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【社説】オバマ氏、イスラエルへ最後の一撃
国連安保理決議での「棄権」は、オバマ政権を特徴づける行為だ
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RJ135_3pique_IM_20161223161338.jpg
スイスにある国連の事務所 PHOTO: GETTY IMAGES
2016 年 12 月 26 日 13:31 JST
イスラエルによるヨルダン川西岸への入植拡大に関し、国連安全保障理事会が非難決議を採択した。米国が拒否権を行使せずに「棄権」を選択したことは、オバマ政権の性格を特徴づける判断のひとつであり、重大なことでもある。
バラク・オバマ大統領はこの問題が政治的なものであるにもかかわらず、個人的にわだかまりを持つ相手への攻撃手段として利用をした。また今回の米政府による判断は、国際社会の左派層がイスラエルに対して強い抵抗を持ち続けていることをうかがわせた。
非難決議案を提出したエジプト政府はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相から圧力を受け、一時は撤回の姿勢を示していた。この問題にはドナルド・トランプ次期米大統領も介入し、エジプト政府との直接対話を実施。さらにツイッターを通して、米政府が決議案に反対票を投じるようオバマ大統領に呼びかけていた。2011年のオバマ氏を含め、米政府は同様の決議案に反対の立場を取り続けていた。
しかし多くのメディアで報じられている通り、オバマ政権は23日に実施された投票を棄権。ネタニヤフ首相やトランプ氏による努力は踏みにじられ、その結果パレスチナ寄りの決議案が採択されることとなった。
ネタニヤフ首相に対するオバマ大統領の敵意は、広く知られている。国連安保理決議案に対してトランプ氏が意見をはさんできたことに、オバマ氏が侮辱されたと感じた部分もあるかもしれない。
しかし今回の棄権はオバマ大統領個人の横暴としてだけ受け止められるべきものではなく、政権自体が持つイスラエル国家への敵意として理解していい。もはやユダヤ人有権者からの支持を必要としなくなったオバマ氏は自由の身となり、過去の大統領には見られなかったかたちでイスラエルをこらしめたことになる。
今回の決議は入植を「国際法」違反であると指摘している。将来的にこの判断を取り消そうとしても、中国とロシアが拒否権を持っているためそれは不可能だ。イスラエルに対してはボイコットや投資接収、制裁を呼びかける「BDS運動」が展開されている。オバマ大統領の今回の判断は欧州や国際機関や米国の大学などで反イスラエルを主張するこれら活動のだしに使われていくことになる。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務は決議案がシオニズムと人種差別を混同させる内容だとの正論を主張し、政権に対して反対票を投じるよう懇願していた。シューマー議員は党内リベラル層の本質を目の当たりにしたことだろう。
ポール・ライアン下院議長(共和)も今回の政権の判断を「恥ずべきものだ」と批判。またリンゼー・グラム上院議員(共和)は国連への分担金を削減か停止することを目的とした超党派グループの結成を主張している。この運動は推進されるべきだろう。
今回の1件を通し、トランプ氏は米国務省の素性を垣間見ることができただろう。国務省に勤務する官僚たちは以前からこのような信念を持ち続け、その実現を心待ちにしていた。今回はオバマ大統領がそれを実現させたということだ。
イスラエルは中東での米政府の最も古い民主的な同盟国だ。新たに生じた同国に対する敵視は、ツイッターなどで変えることができない。しかし不和を生じさせた今回のオバマ政権の判断は、越えてはいけない一線を示したという意味で次期政権にとっては指針となるだろう。
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