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国連安保理 イスラエル入植停止決議を採択 米拒否権行使せず
12月24日 9時46分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161224/k10010818531000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_006
国連の安全保障理事会は、イスラエルに対して占領地への入植活動を即時停止するよう求める決議案を賛成多数で採択しました。イスラエルを擁護する立場のアメリカが今回は拒否権を行使せず、注目を集めました。
国連安保理では23日、イスラエルが占領したパレスチナのヨルダン川西岸などで行っているユダヤ人の入植活動について、国際法に違反しているとして即時停止するよう求める決議案が採決にかけられました。その結果、安保理メンバー15か国のうち14か国が賛成し、アメリカが棄権したため、賛成多数で採択されました。
イスラエルを擁護する立場のアメリカは5年前、同じような内容の決議案に拒否権を行使しましたが、今回は行使せず、議場がどよめきました。アメリカのパワー国連大使は、「入植問題は深刻化していて、イスラエルとパレスチナの共存という目標にとって大きなリスクになっている」と説明しましたが、イスラエルの代表は、「テロリズムと憎悪と暴力の勝利を意味する」などと強く反発しました。
今回の決議案をめぐっては、イスラエル寄りの姿勢を見せるトランプ次期大統領がエジプトに提案を見送るよう圧力をかけたと伝えられていて、そうした中、オバマ大統領が任期を終えるのを前にイスラエルに入植活動の見直しを促した形です。
イスラエル反発 「トランプ氏と協力」
イスラエル政府は、国連安保理で入植活動の即時停止などを求める決議が採択されたことを受けて声明を発表し、「イスラエルは国連での恥ずべき反イスラエル決議を拒絶し、その内容に従うことはない」と強く反発しています。
そのうえで、アメリカが拒否権を行使しなかったことについて、「オバマ政権は国連での集団攻撃からイスラエルを守れなかったどころか裏で結託していた。イスラエルはトランプ次期大統領やアメリカ議会の友人たちと協力し、このばかげた決議による悪影響を無効にするため取り組んでいくつもりだ」と、オバマ大統領を批判すると同時にトランプ氏への期待を示しました。
暫定自治政府「平和的解決の支持示した」
パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長の報道官は、「決議の採択によってイスラエルの政策は顔面に平手打ちを受けたようなものだ。ユダヤ人入植地について国際社会が一致して批判したことになり、イスラエルとパレスチナ国家の平和的共存による解決を支持する強い姿勢を示した」と評価しました。
トランプ氏 就任後の拒否権行使を示唆
アメリカが拒否権を行使せず、棄権したことについてアメリカのケリー国務長官は23日、声明を発表し、「イスラエルとパレスチナの2国共存こそが唯一の解決策というのがアメリカの長年の立場だ。しかし、テロや暴力活動、そして2国共存への反対を明言した入植の拡大によって、危機にさらされている」として、入植活動がこれ以上拡大すれば、中東和平交渉に深刻な影響を与えると訴えています。
しかし、アメリカのトランプ次期大統領は23日、みずからのツイッターで、「国連に関しては、1月20日の後、事態は変わることになるだろう」と投稿し、トランプ氏が大統領に就任する来月20日以降は、アメリカは拒否権を行使するという考えを示唆しました。トランプ氏は前日の22日にも声明を発表し、「決議案には拒否権を行使すべきだ」と主張しており、オバマ政権より一層イスラエル寄りの立場を示すものと見られています。
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