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食事を共にするトランプ氏とロムニー氏(Getty Images)
人事をめぐるいざこざを楽しむトランプ ロムニー氏起用めぐり対立激化 、トランプ氏側近が“裏切り”と反発
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8360
2016年12月1日 WEDGE Infinity
トランプ次期米大統領(70)は新たに財務、商務長官などの重要閣僚の人事を発表したが、最重要の国務長官にミット・ロムニー元共和党大統領候補(69)を起用するかをめぐって側近グループの対立が激化。トランプ氏がロムニー氏指名に傾いていると見られる中、第3の候補も急浮上している。
■三つ星「ジャン・ジョルジュ」で再会談
国務長官は大統領継承順位で言えば、副大統領、下院議長、上院議長に次いで第4位の最重要閣僚で、歴代米政権の中でもとりわけ特別視されてきたポストだ。トランプ政権の国務長官候補として、当初リードしたのはジュリアーニ元ニューヨーク市長だった。
元市長はトランプ氏が予備選に立候補した時からの熱烈な支持者で、同氏への忠誠心はことのほか強い。外交政策や考え方もトランプ氏に同調しており、強硬派の側近グループが強く推薦、自身も国務長官就任への意欲を隠すことなく示してきた。
しかし外交は全くの素人で、その手腕に大きな疑問符が付く上、国際的に展開するビジネスが公職との利益相反に抵触する恐れが強いことなどから一歩後退した格好。その代わりに有力候補に踊り出たのが元共和党大統領候補で、党主流派のロムニー氏だった。
トランプ氏はロムニー氏と19日に会談。29日もニューヨークの「トランプ・インターナショナル・ホテル」内の三つ星フレンチ「ジャン・ジョルジュ」で夕食を共にしながら再会談した。会談には、ホワイトハウスの首席補佐官に任命されたプリーバス共和党全国委員長も同席した。
約2時間の会談後に記者団の前に姿を現したロムニー氏はトランプ氏のこれまでの政権人事を称賛し「彼こそ明るい未来に導いてくれる人だという希望を与えてくれる」と語った。酒をたしなまない両氏だが、最高級のフレンチに舌鼓を打ちながら人事にまで話が及んだのか、全米の注目の的だ。
選挙期間中の2人の非難合戦はひどいものだった。ロムニー氏がトランプ氏を「ペテン師」「インチキ」と口を極めて非難すると、トランプ氏がロムニー氏を「ぺンギンのように歩く何をやっても失敗するヤツ」と罵った。
トランプ氏がこうしたロムニー氏を国務長官候補として検討しているのは、ロムニー氏のビジネスやマサチューセッツ州知事時代の手腕を評価していることに加え、同氏を政権内に取り込むことによって政権への批判を封じ込め、ぎくしゃくしてきた党主流派との融和のシンボルにしたいとの意向が働いているからだ。
ロムニー氏を推している勢力は新政権が、ホワイトハウスの首席戦略官に超右派のスチーブン・バノン氏が任命されるなど“強硬政権”と見られる中で、バランスも必要だと考えている人たちだ。このグループには、ペンス次期副大統領やプリーバス首席補佐官らがいる。「バッド・コップ(憎まれ警官)ばかりではなく、グッド・コップ(良い警官)も入れるべきだ」というわけだ。
しかしこれに対してトランプ氏の過激路線を支えてきた右派グループはロムニー氏を起用するのは「支持者への裏切り」(コンウエイ上級顧問)、「ロムニーは自分第1の利己的人物」(コリンズ下院議員)などと激しく反発。コンウエイ上級顧問はテレビ局をはしごしてロムニー非難を叫んでいる。
■“不倫将軍”にもチャンス
ロムニー反対派が最も懸念しているのは「忠誠心」の問題。大統領の政策を推進するのではなく、ロムニー氏が国務省を勝手に仕切ってしまうのではないかと憂慮しているのだ。反対派はロムニー氏がまず、選挙期間中のトランプ氏への侮辱発言を謝罪すべきだとも主張しているが、ロムニー氏はこれまで謝罪はしていない。
ロムニー氏は「メキシコ国境での壁の建設」や「ロシアとの協調」といったトランプ氏の主張とは意見を異にしている。しかし、為替操作の疑いがある中国への厳しい対応、エルサレムへの米大使館の移動、不法移民の退去政策など考え方を共有する分野も多く、ロムニー支持派の推挙理由になっている。
米国では、新大統領が選挙期間中に批判し合った相手を政権の要職に据えるケースはままある。例えばオバマ氏とクリントン氏は08年の予備選挙でやり合ったが、大統領に当選したオバマ氏はクリントン氏を国務長官に起用した。
ロムニー氏をめぐって両派の対立が深まる中、第3の国務長官候補としてイラク駐留軍司令官を務め、オバマ政権で中央情報局(CIA)長官だったペトレアス将軍が浮上した。トランプ氏が28日に同氏と面談し「非常に感銘を受けた」と好意的に評価しており、同氏にもチャンスがあると見られている。
ペトレアス氏は2012年、オバマ政権のCIA長官時代に不倫相手の伝記作家ポーラ・ブロードウエルさんに機密情報を漏らしたスキャンダルで辞任に追い込まれた。しかしトランプ氏は選挙期間中から、民主党のクリントン氏のメール問題に比べれば、ささいな問題と主張してはばからなかった。
■競わせ、楽しむトランプ氏
最終的な決定権を持つトランプ氏は側近らがもめ、対立しているのを楽しんでいるようにさえ見える。トランプ氏は先週末、メラニア夫人ら家族と感謝祭の休暇をフロリダ州パーム・ビーチで過ごした。しかし、その休暇中にトランプ氏が見せた行動は驚くべきものだった。
米ワシントン・ポストによると、休暇先に友人らを招待したトランプ氏は居合わせた人たちに対し、国務長官にロムニー氏とジュリアーニ氏のいずれかを選ぶか、選考してみるよう求めた、という。
その場にいた友人の1人は「ドナルド(トランプ)はロムニーを嫌っていないが、否定的な評価も持っている。ジュリアーニも全面的に評価していない」と述べている。
同紙はトランプ・ウオッチャーの発言として「彼は人々を競い合わせ、どう状況が展開するのかを見ている。彼にとって混乱は非常に居心地のいいものだ」と伝えた。トランプ氏は新政権人事で展開する人間もようを心底楽しんでいるのかもしれない。
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