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第七章 中国の海洋進出が止まる日
〔「第二イスラム国」の誕生〕
海洋進出への野心を隠さない中国―政治家もメディアもそう口を揃える。…
しかし。近未来において、中国の海洋への膨張が止まる日が訪れるかもしれない。
中央アジアと中国・新疆ウィグル自治区をまたぐ形で、「第二イスラム国」が誕生したときが、その日だ。誕生すれば、その武力と人的ネットワークを背景に、自治区の各地で暴動やテロが頻発するだろう。(そうなれば)新疆ウィグル自治区の情勢が一気に流動化するのは自明の理だ。周縁部の動揺だとはいえ政権中枢が揺るぎかねない。「第二イスラム国」の活動を武力で抑え込むことが最優先になる。
そのために海洋進出に注力し続けることが困難になるだろう。
〔「権力は空白を嫌う」〕
私は2015年半ばから、「第二イスラム国」誕生の可能性を指摘してきた。
新疆ウィグル自治区が国境を接している国に、かつてソ連を構成していた中央アジアのタジキスタン、キルギスがある。両国ではイスラム教スンナ派が圧倒的多数を占めている。また、両国の隣国のウズベキスタンの主流宗教もスンナ派だ。ISはイスラム教スンナ派過激派組織であり、宗教的に共通性がある。
2015年夏に、ウズベキスタンのイスラム教過激派組織(IMU)が、IS本部に忠誠を誓い、中央アジアにISの拠点を築くことを求める動画を公開した。
ISにはタジキスタンから約3百人、キルギスから約3百50人、ウズベキスタンから数百人が参加していると推定されている(ロシアの機関)。実際の参加者は数千人にのぼるという説もある。
これらIS参加者が、シリアやイラクで戦闘員として実戦経験を積み、帰国して現地過激組織に参加すれば、ISの「中央アジア支部」設立は難しい話ではない。ウズ、タジ、キル三国の国境地帯に広がるフェルガナ盆地は、多くの民族が共生していたが、旧ソ連により複雑な国境線が引かれ、当事国間の紛争を誘発する火種が絶えない。
フェルガナ盆地は権力の空白地帯だ。「権力は真空を嫌う」にならえば、国家に対抗できる武力をもつ組織が支配的地位に立ち、その空白を埋めることが可能だ。つまりISがシリアやイラクの権力の空白地帯を実行支配できたように。
タジとキルは…GDPを見れば、貧困国に分類される。「第二イスラム」が、両国のイスラム教徒の貧困層に浸透すれば、両国の治安は一気に流動化し、最悪の場合、国家を乗っ取られることも有り得る。
〔中国からのIS参加者〕
「第二イスラム国」がタジ、キルを「支配」すれば、隣の新疆ウィグル自治区が動揺するだろう。事実、中国(新疆ウィグル自治区)からのISへの参加者が存在する。
〔山岳地帯という地の利〕
新疆ウィグル自治区は、タジ、キルだけでなくアフガン、パキスタンなどの国々と国境を接している。それらの国々とは山岳地帯で画されている。
規模が小さい武装組織にとって、山岳は強い味方だ。地の利と情報ネットワークを駆使することで、必ずしも「場」がなくても、組織は生き残り、ときに増殖することができる。
〔カリフ国家と国民国家〕
2015年5月、タジキスタン内務省特殊部隊指揮官(治安警察大佐)ダルムロド・ハリモフは、ISへの参加を表明した。「タジのためには死ねないが、ISのためになら死ねる」(朝日デジタル)と。
ハリモフ大佐がISのあり方にイスラム教スンナ派にとって普遍的な価値を見いだしたことを暗示していると私は思う。
イスラム国は、世界革命を目的とした武装集団であり、自らの存在意義をその点に見いだしている。私はそのように考えている。
国民国家という制度は近現代の国際標準である。それを覆す行為は、革命に他ならない。
【出典】「使える地政学〜日本の大問題を読み解く」佐藤優/朝日新聞社 ‘16年
・イスラム世界を統一してカリフ国家を創設するという中央アジアの「解放党」は、暴力ではなく平和的手段によると主張/宮田 律
http://www.asyura2.com/15/asia17/msg/346.html
投稿者 仁王像 日時 2015 年 4 月 11 日 19:54:29: jdZgmZ21Prm8E
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