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田岡俊次氏(C)日刊ゲンダイ
田岡俊次氏 「アメリカは中国にケンカを売れない」 気鋭の論客が見通す2017年のゆくえ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196463
2016年12月24日 日刊ゲンダイ
2017年の世界を揺るがす第一の出来事が、1月20日のトランプ政権の発足であるのはもちろんだ。
国防長官にJ・マティス海兵大将、国土安全保障長官にJ・ケリー海兵大将、安全保障担当の大統領補佐官にM・フリン陸軍中将を指名したが、国防の要職を将軍で固めることに批判も出る。文民統制維持のため、本来軍人は退役後7年間は国防長官になれない規定なのに、3年前に退役したマティス大将を任命するには法改正が必要で、議会はもめそうだ。
■トランプタワー20階に中国工商銀
トランプ氏は、イランの核平和利用を認めた2015年7月の「イラン核合意」(米、英、独、仏、中、ロとイランが合意)の破棄か見直しを唱え、露骨な反イスラム観を示す将軍を登用した。事実上のファーストレディーとなる長女イバンカの夫、J・クシュナー氏は厳格なユダヤ教正統派で、イバンカ夫人もユダヤ教に改宗した。米国の財政から見て、中東に新たに軍事介入する可能性は低いが、一層イスラエル右派に傾く政策で緊張が高まりそうだ。
ロシアも「イスラム国」やアルカイダ系武装集団を相手に、シリア政府を助けて戦ってきたから、トランプ氏や将軍らは親ロ的で、国務長官に指名されたR・ティラーソン氏(エクソンモービルCEO)はロシアから友好勲章も受けている。
米国の中国との貿易赤字は年間2500億ドル余(約30兆円)で深刻な問題だから、台湾との接近の可能性も示して牽制、有利な取引を進めたいだろう。だが中国製品に高率の関税を課したり、輸入量を制限すれば、米国の中間層以下の消費者や流通業界には打撃となる。対中輸出を増やそうとしても、大豆や旅客機などは十分売っているし、米国系メーカーの車も15年に260万台が売れた。競争力がありながら中国に輸出していないのは武器ぐらいだから貿易収支の改善は容易ではない。
トランプ氏は中国に厳しい姿勢を示すが、世界最大の銀行、中国工商銀行の米国本部はトランプタワーの20階にある。中国は3兆ドル(約350兆円)の外貨準備の大半をウォール街で運用し、米国の金融・証券業界の最大の海外顧客。彼の事業も中国系資本の融資、投資を受けていると伝えられる。中国との決定的対立は避けざるを得まい。
日本に対してもTPPに代わる2国間交渉で「米軍撤退」をちらつかせつつ激しい要求をしそうだが、米海軍が世界的制海権を保つには、横須賀、佐世保は不可欠で、日本はコケ脅しに屈すべきではない。
シリア反政府軍の拠点だったアレッポは今月13日に陥落、同様にイラクのモスルでも政府軍が攻勢を強め「イスラム国」は崩壊に向かうが、かえって残党が世界各地に散り、テロに走る危険がある。米国、欧州で移民排斥の風潮が高まり、それに乗じる政治家が勢力を強め、失業し絶望する移民が増えればテロの温床となる。
この点では来年の状況は悪化しそうだ。
(12月15日寄稿)
たおか・しゅんじ 1941年生まれ。早大卒業後、朝日新聞社。米ジョージタウン大戦略国際問題研究所(CSIS)主任研究員兼同大学外交学部講師、朝日新聞編集委員(防衛担当)、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)客員研究員、「AERA」副編集長兼シニアスタッフライターなどを歴任。著書に「戦略の条件」など。
“米国の金融・証券業界の最大の海外顧客。彼の事業も中国系資本の融資、投資を受けていると伝えられる。中国との決定的対立は避けざるを得まい。”『田岡俊次氏 「アメリカは中国にケンカを売れない」』(日刊ゲンダイ)https://t.co/RZwfsfN0RQ
— goodjone (@goodjone63) 2016年12月23日
日刊ゲンダイ|田岡俊次氏 「アメリカは中国にケンカを売れない」https://t.co/ndmnu8ivNl
— 吉川 幸男 (@FP_Yoshikawa) 2016年12月24日
『…日本に対しても…「米軍撤退」をちらつかせつつ激しい要求をしそうだが、米海軍が世界的制海権を保つには、横須賀、佐世保は不可欠で、日本はコケ脅しに屈すべきではない…』
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