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イスラエル、反入植決議で“マジ切れ”
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8559
2016年12月28日 佐々木伸 (星槎大学客員教授) WEDGE Infinity
イスラエルが国連安保理の「入植地建設非難決議」に猛反発し、決議が通るよう背後でオバマ政権が画策したと非難、あくまでも入植を続行する構え。イスラエルのネタニヤフ首相とオバマ大統領は犬猿の仲だが、オバマ氏が決議を通したのは「ネタニヤフへの最後っ屁」(専門家)。だが、中東和平の唯一現実的なアプローチ「2国家共存」は完全に崩壊の危機に瀕してしまった。
■実際は英国が暗躍
今回の安保理決議に対するイスラエルの反発は凄まじかった。決議が採択された後、ネタニヤフ首相は「恥ずべき決議」と、拒否権を行使せずに決議を成立させた同盟国のオバマ政権に対する非難を激化させ、米国の駐イスラエル大使ら安保理の各国大使を呼びつけて強く抗議した。
首相は報復措置として、国連への資金拠出拒否を決定し、決議に賛同したウクライナ首相らのイスラエル訪問をキャンセルしたほか、決議の共同提案国であるニュージーランドなどからイスラエル大使を本国に引き揚げた。
決議はイスラエルが推進しているパレスチナ占領地への住宅建設などの入植活動を「甚だしい国際法の違反」と非難し、入植の即時停止を求めている。イスラエルへの非難決議に拒否権を発動してきた米国が棄権し、決議は採択された。
イスラエルとパレスチナの中東和平交渉はオバマ政権の仲介にもかかわらず、2年前から頓挫したまま。将来の中東和平の在り方は94年の「オスロ合意」に盛り込まれたようにイスラエルとパレスチナによる「2国家共存」方式が基本。一方が支配者で、他方が被支配者である限り、紛争が終わることがないからだ。
将来のイスラエルとパレスチナ国家の国境は67年の第3次中東戦争前の境界が基本、というのが国際的なコンセンサスだ。しかし、イスラエルはこの第3次中東戦争で占領したヨルダン川西岸や東エルサレムを「領土」とし、ここに住宅地建設を進めてきた。
入植者は現在約60万人にも上り、オバマ政権下で10万人も増えた。仮に和平交渉が進んだ時、入植者が占領地に居座れば、国境の画定は非常に困難になる。このためオバマ大統領は入植が交渉の大きな障害になるとして批判してきたが、ネタニヤフ首相は聞く耳をもたず、決議が採択された後もイスラム教徒の聖地である東エルサレムへの600戸の新たな住宅を建設する計画を推進する姿勢を示していた。
ネタニヤフ政権は決議について「オバマ政権が作成するのを手助けし、採択を懸命に働き掛けた決定的な証拠がある」と非難、「われわれはたたかれてばかりはいない」と反発した。米国はこの画策説を否定しているが、ケリー国務長官と決議の提案国の1つであるニュージーランドの外相が採択前に会談したことにイスラエルは大きな疑念を抱いている。しかしイスラエル有力紙ハーレツによると、実際に決議をまとめるために暗躍したのは英国だという。
■エルサレムに大使館移せば戦闘勃発も
オバマ政権が拒否権を発動せずに決議を容認したことに、トランプ次期米大統領は批判的。新政権が始動する「1月20日以降は異なる」と述べる一方、「国連は人々が集まり、楽しい時間を過ごすためのクラブになりさがっている。嘆かわしい」と国連への強い不満もツイートした。
トランプ政権がオバマ政権よりもはるかにイスラエル寄りになるのは目に見えている。中でも米大使館をテルアビブからエルサレムに移すと主張してきたトランプ氏がこの移設に踏み切れば、パレスチナ側の猛反発は必至で、新たなインティファーダ(反イスラエル抵抗運動)やガザのイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘再燃の懸念が現実のものとなるだろう。
ハマスとの戦闘が再燃すれば、ガザからのロケット弾攻撃が多発し、これにイスラエル軍が猛爆撃で対抗し、戦闘がエスカレート、09年や12年のようにイスラエル軍がガザに地上侵攻する懸念も高まる。
エルサレムはユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒のそれぞれにとって宗教的な聖地。だからこそ米国はじめ各国はエルサレムに大使館をあえて置かずに配慮を示してきた。もしトランプ氏が大使館をエルサレムに移せば「エルサレムは3000年前からユダヤ人の首都」(イスラエル右派)という主張に与することになりかねない。
■キーマンになる娘婿
だが、トランプ氏はこのほど、こうした主張や入植活動推進、2国家共存に反対してきたユダヤ人の弁護士デービッド・フリードマン氏を新しい駐イスラエル大使に指名した。エルサレムへの大使館移設が実現に向けて踏み出したようにも見える。
トランプ氏には、イスラエル政策を助言するのにもう1人欠かせない人物がいる。長女イバンカ氏のユダヤ人の夫、娘婿のジャレッド・クシュナー氏だ。同氏はトランプ政権の主要閣僚の人選にも大きな影響力を発揮したが、トランプ氏はイスラエルなど中東政策では、クシュナー氏の助言を取り入れているといわれており、イスラエルとの関係が一気に強化される可能性が高い。
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