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中東で敵つくるロシアの台頭
「イスラムの敵」米国に代わって居座る帝国主義大国
トルコのロシア大使館前でアサド政権支援に抗議するシリア人(17日、イスタンブール) PHOTO: OZAN KOSE/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By YAROSLAV TROFIMOV
2016 年 12 月 22 日 10:03 JST
――筆者のヤロスラフ・トロフィモフはWSJ中東担当コラムニスト
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勝利には代償が伴う。
ロシアは昨年シリア内戦に参戦してから、米国に代わって中東に強大な影響力を持つ唯一の国になることに成功した。仕上げになったのはアレッポ陥落だ。
この台頭により、ロシアは中東に欠かせない陰の実力者となった。ロシアは欧州でも、シリア内戦による移民の激増を受けて影響力を強め、ウラジーミル・プーチン大統領と親密なポピュリスト政党を勢いづかせた。
しかし、トルコ駐在ロシア大使アンドレイ・カルロフ氏が19日に殺害されたことで、ロシアの急速な台頭の裏側が浮き彫りになった。米国の影響力が低下するなか、ロシアは中東の多くの人が長らく米国に対して抱いていたイメージを受け継いだ。それは、イスラム教とイスラム教徒に戦いを仕掛ける帝国主義のよそ者というイメージだ。
中東ではこのところ反米抗議活動は起きていない。一方アレッポで死闘が続くなか、イスタンブールやベイルート、クウェート市などのロシア公館前には今月数万人が詰めかけ、「ロシアはイスラムの敵だ」などと抗議した。
ロシア大使を射殺したトルコの警察官は、アレッポの苦痛に対する報復だと叫んだ。同都市はここ数週間でシリア政権軍やシーア派勢力に制圧されたが、それまで1年にわたってロシアの空爆の対象になっていた。
新たなガキ大将
ロシア大使殺害は各国政府から非難されたが、アラブのソーシャルメディアやパレスチナの難民キャンプではあからさまに称賛された。
「ロシアが近所の新たなガキ大将だと思われていることは確かだ」とタハリール中東政策研究所(米ワシントン)のハッサン・ハッサン氏は述べた。「中東で特に崇拝されているスンニ派都市アレッポの破壊に関与したことを受け、人々はイラク占領後の対米感情を思い起こさせる反応を示した」
怒りの矛先がロシアに向かう一方、アレッポ陥落で、欧米でテロを計画する「イスラム国」やアルカイダなどジハーディスト(聖戦主義者)集団に対する支持が高まっている。
「アレッポは新たな段階を意味するという感覚がある」とレバノンのある議員は述べた。「怒りの度合いは非常に強く、そこで起きたことは欧州や他地域で過激主義をあおっている」
19日にはベルリンのクリスマスマーケットで12人が殺害されたが、これもそうした過激主義を背景にした攻撃のようだ。ISが翌日に犯行声明を出している。実行犯はまだわからないが、欧州でのテロ攻撃は、大量の難民流入との絡みでとらえられている。
ロシアが以前とは違う形で世界的ジハードの標的になったことは、同国がシリアに部隊や軍用機を配備してからわずか1カ月後の昨年10月に明白になった。ロシアの旅客機がエジプトのシナイ半島で墜落し、ISが犯行声明を出したのだ。
最近、部隊や資金面でのロシアの関与は拡大している。同国に対する怒りもずっと露骨になり、ジハーディストの間にとどまっていない。
このことは例えば、シリアの将来を巡りプーチン氏やイランの理解を得ようとするトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の試みに問題を投げかけている。トルコ政府は最近までバッシャール・アサド政権打倒を目指していたが、ISやクルド人武装勢力に対するトルコ軍の作戦をロシアが黙認したのと引き替えに、この姿勢を軟化させた。ロシア、トルコ、イランの外相は20日、モスクワでシリアについて議論した。
大使暗殺でも政策は不変か
トルコや中東各国での敵対的な世論を受け、ロシアの外交官は、米外交官の業務を数十年にわたり妨げてきたのと同様の安全面での制約を受けることになる。
しかし、米国は過去数十年、外交官らに対するデモや攻撃にもかかわらず中東から撤退しなかった。ロシアもカルロフ大使の死を受けて自重することはなさそうだ。
「今回起きたことから、ロシアの役割や敏感な地域への関与が拡大しているために同国がより高いリスクを受け入れなくてはならないことがわかる」と、サンクトペテルブルクの欧州大学のニコライ・コザノフ教授は述べた。「だがそれはターニングポイントにはならず、政策変更にもつながらないだろう」
トルコもロシアも、最近の両国関係改善を大使暗殺事件で反転させてはならないと必死だ。
エルドアン氏は先月、トルコが上海協力機構に加盟する意向まで示した。これは、ロシアや中国などの国が安全保障で協力する枠組みで、トルコは北大西洋条約機構(NATO)を脱退しなければ正式に加盟できない。
何が起ころうと、中東の指導者らはロシアがこの地域に居座るためにやって来たことを十分に認識している。
アラブ連盟のアハマド・アブルゲイト事務局長は先週のインタビューで、ロシアは「自国の承諾がなければ中東では何も起こらないほどの影響力があることを知らしめたがっている」との見方を示し、「そしてそれに成功している」と述べた。
シリア情勢特集
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