後も続く。そうした国民の声に野党が共闘して答える。これは戦いの第一歩になると思いますよ。そこで、選挙協力の方法なんですが、私は世論調査によって、各党の小選挙区の取り分を決める。あるいは参院1人区の現職は無所属で出てもらう。いろいろな方法があると思うんですがいかがですか?
志位 野党間で、真剣な協議を行い、しっかりした合意をつくることがどうしても必要です。そして、野党間で、互いに全力で支援しあう本気の選挙協力に取り組み、市民運動のみなさんと一体に戦う。そういう戦いにしないと自公に勝てないと思います。
小林 熊本では野党統一候補が決まりましたね。
志位 ここは市民団体が野党に対して、統一候補擁立を求め、筋の通った共闘態勢がつくられました。
小林 無所属ですよね。全部無所属ではダメなんですか?
志位 公認候補を相互に支援するということもあると思う。いずれにせよ、戦争法廃止、立憲主義回復など国民的大義で合意することが大前提です。
小林 大事なのは国民世論ですね。
志位 そうです。5月3日の憲法記念日を目指して2000万人の戦争法廃止の署名運動が始まっています。これをやりきれば、平和の大きな流れができる。難しい問題はありますが、立憲主義と民主主義がかかっている。あきらめるわけにはいきません。
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