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12月7日にNHK総合で放送された「時事公論」の紹介だが、いちばん興味をそそられたのは、「アメリカに代わって中国が覇権国になると思うかどうか、去年、各国でたずねた世論調査」の結果で、「日本は、アメリカの覇権は今後も続くという見方が、突出して強い」国になっている。
米国でさえ、中国が米国に代わって覇権国になると考えるひとが46%(NOが48%)であるのに、日本では、NOが圧倒的多数で77%にも達している。
そのような世界観の背景には、戦前の日本で醸成された中国蔑視、戦後の反中共・反中国的プロパガンダ、先の大戦も米国にはこてんぱんにやられたが中国に負けたわけではないという歴史認識、米国(アングロサクソン)に依存して生きていけばこれからも大丈夫という“錯覚”にすがりたい気持ちなどがあると推測する。
[アメリカに代わって中国が覇権国になると思うか]
YES NO
日本 20 77
米国 46 48
中国 67 16
露国 44 35
仏国 66 34
英国 59 35
独国 59 37
伊国 57 36
加国 52 40
調査とは違い、中国は米国と並び立つ経済的政治的大国にはなるが、中国が米国に代わって覇権国になることはないと考えている。
質(一人当たり)ではなく量(国民経済全体)を基準としたものだが、10年以内に、中国は米国を追い抜いて世界トップの経済大国になるだろう。
だからといって、10年後20年後の中国が、これまでの世界で米国が占めてきたような覇権国の地位を手に入れるわけではない。
WW2後の米国は、持てる圧倒的な経済力(生産力及び金融資産)を世界経済の拡大再生産に活用する一方、侵略的介入で自国民の犠牲も厭わない軍事行動を継続してきたからこそ、覇権国の地位を獲得し維持してきたのである。
中国に限ったことではないが、今後の世界で、WW2後の米国のようなポジションを占められる国が出現することはない。
アジア、欧州、米州など地域別の政治的大国(EUを含む)が併存するかたちになる。
それぞれが保有する兵器の破壊力から大国間が戦争をすることはできないうえに、大国間の水平的通商及び投資がそれぞれの大国の利益になった世界では、経済・政治・軍事の総合力で他を圧倒する覇権国が生まれることはない。
トランプ次期大統領が言い出しっぺではなく、オバマ大統領がすでに「世界の警察官にはならない」と米国が覇権国の座から降りることを宣言している。
トランプ氏の「米国第一」は、米国がその経済力で世界経済の成長を牽引することはしない、だから、それに付随するかたちで先陣を担って行ってきた介入的軍事行動もしないというものである。
日本では、まったく現実の世界が見えないのか、トランプ氏を説得してTPPを発効させるとか中国牽制を強化してもらうといった“寝言”や“妄想”が跋扈している。
トランプ氏の言動を、奇っ怪な人物の妄言だとか政治や現実の世界を知らない浅はかな政策と考えるような人たちが日本の舵取りを行っていけば、日本は今後の世界で取り残されることになるだろう。
トランプ氏は、米国支配層の判断や意向に逆らうかたちで「米国第一」の政策を打ち出しているわけではない。
TPP問題も、トランプ氏が勝利したからダメになったように解説しているが、ヒラリーさんもTPPに反対だったのである。
日本をTPPに引きずり込み、そのあげくに、TPPを棚ざらしにする米国の“真意”を理解できないようでは、今後の世界を生き抜くことは難しいだろう。
(TPP協定の早期承認に動いた安倍政権(官僚機構)は、端から米国の“真意”を理解しながら動いてきたと思う)
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2016年12月07日 (水) NHK総合
「どうなる!?"トランプのアメリカ"」(時論公論)
橋 祐介 解説委員
ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に当選してから4週間。
来年1月20日の就任式に向けて、新しい政権の骨格づくりが進められています。
果たしてトランプ次期大統領は、どのような政権運営を進めていくのでしょうか?
これまでに判ってきたこと、まだ判らないことを一旦整理して、その行方を探ってみます。
ポイントは3つあります。
▼まずホワイトハウスと閣僚の人事には、どのような狙いがあるのでしょうか?
▼次に“トランポノミクス”。世界に衝撃と不安を広げた当選のあと、今はトランプ氏の経済政策に、にわかに期待が高まっています。
▼しかし“予測不能な大統領”。トランプ氏はどのような大統領になるのか?まだ不透明感は拭えません。
いま世界で最も注目を集める場所と言えば、トランプ氏がこもるニューヨークのトランプタワーをおいて他にありません。この日は、日本からソフトバンクグループの孫正義社長が訪れて、アメリカへの巨額の投資を表明し、カメラのフラッシュを浴びました。
先月の選挙結果について、今なおアメリカの世論は、真二つに割れています。
しかし、政権交代の日は、刻一刻と近づいているのです。
トランプ氏は、どのような政権構想を描いているのでしょうか?
これまでトランプ氏が、得意のツイッターを通して発表してきた政権人事をもとに、推し量ってみましょう。
当選後、最初に打った手は、政権移行チームのトップに、マイク・ペンス次期副大統領を充てたことでした。連邦下院議員を6期務め、予算委員長も歴任したペンス氏は、ワシントン政界で豊富な経験と人脈を持っています。
アメリカの大統領は、議会からの協力なしには、予算も法案も人事すらもままなりません。
ホワイトハウスで、議会との折衝の窓口となる首席補佐官には、ラインス・プリーバス共和党全国委員長を起用しました。議会随一の実力者、ポール・ライアン下院議長も含めて、奇しくも同じ中西部の出身で、共和党主流派からの信頼が厚いこの3人を中心に、トランプ政権が議会から協力を取り付けるための布石を打ったのです。
その一方で、選挙対策の最高責任者として“勝利の立役者”となり、排外的で差別的な言動を批判された右派のスティーブン・バノン氏は、議会からの承認が必要ないホワイトハウスの上級顧問に据えました。いわば“影の参謀役”として、2年後の中間選挙、あるいは4年後の再選をかけた次の大統領選挙への戦略を練り上げるためとみられています。
こうした毛色の異なる人材を互いに競い合わせ、みずからが最終的な決定権を握る。それがトランプ流のマネジメント・スタイルなのでしょう。
閣僚ポストは、全体の半数あまりが指名されたところです。
国防と司法それに厚生長官に指名した3人は、それぞれ▽対テロ軍事作戦、▽不法移民対策、そして▽オバマ政権が導入した医療保険制度改革の見直しに精通しています。
そうした選挙公約の実現に向けて、とくに“強面”知られてきたこの3人を起用することで、トランプ支持者の期待に応えようという狙いがうかがえます。
経済政策のかじ取りでは、もともとトランプ氏に近かった金融ビジネス界出身の2人を指名。商務長官に起用された投資家のウィルバー・ロス氏は、日本ともゆかりの深い人物です。
選挙期間中は、相手候補のクリントン氏を「ウォール街の手先」と呼んだトランプ氏でしたが、当選後は、大企業の経営者らを集めた助言機関も設け、ビジネス界と密接に連携する“変わり身の早さ”を見せました。
さらに、閣内には女性やマイノリティーも配置して多様性をアピール。閣僚級の国連大使には、選挙中はトランプ氏と距離を置いていた共和党の若手ホープを抜擢しました。
ただ、筆頭閣僚となる国務長官は、まだ決まっていません。外交トップに、誰を起用するのかが、目下の最大の焦点です。その行方にもよりますが、単なる論功行賞にとどまらない、意外に手堅い人事と評価する見方もあるのです。
では、そうした布陣を整えた上で、トランプ次期大統領は、どのような政策を優先的に進めていくのでしょうか?トランプ氏の予想外の当選後、にわかに注目を集めているのが経済政策、いわゆる“トランポノミクス”です。
このうち、大統領就任から100日間つまり5月までに立法化をめざす目玉は、所得税を簡素化して税率も引き下げ、法人税率も下げるという大型減税です。この“トランプ減税”は、レーガン政権による減税以来、最大規模になると言います。共和党は、議会の上下両院で多数を維持していますから、トランプ氏は、その実現は大いに可能とふんでいるのでしょう。
財源も、景気拡大による税収の増加や、大企業が海外に留保している巨額の利益に新たに課税することで賄う計画だとしています。
もうひとつの目玉は、大規模なインフラ投資です。いまアメリカでは、道路や橋、トンネルや空港などの公共インフラの老朽化が深刻になっています。その大がかりな整備のため、財政を拡張し、民間投資も活用すれば、景気は拡大し、雇用創出の効果も見込めるというのです。
選挙後の市場では、これに規制緩和も加えた“トランポノミクス”が、アメリカ経済を押し上げるだろうという期待が先行しているかたちです。
一方、通商政策では、トランプ氏は、TPP離脱やNAFTA=北米自由貿易協定の再交渉、不公正な貿易相手国に対する関税の引き上げを主張してきました。そうした政策は、各国との摩擦を激しくさせ、保護主義的な機運に拍車をかけることは避けられません。
トランプ氏が主張してきた厳格な移民政策も、不法移民だけではなく、本来アメリカの経済成長に資する合法移民も減ってしまう恐れが指摘されています。
当面、アメリカ経済は活況を呈しても、いつ期待がしぼみ、不安が頭をもたげてくるのかは、わからないのです。トランプ氏が掲げる“アメリカ第一主義”は、世界経済にどのような影響を与えるのか、まだ楽観は出来ません。
外交の分野では、就任前から早くも予想外の出来事がありました。先週トランプ氏は、台湾の蔡英文総統と突如、電話会談。アメリカの現職大統領や次期大統領が、台湾の総統と電話で会談したことが明らかになったのは、双方が外交関係を断って以来初めてです。
「一つの中国」を掲げる中国政府は、外交ルートを通じて、アメリカ政府に抗議したのに対し、トランプ氏は、ツイッターで、中国による南シナ海での人工島の造成や経済政策を強く批判して見せました。今後の米中関係には、思わぬ変化が起きないとも限りません。そうした不確実性は、ほかの国々との関係にも、同じことが言えるでしょう。
では、先行きが読めない“トランプのアメリカ”に、どのように向き合うべきでしょうか?こちらは、アメリカに代わって中国が覇権国になると思うかどうか、去年、各国でたずねた世論調査です。日本は、アメリカの覇権は今後も続くという見方が、突出して強いことがうかがえます。
しかし、今後はトランプ政権の誕生をきっかけに、こうした一種の“アメリカ頼み”の発想には、変更を迫られる場面が出てくるかも知れません。
発言に著しく一貫性を欠き、今なお予測不能な部分が大きいトランプ氏は、来年1月、アメリカ大統領に就任します。もちろんトランプ政権が意外な成功をおさめ、これまでの不安が期待に換わる可能性があるのは確かでしょう。しかし、トランプ氏を選んだアメリカが“先の読めない時代”に突入しようとしているのもまた確かです。
私たちも、従来の常識に縛られず、現実を見つめ直し、日米関係をどのように維持・発展させていくのかを、あらためて考えるきっかけにすべきではないでしょうか。
(橋 祐介 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/258647.html
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